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月曜日の寝室

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気の向くままの雑記帳
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明かりを灯すために

明かりを灯すために

気がつけば今年も終わろうとしている。
最後に更新した日付を見てささやかに戦慄した。こんなにも書けなくなっているのか。いや、「書かなくなった」というべきか。
昨年も同じようなことを考えていなかったかい、私よ。
まだまだ収まったとはいえない感染症のせいにしてしまうことは簡単だけれど。私の心持ちが変わってしまったのだと認めるべきである。

……というところまで書いていて、結局2021年のうちには書き終え

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なんでもない日

なんでもない日

あまり、積極的な姿勢で呼吸をしているのではないことをなんとなく感じている。
ほんのりと在る念慮は甘美な毒だ。

理由も、
意味も、
自分で見つけるのは難しい。

私の内にいる獣は、今、どんな目をしているだろう。温度を探りながら。

いつか、自分で自分に対して、きちんと言ってやれる日が来るのだろうか。
そんなことを思う。

誕生日おめでとう、わたし。

(名前を呼んで)(これからも)

(名前を呼んで)(これからも)

以前、名前についての記事をふたつ書いた。
本名についてと、筆名について。
これでみっつめになる。

しばらく使っていた「雨木透子」という名前を変えることにした。
随分と長く傍にいた名前だし、特別な思い入れもある。ならばなぜ? と自分でも疑問に思わなくもないのが本当のところ。だけれど仕方がないのだ。変えなくてはならないという気持ちがやまなくなってしまったのだから。そういうとき、なのだろう。

雨宮真

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想像する、こと。

思考は、少なからず想像力で補われている行為なのだと思う。その範囲やいろ・かたちが異なっているから、時にはひどいすれ違いをおこしてしまう。

あなたが知っているものをわたしは知らない。
逆もまた。
異なった心では同じものを映せない。だから、痛みをつくらないためには、ていねいに想像してみる必要がある。……なのに、そうしているうちに置いてきぼりにされてしまうこともあるのだから、さみしいものだ。

どうし

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花を飾る

花を飾る

昨年の今頃だったろうか。
少し変わったデザインの一輪挿しを買った。
うつくしいあおいろで。
つやりととうめいで。
そっと撫でてみたら連れて帰りたくなった。
それ以来、ささやかながら花を飾るようにしている。

植物は好きだ。
庭先で、簡単なガーデニングなどできれば素敵だろうなぁと思う。ただ、どうにも草花を育てるのには向いていないらしい。
いろいろ植えてみたことはあるものの、ワンシーズン楽しませてもら

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春の匂いのする夜に

襤褸をまといながら
やわらかく羊の毛を撫でる
透明な瞳をした吟遊詩人が
やはりやわらかい声色で
ほつり
ほつりと
語っていた

今日がさいごの日であると思って、
楽しみ、
慈しみ、
愛おしみ、
後に悔やみを残さぬように、
日々を暮らしてゆきましょう。

月の光がとろりとこぼれて
甘やかな果実を割る動作を照らした

あなたがくれた感情を
わたしはきっと知っている

左手首の相棒

左手首の相棒

腕時計の電池が切れる瞬間を見た。

時刻を確認しようと視線を落とすと、まるでおかしな針の位置をしていた。朝の出勤前だというのに、示されている時刻は3時台。
おや、と思えば秒針の動きがぎこちない。2秒に1回進むといった具合だ。そろそろ電池切れか、交換しなくては、と考える。

つい盤面を眺めてしまう。
かくん、かくん、と少しずつぎこちなさを増していく。螺子が切れたように、という形容を思い浮かべた。

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(名前を呼んで)(もう一度)

(名前を呼んで)(もう一度)

以前、名前の由来というお題でひとつ記事を書いた。それは本名についてだったので、筆名についても書いておこうと思う。
そうしたところで、これまでの名前をたどってみようと思いたった。

最初の名前は「雪夜」だった。これは当時好きだったヴィジュアル系バンドの、特に応援していたメンバーから一文字を拝借したものだ。

…うん。思いたったはいいものの、なかなか痛々しいことになるのではないか。
続けるけれど。

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(名前を呼んで)

(名前を呼んで)

私の本名は、少しだけ珍しいと思う。

音そのものはそうでもないはず。ただ、漢字がちょっと変わっているのだ。筆名とも通じているかも知れない。それと強く意識しなくても、共通する要素を持たせてしまった。
(筆名については、当初は名前だけで、後から名字を足したという過程があるのだが、今回は本名に関してのnoteにする)

「きれいな名前」

だと、言ってもらえることが割合に多く。くすぐったくも

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森に響く音

森に響く音

ストリートピアノというものをときどき見かける。
人々の行き交う町の風景の中に、ぽん、と優美な違和感で置かれている。そこにピアノがあるというだけで、なんとなく心がゆったりする。

この夏、ひとつきほど、よく利用している駅の広場にピアノが置かれていた。ピアノの音色は好きだが、ろくに弾くことはできないのでいつも横目に通りすぎていた。
一音一音確かめるようにきらきら星を弾く女の子、スピード感あふれる演奏で

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わたしとし

どこがはじまりになったのか、と思い返す。

詩を書いたことがある、とはっきり言えるのは、高校生のとき。
夏休みの課題の一環で、やれポスターを描けだの、やれ標語を考えろだの、何かしらクリエイティブなことをする必要があった。私は「全国高校生創作コンテスト」に応募したのだ。クラスの中で、そのコンテストを選んだ人数は多くなかったのだと思う。ひとり、やわらかい言葉づかいをする男の子が小説を書いていたらしい

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リンドウの花言葉

深夜、なんとはなしに見ていたドラマがある。どこまでも揺らがない「正義」を持つ女性が、周囲の人々の「間違い」を正していくという筋のもの。
「私、何か間違ったことを言っている?」
と尋ねる彼女。その行動はどうしようもない正しさ(法に基づいている)で決められているから、問われた側は「間違っていない」と受け入れることしかできない。たとえ感情がついていかなくとも。
見ていてとても怖くなった。
「間違っていな

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旅の持ちものが決まらない

自分しか乗っていない電車の車両。
適宜、知人と連絡をとる。イヤフォンを耳に押しこむ。読みかけの本を持ってきていたことを思い出す。イヤフォンは外す。しばらくの間、文字を追う。読み終わる。どきどき。家で読んでいたら泣いていたかも知れない。身につけたオルゴールボールがしゃらんと鳴る。再びイヤフォンを耳に押しこむ。ほうじ茶ラテを口に含む。少し、TwitterのTLに目を通す。ずいぶんバッテリーの消耗が早く

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それでも、それでも。

久しぶりに美容院に行った。一度タイミングを逃して、ずるずると先延ばしになっていたのだが、年も明けたことだし、と。
髪質は、自分の中で気に入っているところ、ふたつのうちのひとつ(ちなみにもうひとつは、右手の小指の爪の形)。
自分はどう頑張ってみても自分でしかいられないのだから、なるべく、気に入っておきたい。実際はずいぶん難しいことなのはわかっているけれど。

「自分のコンプレックスになっていることに

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