すべては『目的』からスタートする

仕事をする上で避けたい落とし穴は、

　目的を意識しないまま作業を始める

ことです。「目的」は「意義」や「価値」、「期待」と言い換えてもいいかもしれません。具体的にわかりやすく言えば「何のために？」ということですね。

関心の赴くまま作業を進め、アウトプットはたくさん出たのにビジネスに寄与しないものばかりになってしまう…。これは社会人として若い頃にハマりやすい落とし穴です。

これをそのまま続けていると、仕事の段取りの悪さにも通じてきます。

特に仕事の経験が浅いうちは、上司（もしくはクライアント）の命ずるままに作業を進めてしまい、なぜそれが必要なのかまで頭が回りにくい人が多いのではないでしょうか。上司の指示はそれをこなすことそれ自体が目的となりがちですが、情報収集や分析あるいは会議や交渉といった仕事は最終目的になることは決してなく、やはり手段止まりとなってしまいます。

これらの仕事を振られたら、その目的や意図、あるいは指示の背景を確認することがまずは大切です。

たとえば、市場調査を命じられたら、

　単なる定期資料づくりの一環として必要なのか
　具体的な商品開発につながるか検討するために必要なのか

で集めるべき情報の量や質も使う時間やエネルギーも変わってきます。ひょっとしたら自分がそれをする必要はなく、誰かに頼めば十分ということもあるでしょう。

逆に、自分が（組織外の人間も含め）誰かに指示を出す側に立った時は、その目的を正しく伝えることが相手の時間の浪費を減らし、指示された側にとっても質の高いアウトプットにもつながります。

　目的次第で
　出すべき結果や手順も変わる

ということを強く意識しながら仕事するようにしましょう。

目的意識の低い人がリーダーとなってしまうと思ったほど結果が残せなくなる傾向が強く、必ずと言っていいほどチームメンバー全員も巻き込んで疲弊していくことになります。組織の長になったらその組織自体がどんどん衰えていくことになりかねません。

こういったことは昇格人事を「ご褒美」か何かと勘違いしている経営陣などがいる企業で多く見られますね。

さらに当事者意識が低ければ「○○がきちんと仕事できないのが悪い」という判断になってしまって指示がなければ仕事もできず、指示をしてもパフォーマンスが出ない社会人を生み出し続けることになってしまうでしょう。

どちらにしても、目的意識が低いだけでロクでもない社員になってしまう、目的意識が低いだけでロクでもない組織になってしまうかもしれないわけです。

しかし目的を意識することが大切な一方で、100%すべてにおいてー定の目的にかなっている仕事をすることが必要…というわけでもありません。

たとえば『情報収集』についていえば、さまざまな情報に常日頃からアンテナを張っているからこそ正しくイシュー（主要な論点、真に考えるべきこと）を設定できるという側面も大きいものです｡

こういった場合は、たった１つの目的だけが正しいとは限りません。

また『社外の人脈づくり』もすぐには役に立たなくても長い目で見た時に役に立ってくることは多々あります。その適度なバランスは職種や年齢にもよって変わってくるため一般化は困難ですが、仕事はある程度は長期的なリターンを見据えた遊び的な部分と、目的を意識してそこに焦点を絞って進める、その両輪が大事なのです。

吉田松陰の名言ですが、ここでいう「夢」が目的を指していると考えてみましょう。「理想」とはゴール…つまり「目標」のことです。