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事実に基づく判断

品質を語る場合、すなわち自身が作り上げた製品に対して、その品質面において問題がないことを証明する場合、そこではすべて

 事実に基づく判断

を重視します。この場合の事実とは、「データ」のことです。データを収集し、データによる判断と行動をすることが、事実に基つく判断での、品質管理の科学的な根拠となっています。

ソフトウェアの品質では、主にテストを実施し、その結果をデータとしますね。そのぶん、テストケースを作成する際や、設計を行う際のレビューでは事実に基づいた品質の保証をしているかというと、微妙なところです。

ものごとを「事実で語る」には、現象を詳細に観察することが大切です。

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たとえば、製品のバグが問題になったとします。どんなバグが、どこで、どのように発生しているかを観察することは、バグが発生する原因を発見する重要な手がかりになります。このような観察に加え、バグの頻度、発生前後での操作やデータの流れといった情報を収集すると、原因を探るうえで効果的な分析が行えます。

このように「現場、現物、現実」をよく観察して、何が起きているのか把握する態度を三現主義といいます。三現主義の実行は、事実に基づく判断を実践することでもあります。

事実を示すデータは、使用目的によって、

 ①改善に使うデー夕
 ②保証に使うデー夕
 ③管理に使うデータ

の3つに分類できます。

改善に使うデータには、「現状の把握」や「問題の原因」を追及したり、あるいは「対策を決定」するのためのデータがあります。即時的な対応には使い勝手の悪いデータかも知れませんが、中長期的な対策に用いることができます。

現状把握…現状がどのようになっているかを示すデータ
原因追及…問題の原因を追究するのに役立つデータ
対策決定…対策案を評価するためのデータ

保証に使うデータには、いつ、どこで検査したのかといった検査のデータや、工程の記録などがあります。対策や改善のためではなく、問題があることを確認するためや問題が無いことを証明するためのデータです。ビジネスにおいて論理的であることが常に求められる所以でもありますね。何事も事実に基づいて証明し、納得を得られるようにするためには、感情や感覚に頼るのはとても不安要素が大きいのです。

検査の記録…品質を評価したデータ
工程の記録…実績の記録を示すデータ

管理に使うデータには、工程(プロセス)を管理するためのデータや、製造条件の調節のためのデータがあります。たとえば、製品の状態や品質を示すデータは、その製品が作られる状態を表していますので、工程の管理に利用できます。

管理状態の把握…進捗の状況や安定性を示すデータ
作業条件の調整…室温や機器の温度など、作業条件を示すデータ

マネージャーは、漠然とスケジュールやお金を管理するだけでなく、こうしたアウトプットを含む、全体の品質面での管理、すなわち監視とコントロールができなければなりません。

そうしないと、プロジェクトの責任者として、何を以って「納品しても良い」と言えるのかが説明できないからです。

 「言われたとおりにやった」
 「お客さまがそれでいいと言った」

と言うのは、事実そうなのかもしれませんが、言葉にするとそれはただの他責でしかありません。会社の名前を背負って、社会に送り出す責任を自覚し、自信を持って証明、保証できるようになりましょう。そのためには、情報を収集し、データとして整理し、いつでも説明できる準備が必要になるのです。

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