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起業家はお客様と恋に落ちる


宇宙一外食産業が好きな須田です。

先だって弊社のクライアントに、新規出店の依頼が大手デベロッパーよりあり、エリアと物件調査に行ってきました。
その帰りに参考となる店舗に赴き、出店するにあたりどのような業態を構築しましょうかという議論になりました。

その際に、業態と業種の区分けと、自分たちが出来ることとエリアマーケティングを考慮した開発が混同されていることに気付きました。

この混同されている状態で出店計画を進めていくと、成功確率は下がってしまいます。

フォーマットが確立しておりチェーン展開している業態以外は、多くの場合この業種と業態の違いと、自分たちが出来ることとエリアマーケティングの結果、消費者に求められていることの違いを理解せずに出店しているように感じております。

業種とは、端的に言うと何を売るのかです。
販売する商品によって分類されることを指します。
具体的に言うと、和食、割烹、焼肉、ステーキ、寿司、ラーメン、蕎麦、うどんなど、扱う商品を基準に分類されます。
業態とは、端的に言うと誰にどのようにいくらで売るのかです。
ターゲットと販売手法、価格帯によって分類されます。
例えば業種は焼肉でも、焼肉専門店なのか、焼肉居酒屋なのか、焼肉ファミリーレストランなのか、それぞれターゲットもメニュー戦略も単価も違ってきます。

この業種と業態の違いをきちんと理解していないと、開発そのものがブレて来ます。

なぜこのようなことが起きるのかと言いますと、出来ることを基準に業態を考えてしまうからです。


例えば、新規出店するにあたり既存業態は焼肉屋を営業しているので、今回の立地でも同じく既存業態の焼肉でと、端的に考えてしまいます。
既存の業態の分析を行いエリアマッチングするか否かという議論をすべきところ、既存業態を無理やり出店エリアにはめ込むことを行ってしまいます。

これは、その方が開発業務も簡単で、既知率(既に知っていて経験値が高いこと)が高いことを基準にして、希望的観測の素、業態をはめ込みに行きます。

顧客のモチベーションより、
自分たちが出来る業態をはめ込んでしまいます。


これによって何が起きるのかと言いますと、はめ込んだ業態がエリアマッチングに失敗すると、悲惨な結果になってしまいます。
しかも、既知率の高さが邪魔をして業態転換の必要性を感じながら安心感から、抜本的な対策が後手となりボディブローとなり、いつしか致命傷となっていきます。

損切りすら出来なくなってしまいます!

何店舗も展開している企業ですら経験することで、経験値が高いだけに起こってしまうという側面もあります。

私は過去にチェーン展開している業態を沢山設計してきました。

同じメニュー同じフォーマットですが、そもそも私の設計思想には、このエリアマッチングが根底にありますので、今回の物件はどのようなお客様をより強く意識して、その方々が使いたくなるように、その方々のモチベーションを獲得できるようにということをテーマに設計してきました。


同じ業態でも消費者へのアプローチを変えることで、その結果大きな成果を上げて来ました。


新たに就任する店長に、「ここのエリアはこういった傾向のお客様が圧倒的に多いです。 このようなモチベーションが存在しています。
ですからお店をこのように使ってください、このようなアプローチでお客様に提案してください」と、お店の取扱説明を行ってきました。


提供するメニューは同じでも販売手法を変えて、提案する内容が違ってくることによってお客様に伝わる印象は違ってきます。
店舗に配属されるスタッフはいつも通りに動きますが、店舗の作りとオペレーションに対する意図が違うので、エリアマッチングした業態となります。

その結果、同じ店名、同じ商品、同じフォーマットでも、出店するエリアで勝ち続けることが出来ました。

私が常に見ているのは業態力です。


業態力のことはまたいつかお伝えします。


これらは既存業態を持っている企業の例ですが、
ここからは起業家に視点を移したいと思います。


展開している企業と似て非なる現象が起業家には発生します。

企業は既知率があだとなり柔軟な発想と自由度が失われてしまいますが、企業家は既知率が全くありませんから、何が起こるのかと言いますと、やりたい業態、やってみたい業態、好きな業態を出店してしまいます。

和食の修行をしてきた、焼き鳥を焼いてきた、お好み焼きで働いていた、自分のラーメンで勝負したいなど、主語が全て自分です。


そもそもあなたの好きな業態は、本当にお客様の好きな業態ですか?
あなたに出来ることは、お客様の求めていることですか?
あなたの好きは、お客様の好きと一致していますか?


お客様が使いたくなる業態になることよりも、やってみたかった業態、提供してみたかった商品、勝負してみたかった味を押し付けてしまいます。

プロダクトアウトの最たるものです。
たまたま、ラッキーパンチが当たることもありますが、多くのパンチは空振りしてしまいます。

残念なことに、1年以内の廃業率の高さがこれを証明しています。


仮に、餃子を握れるようなっても餃子屋さんで成功することとはリンクしません。
美味しく楽しく使い勝手良く高付加価値で、適正価格で高利益率で集客が容易でリピート率が高く、競合優位性がありUSPが明確で、店舗の運営と企業の経営の違いが理解出来ていないと、店を回せても企業経営は成功しません。

私は起業家の必ずする質問があります。それは、


「その業態の専門家になりたいのですか?
その業態でビジネスをしたいのですか?」


簡単に言うと、
「ラーメン屋のおやじになりたいのですか? それならば、毎日6時間スープを炊いて鍋から離れず付きっきりで、麺も自家製麺に拘って、腰を痛めて膝がやられて、家族旅行も行けず気付けば家族を幸せにしたくて起業したのに家族を犠牲にしてしまう結果になる場合が多いですが、それでもそれを望みますか?
それとも、起業時は頑張って自分の味を模索し、消費者の意見を聞いて味替えを何度も行い、完成してからは外部に製造を委託して、スタッフを雇用して成長のステージを用意して、あなたと同じような起業家をサポートして、多くの企業家を巻き込んで成功を共に獲得していく、ラーメンビジネスを行い、大きな成功を勝ち取りますか?」と、解説させて頂きます。

有名なコンサルタントの、ジェイ・エイブラハムも同じ意図の質問をするそうです。

「起業することで、あなたは何を得たいのですか?」


起業をゴールにしてしまっている起業家が非常に多く存在しています。

我々の同業者も起業をゴールと考えています。

起業はゴールでなくスタートです。
それ以上でもそれ以下でもありません。
開業したその日は紛れもなくスタートした日です。

頭では理解していますが、本質を理解している起業家は稀です。
ですから、


「なんとかオープンに漕ぎ着けました!」

などと発言してしまいます。

オープンまでの苦労を顧みて発言しているのでしょうが、本当に苦労するのは開業後です。
脅すわけではありませんが、開業前は全てが想像で予想ですが、開業後は全てが現実の経験です。
業績も、お客様の反応も、クレームも、支払いも、返済も、生活の維持も、家族との関係も、全てがリアルなこととなります。

もう傍観者には戻れません!


飲食業の起業家はどうしても店舗や商品に恋をしてしまいます。

理想の店舗を作り、お店をオモチャの様に楽しんでいじくりまわし、商品に熱烈に恋をしてしまいます。

恋する対象は、商品ではなくましてやお店でもありません。

恋する対象はお客様です。

お客様と恋に落ちるべきです。


そうすれば、恋するそのお客様の事だけを想いつづける日々の営業となり、結果的にお客様もあなたと恋に落ちるでしょう。

その、あなたとの恋に落ちた方々が、顧客となりロイヤルカスタマーとなり、熱烈なファンとなります。

あなたの好きな商品と業態は、本当にお客様の好きな商品で業態ですか?

もう一度、冷静に検討してみましょう。

明日は、この様に考えてしまう脳の仕組みについてお伝えします。



<追記> 
昨日お伝えしました、クレドマネジメントシートに関して、
お問い合わせいただければ、フォーマットをお送りいたします。
ご要望があれば、詳細な解説と作成のお手伝いもします。
と、ご紹介しましたが、誠にありがたいことに早速、お問い合わせが数件ありまして、お渡しするにあたり7つの些少なお願いがあります。
1 ご自身の情報発信の媒体でシェアをお願いします。
2 ユーザーボイスを頂戴し、今後、私のサイトなどで紹介させていただきます。
3 11月に有線さんと連動した無料のセミナーを開催します。そのご案内をお送りします。
4 活用は自社内だけの限定とさせて頂きます。
5 同業のコンサル業をなさっている方の無断転用は不可とさせていただきます。
6 配布は、10月14日のお問い合わせまでとさせて頂き、上記の件をご了承いただけた方限定で配布をさせていただきます。
7 詳細な解説と作成のお手伝いは、別途実費がかかることご了承ください。

以上のお願いを遵守頂ける方のみ、クレドマネジメントシートをお渡ししたいと思います。
宜しくお願い致します。

Info@credo-management.com

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