虚構は人を熱狂させる

虚構って言葉、日常じゃあまり使いませんね。

でも、僕の日常において100%大いに関わっています。そして、虚構が好きです。おそらく、誰にでも関係している虚構のお話。

その虚構とは何なのか、まず辞書を引いてみましょう。

【虚構】
つくりごと(をすること)
フィクション

辞書の意味をそっくりそのまま受け取ると、身もふたもない話になってしまうので、ここでは「存在しているようで存在していないもの」と、とらえたいと思います。

■自分の日常から虚構を読み取る


朝、起きてからのんびり支度をして会社に向かいます。今の仕事は、国が設けた制度内での業務になるので、月に一度報酬をもらうために市役所に請求書を提出に行きます。市役所職員の方には頭が上がらないので元気にあいさつします。「株式会社○○のすーしゅんです!」昼食は手っ取り早く済ませたいので、おにぎりとサラダを手に取り、レジにてお金を出して買いました…

さて、次に上文から「存在しているようで存在していないもの」を挙げてみます。

会社・国・市役所(市)・制度・お金

僕はトチ狂ったわけではありません(笑)会社を例にしてみます。

会社はどこにあるのか? → ○○県○○市1-1 → ではその会社の建物が無くなったら会社はなくなる? → 社員がいるからなくならない。登記簿もある。 → ではどこに会社はあるのか?…

といった具合にややひねくれているかもしれませんが、会社の存在について質問していくと「存在しているようで存在していない」ことがわかります。よって、これらは虚構であると言えますね。

■ジョーカー


しかし、なぜこれらの虚構が存在しているかのように成り立っているのでしょう。それは「みんなが信じているから」です。

お金もというのは不思議かもしれませんが、自分一人と大金の入ったスーツケースだけが無人島に漂流したとすると、その島ではお金はないのも同然です。なんせお腹を満たしてはくれません。みんなが1万円の価値があると信じるという虚構が、はじめて福沢諭吉の描かれたただの紙きれに意味を持たせます。

そう考えると、映画『ダークナイト』でバットマンの宿敵ジョーカーが街中の現金をかき集めて、全部燃やしてしまいましたが、そこからまさに「人が抱く虚構をぶち壊す」という強烈なメッセージ性を感じ取れます。

サピエンス全史の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏によると、虚構を生み出しそれを信じることができたからこそ、他の種族を押しのけ、僕たちホモサピエンスが生き残り、繁栄を遂げられたのだと言います。虚構を生み出し、信じることができるのは人間だけなのです。

■創造する


人間が認知革命を経て、多くの王や統率者は虚構を用いて多くの人々を支配、ある時は熱狂させてきました。前出の書の言葉を借りれば「王権神授説の神話を信じるのをやめ、国民主権の神話を信じる」までの虚構は繁栄をもたらした反面、多くの人の自由を奪い、命も奪ってしまったかもしれません。

しかし、今ならその虚構が自分を生かし、場合によっては多くの人を熱狂させることができるかもしれないと思うとわくわくしませんか?

僕が好きな『指輪物語』を生み出したのはJ.R.R.トールキンという一人の人間ですが、彼の生み出した虚構に熱狂するファンは世界中にいます。

noteでは本サービス内で創作する人のことを「クリエイター」と呼ぶそうですが、まさに虚構を創り出して人を熱狂させる生業なのかもしれませんね。

※人類史においていかに虚構が役立ったか詳細を知りたい方は『サピエンス全史』の一読をおすすめします。

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