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「過去未来報知社」第1話・第30回

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☆連載内・クリスマスイベントです(第29回~)
#Xmas2014
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>>第29回
(はじめから読む)<<第1回
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「危ないな、気をつけてくれよ」
 書類の落ちた先のソファに寝ていた慶太が、
真剣白羽とりよろしく書類を掌に挟んで起き上がった。
「あなたも、あなたです! なんでここにいるんですか!」
「六合荘にいると、全館を掃除させられそうな勢いなんだ」
 心なしかしょんぼりと慶太は答える。
「別に俺の身長は、煤払いをするために伸びたわけではないんだが」
「かといって、
役場の狭い部屋をより狭くするために伸びたわけでもないでしょう!」
「まあまあ、ソファの上にいる分にはスペース的に変わりないし」
「そして、あなたはこの一般人を追い出す立場の人です!」
 のほほんと慶太にも茶を出す東谷に、笑美はまなじりを吊り上げた。
「ここも賑やかになったねぇ」
「やっぱり、若い人がいるといいよ」
「前の子は、一ヵ月持たなかったからね」
「待て。最後の一言がなんか気になる」
 やはりのほほんと茶をすする『六合三隠居』に、笑美は声を上げる。
「特性がね、やっぱりいるから」
「それは東谷課長にですか、六合町にですか」
 老人たちは答えず、ただにこにこ笑うのみ。
「……分かりましたよ。その妖怪サンタのことを調べればいいんですね」
「お、折れた」
「負けたんじゃないですよ。この混沌とした状況を打開するためです」
 メモ帳を手に『六合三隠居』を振り向く笑美。
「クリスマスに仕事をしようなんて」
「誰も誘ってくれないのかね」
「若いもんがだらしない。私の若い頃はね……」
「……事件を解決して欲しいんですか。
 それとも私にしばきたおされたいんですか」
 ぷるぷると震える笑美に、三人は身を寄せ合う。
「おお。怖い」
「老人虐待だよ」
「まったく近頃の若者は」
(まったく、近頃の老人は!)
 笑美は、何度目かの言葉を飲み込んだ。
 言えば言うほどからかわれることに、やっと気がついたからだ。
 それでも言いたくなるこの展開。
(伊達に年はとってないわね……)
 笑美は変なところで、小さく感動した。
「まぁ、まぁ、二人ともこのぐらいにしておこうじゃないか」
 若詐欺が二人に手を振る。
 やっと話が前に進むのか、と笑美はほっと息を吐く。
「腹も減ってきたことだし」
 理由はそっちかい、笑美の突っ込みより先に腹の虫がぐぅ、と鳴った。
 窓の外で日向ぼっこをしていた二匹の猫が、笑うようになきあった。

>>第31回

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