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やり方ではなく目的にこだわる

「仕事」とは、あらかじめ予定された目標を達成するための活動です。目標…すなわちゴール(結果としての状態、あついは成果)がなければ、それは仕事とは呼びません。報酬は常に、結果に対して支払われるものだからです。

あらかじめ予定された目標とは、顧客からのニーズであったり、上司からの指示内容だったりします。それを実現、達成して、初めて「仕事の完了」となるわけです。出来なくてもいい仕事、と言うのは原則ありません。仕事の一つひとつがビジネス…すなわち商売である以上、必ずアウトプットが必要となります。

ですから、仕事が速い人の段取りにおいては、常に個人の好き嫌いによって選択される「やり方」に固執するのではなく、「目的・目標」を達成するための最適解、最短ルートを都度探そうとします。

 「残業続きで毎日しんどい」
 「何から手をつけていいのかわからない」

そうなってしまう原因は、本人の努力や能力が足りないからではありません。もちろん、最低限の努力は必要ですが、模範解答どおりにできるようになれば、品質もスピードも、誰がやったところでそこそこ同じような数値に落ち着いてきます(それが「仕組化する」ということです)。

そこから先に求められているのは、「最も楽して目的や目標を達成するための段取りや仕組みになっているか?」を考えることです。

「顧客から提示された」、「以前はこれで上手くいった」、etc.…他責にすることで、今回は考えなくてもいいと思い込んでしまいます。特定の「やり方」に固執し、それ以外を根拠もなく否定する人は、柔軟な観点を持ち合わせていないだけに、下手にリーダーになられるとそのチームメンバーは不幸です。

目的にこだわる

段取りの良い人は、「How」(やり方)より「Why」(目的)にこだわります。

そう言う人は「How」(やり方)を決めるのは、目的を明確にした後でいいと考えます。「Why」(目的)を考え、その目的に見合ってさえいれば、あれこれ考える必要がなくなるからです。そこから、経験した数多くの引き出しがあって、シチュエーションやシーンに応じて、最適なやり方を使います。だから、やり方で悩むことがありません。やり方は、目的を達成するための手段でしかないため、その時々で最適でありさえすれば、なんでもいいのです。

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むしろ、最適かどうかも検討せず、「こういうルールなので」「お客さまが言ったから」「以前もそうだったから」などという理由で「How」(やり方)を決めると、多くの場合、あとで後悔することになります。


もちろん、チーム内でそれぞれが自由気ままに行うのは問題です。チームワークには統率や足並みが無ければ、それはもうチームですらありません。チーム内での統率はあっても、そのチームが過去の経験則に捉われず、常にプロジェクトや業務の「Why」(目的)に応じた不確実性を乗りこなすための最適解となるよう、取り組む必要があります。

たとえば、仕事を進めているうちに、予定にはなかったはずなのに「これも」「あ、これもだ」と言った形でついついやることが増えてしまい、予定がゴチャゴチャになってしまうことはあったりしないでしょうか。

それは、最初の計画/準備の段階で、「Why」(目的)から最適解を検討しておらず、盲目的に「やり方」にこだわってしまったからです。自分のこだわった「やり方」が現状とマッチしていないと言うことを意味します。

 『「やり方」なんてものは(目的に適ってさえいれば)なんでもいい』

と考えた瞬間から、もっと色々なことが簡単に見えて、精神的にもラクになります。


議事録を作成する目的は?

たとえば、例に挙げてみると「会議の議事録作成」です。

これはあくまで一例ですが、「議事録は必ず作成しなければならない」…と、今も昔も考えられています。私も基本的には同意見です。ですが、それは目的が

 「記録を残しておかなければ、
  ①あとで言った/言わないの水掛け論になったら困る
  ②その場にいなかった人へのコミュニケーション手段として有用
  ③忘れた時に困る」

と言った事由に対して、対策が必要となるためです。逆に言えば、こうした課題を解決さえできるのであれば、別に方法は「議事録を作成する」と言う一択に固執する必要はないということです。

別に議事録を書かなくったって、「会議で書かれたホワイトボードをスマホで撮影して送ればいい」と考えれば、その仕事は次からなくなるわけです。ホワイトボード自体が電子化する機能を備えたものに買い替えてみてもいいでしょう。

本質的に求められているのは、先の①~③だけのことですから、議事録を書くなんてのは「手段」ではあっても、「目的」にはなりません。

そこにこだわったら、1会議あたりの無駄な時間が0.1~0.2人日増えることになります。仮に年間、1000会議行っているとして、100~200人日(5~10人月)。1人月あたり60万と仮定すると、5~10人月で、300~600万ほどの人件費を無駄にさせていると言うことになります。そんなことするくらいなら、たかだか20万かそこらのホワイトボードを数台買うことくらい、まったく問題ないはずです。

新人を1人、1年間遊ばせて給料を払っているのと同義となりますね。

それを承知のうえで、責任を取る覚悟があるのであれば、ホワイトボードにまとめる選択肢を捨て、必ず議事録に書く…と言うのもいいでしょう。もっとラクしようと思うなら、各々の参加者がスマホでホワイトボードの文字を撮影するだけの方法もあります。これなら、終了後にメールを送る作業すらなくなります。あとは、合理的なほうを選ぶだけです。

もちろん、ホワイトボードに書いた内容がそのまま議事録がわりにすることが万能というわけでもありません。ホワイトボードに書かれている内容を理解できるのは、恐らくは会議の出席者だけです。

 「忘れないようにするための記録」

と言う目的は果たせても、

 「参加できなかった人たちへの周知」

と言う目的には恐らく合致しないことでしょう。選択肢にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、

 メリットを最も大きく享受できて、
 デメリットの影響を最も小さくできる

方法を選べば、最も高い効果を期待できることでしょう。"選択肢"と言う概念を持たず、じぶんの「やり方」に固執する人は、それができないのです。


テレアポする目的は?

また、こんな方法もあります。
たとえば営業のケースです。

昔はテレアポをして新規開拓するのが当たり前で、たくさん汗をかいた人が偉いとされていました。しかし、紹介営業を駆使すれば、比較的新規開拓のハードルは下がります。つまり、お客様からの紹介だけでなく、

 ・他業界の営業マンと紹介をしあうという方法(金銭のやり取り無)
 ・業界組合に行き、何十、何百社と紹介してもらう方法

と言うものを活用すれば、飛び込み営業のようなギャンブルは必要なくなります。この方法なら、業界によってはアッという間に目標をクリアするでしょう。展示会などで名刺交換をするのも、似ているかもしれません。

そういう発想のない一部からズルとの非難が出るかもしれませんが、「投資対効果」が格段に高い方法ですので、どちらが企業にとってより高い貢献を示すかは自明の理です。

今では、多くのアウトサイドセールスが困難になってきましたので、オンライン会議を主体としたインサイドセールスと言う手段が主になってきましたよね。そういう点から考えても、「テレアポが必ずしもいいのか?目的に合致しているのか?」というと、そうではないことがよくわかるかと思います。

まぁ、通常のオンライン会議は、新規顧客を開拓する場としては難しいかもしれません。同じインサイドでも、DMなどを用いた方がよほど実現的でしょう。あるいはすこし殻を破ると、オンラインサロンなどを通じて、コミュニティの輪を広げていくという方法もあります(業務…と呼べるかどうかは、企業体質ごとに異なるので何とも言えませんが)。


まとめ

こうした「How」(やり方)は常に新しく考案するわけではありません。そして1つに固執するものでもありません。あらゆる選択肢を考えつくし、その中から、最も目的に合致する効果的な方法を選ぶのです。

このように、効果的な方法を選ぶ際は「ロジックツリー」で考えてみるといいでしょう(もちろん、これも一例でしかありませんが)。ロジカルに考えればヌケ・モレがなくなる(MECE)、あるいはなくなりやすいというメリットを得られます。

「ロジック」というと、「なんか難しい気がする…」と考える人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

この方法を覚えてしまえば、急速に脳内での情報整理がロジカルになり、修得した選択肢の中から検討する、ということができるようになるでしょう。突き詰めちゃえば、製品を一つ一つ部品に分解していくようなものですしね。

1つのトピック…テーマ(?)に対して、課題が明確になるように、どんどん具体化させていくだけです。この樹形図のことを「ロジックツリー」といいます。


マネジメントの「WBS(Work Breakdown Structure)」と発想は同じです。最初はもっとロクに書けていなくても構いません。問題は今後このツリーを太らせていくために、『書き始めるかどうか』と言う部分にあるのです。

ロジックツリーのルールはたったの3つです。

 ①縦の要素は「モレなくダブリなく」考える(件数と客単価など)
 ②方法を絞る際は、「効果的な打ち手」につながるものを設定する
 ③方法には正解はなく、「とりあえず決める」

最初はロジックツリーがうまく書けなくても気にする必要はありません。もし、それでもロジックツリーを作るのが難しそうであれば、とにかくルールを無視してでもいいので、このようなツリー(樹形図)の形になるように、要素を出してみてください。グチャグチャでもOKです。呼び方が「マインドマップ」や「フィッシュボーン」と呼ばれるようになるだけです。

実務においては、ロジックツリーが間違っていても、さほど問題ありません。大事なことは、「ロジックツリーをきれいに書くこと」ではなく、「ヌケ・モレなく、選択肢を洗い出そうとすること」。このとき、ツリーとして俯瞰して確認することができればOKです。「○○しようとする」…つまりは始めることが最も重要なのです。

進めていくうちに、ヌケ・モレに気づけば、都度埋めていけばいいだけですし、次からは反映させていけば、最初から精度の高いツリーになっていることでしょう。

職場を見渡すと、ロジックツリーで考えるのが得意な人もいます。その人の力を借りながら進めてもいいかもしれません。いきなりやり方にこだわるのではなく、課題と考えを絞り、目的から踏み外さないようにして、あらゆる選択肢から最適解を選ぶことが重要なのです。

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