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(名前を呼んで)(もう一度)

以前、名前の由来というお題でひとつ記事を書いた。それは本名についてだったので、筆名についても書いておこうと思う。
そうしたところで、これまでの名前をたどってみようと思いたった。

最初の名前は「雪夜」だった。これは当時好きだったヴィジュアル系バンドの、特に応援していたメンバーから一文字を拝借したものだ。

…うん。思いたったはいいものの、なかなか痛々しいことになるのではないか。
続けるけれど。

あの頃は、前略プロフィールやフォレストページなどが流行していた。私も例に漏れず、イラストや文章の個人サイトを作った。
サイトは「月夜の黒猫」、名前には名字が加わって「黒月雪夜」だった。

ああ、これはつらい。つらい。
まさしく黒歴史というものではないか。
当時、現実的にそういう年頃だったので仕方がないと思っておこう。
もし、万が一、この記事を読んで
(もしかして知っているかも…?)
なんていうひとがいたら発狂してしまうかも知れない。いても黙っていてください。
さて、次に行こう。

さすがに耐えかねる部分もあったのか、黒月は間もなく取っ払ってしまった、はずだ。
サイトはフォレストページからエムブロに移転し、名前も変えた。
空の字を使いたかった気がする。
「空音(くうね)」と名乗った。サイトの名前は「とむらいのしずく」とかそれを英訳してみたりとか…ああぁ、もう。思わず顔を覆いたくなる。まだまだ歴史の色は黒い。
さくさくと次に行こう。

エムブロでサイト運営していた頃に、何回か名前を変えたのだったか。
「紅飴」→「銀兎」→「水(すい)」
と変遷していった。
紅飴は、和っぽくて、苺のような…と考えてみたもの。銀兎は、月の異名から。どちらもあまり長くは使わなかったような気がする。
水は本名から一文字。それゆえかしばらく落ち着いて、何年か続いた。
「飴子」という名前も使っていた記憶があるが、どのタイミングかよく覚えていない。紅飴の後にくるのかも知れないし、筆名というよりハンドルネームだったのかも知れない。

やがて、Twitterをはじめた。
創作用アカウントの最初の名前は「銀兎 水」で、いちばん古いツイートに残っている。うっかり文面を見返したら、やはり恥ずかしくなって顔を覆った。私は年明け早々何を書いているんだろう。しかしまだ本題に辿りついていないので、もうただ走るのみとする。

いつくらいからは覚えていないが、ここまできてついに「透子」になるのだ。
すきとおったものが好きだからそうしよう、という、明快な理由で。

今、ネット上で交流してくれているひとのほとんどは、私が透子になってからしか知らないのではないだろうか。もうそれくらい長く使っているし、馴染んでもいる。
「雨木」と名字をつけてからはまだそこまで経っていない。これは、レインツリーという雨の音を生む楽器からだ。

自分が好きだと思えるものをつくれるように、筆名だって好きなものから掬おうと思って。辿りついた。

雨木透子。
私のもうひとつの名前。

ただ。
縮めたら「雨透」になるのだと気づいて。たまらない気持ちになって視界がぼやけた。
大切な友人のこと。
もう会えないあのこのことが。
思い出されてしまったから。

(ふたりでコラボだから雨透だね)
(あめすけ…)
(あまとう。僕たち甘いものも好きだし)
(うん、いいなぁ)

だいすきだった。

何をしてあげられたんだろう、と思う。答えがあるはずはなく。これからもきっと、ふとした瞬間に思い出し続けるのだろう。
自戒のようにして。

由来というよりも、後から帯びた思いのほうがふくらんでしまった名前。
そうそう手放せないね。

私、雨木透子といいます。
どうぞ、今年もよろしくお願いいたします。



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