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個人事業主日記 2021年11月1日

画像は5歳息子がWindowsのペイントで描いたもの。天才で恐れ入ります。

クラウド会計ソフトを利用している。たいへん便利である。

社会人になったのにお金のことに疎いままだったのがいやで、十年ほど前に簿記三級を取ってみた。取ったはいいが、使わない知識はすぐに蒸発してしまう。思い出すための復習もできないままに独立してしまい現在に至る。

日々の請求。経費の処理。画面の指示に従いながら、適宜ググりながら、なんとかこんとかやれている。そして数ヶ月後にはフリーランスになって初めての確定申告が控えているわけだ。不安はない。現時点では何をどうすればいいのかまったくわかっていないが大丈夫。だっておれは、クラウド会計ソフトを利用しているから。

たとえば今年は、七月までは会社員としての給与収入があり、八月以降が個人事業主としての収入に切り替わっているという、きっとイレギュラーで面倒くさい年だ。でも大丈夫。だって、今までこのクラウド会計ソフトを使ってきた人の多くが通った道であるはずだから。

ソフトの機能を信じているのもあるけど、どちらかといえば「きっと、おれと同じところで悩み、つまずき、助けを求めた人々は大勢いるはず」という部分をおれは強く信じている。これはクラウド会計ソフトに限らず、パソコン関係のつまずきについては大体のことが既に世界の誰かによって経験されており、解決されている(解決されていない場合もあるが、解決できないんだなということがわかる)。

テクノロジーと集合知によって、かつては専門家の独壇場であった領域が専門的ではない人々に開かれた。専門性の民主化。おかげで簿記三級崩れのおれなんかでも独力で個人事業主を開業できているわけで、たいへんありがたい世の中の流れであるわけだが、いっぽうで仕事を失った専門職がいるであろうことも容易に想像がつく。それはもちろん、会計の分野に限らず。多岐にわたる分野において。無論、広告業の分野でも同じことだ。

そうでなくても、ただでさえコピーライターは専門職と理解されにくい職業だ。誰でも読み書きできる日本語というものを商売道具にしている。日本語を専門的な技術だと日頃意識している人はそんなにいない。そういう状況で、いかに自分の専門性を理解してもらうかということは、プロのコピーライターとしての生命線だ。

ただし、あまりにコピーライターの専門性を主張しすぎると、クライアントに対して「あなたは日本語の読み書きがまともにできていませんね」というメッセージを送ることになりかねない。そんなつもりはなくても、そうとられても仕方ない。言い方がむずかしい。

最近思っているのは、誰しもが使えるのが日本語というものだけれど、その日本語の使い方をずっと考え続け、成功と失敗を蓄積しているのがコピーライターなのかもということ。やろうと思えば誰にでもできる、けれどそんなに多くの人がやろうとしないことを、わざわざやっている。だから(少なくとも今の)あなたよりは、日本語の効果的な使い方を判断できる。それもまた専門性といえるのではないか。

言葉の力と無力さの両方。あとは、そういった言葉の技術を何と組み合わせられるかってところかなあ、と考えている。

言葉がいつも正しいとは限らないけれど、言葉のことをいつも考えているのがコピーライターである。お力になれそうなことがあれば、よろしくどうぞ。


【10月にお目見えしたお仕事】

MOOQs element

https://mooqs.jp/

旭川に本社のある国内大手の総合木材会社・昭和木材さんが立ち上げたDIY用木材ブランド「MOOQs element(モークス エレメント)」。DIY用として広く流通している安価な針葉樹と異なり、建築や高級家具に使われる広葉樹の木材を展開します。コンセプト「つくるきになる」の開発、ほか各種コピーをお手伝いしました。みんな!つくろうぜ!

その他、書けない仕事も各種お目見えしております。

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