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2015年2月の記事一覧
「過去未来報知社」第1話・第71回
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>>第70回
(はじめから読む)
<<第1回
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「お帰りなさい。いかがでしたか? ハイキング」
「そんなんじゃないです」
食卓で笑顔で迎えてくれたねこに、笑美はげんなりと答えた。
「なんですか、あの行きはよいよい、帰りは怖い! な
ガンガンな山道! 遭難するかと思いましたよ!」
「ああ、下山にはいぱーるーとを使ったんですね」
「過去未来報知社」第1話・第70回
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>>第69回
(はじめから読む)<<第1回
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「六合が、商人の集まりからできた街だということは知っていますか?」
「はい、郷土史で読みました」
健脚の飯島になんとか追いつき、息を整えながら笑美は答える。
「この土地へ人を誘ったのは、一匹の猫だったそうですよ」
「ねこ?」
飯島は薄く笑う。
「ああ、一匹なんてカウントすると、怒
「過去未来報知社」第1話・第69回
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>>第68回
(はじめから読む)
<<第1回
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「この辺りに来るのは、久々ですね」
飯島は周りを見渡して微笑んだ。
商店街を抜けた先、クリスマスサンタ騒ぎの大木の向こうには
ちょっと都心に近いとは思えない自然が広がっている。
目隠しをされてつれて来られたら、まさかここが
都心から電車で一時間弱で来られる土地とは思わない
「過去未来報知社」第1話・第68回
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>>第67回
(はじめから読む)
<<第1回
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「昔、この町で映画の撮影があった、それは知ってるな?」
「はいはい、50年前にあった映画で、未公開のやつですね」
撮影隊の後をこそこそ歩きながら、田中は谷口に語りかける。
「あのネズミみたいな顔した町の人が言ってた、アレですね」
「俺、ちょっと調べてみたんだが」
「田中さん、よく
「過去未来報知社」第1話・第67回
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>>第66回
(はじめから読む)
<<第1回
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その頃の六合荘では、珍しい光景が繰り広げられていた。
とは言え、妖怪戦争が起こっていたわけでも、天変地異が起きていたわけでもない。
来訪者の対応を玄関でしていたのだった。
ただし、大家が。
六合荘の大家を知っている人間なら驚天動地の出来事だが、
知らない人間から見ればあ
「過去未来報知社」第1話・第66回
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>>第65回
(はじめから読む)
<<第1回
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「え~、本格的な撮影は来週に入ってから、になりますが
今日は地主の飯島さんのご進言もあり、
下見、というか事前設置というか、まぁ、そんなことです」
撮影スタッフの視線が集まる中、
やや緊張の面持ちで笑美は説明する。
本来は公報課の仕事になるが、春の交通安全の準備で忙しいと
「過去未来報知社」第1話・第65回
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>>第64回
(はじめから読む)<<第1回
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「なんですか、その装備は」
東谷の格好を見て、笑美は呆れた声をあげた。
東谷は、まるでどこぞの山岳登山隊の如く荷物を積みあげて
満足気にポン、と叩く。
「登山部から借りてきてやったぞ」
「エベレスト登頂に挑戦するわけじゃ、ないんですよ」
一方の笑美は、ジャンパーにジーンズ。
「過去未来報知社」第1話・第64回
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>>第63回
(はじめから読む)<<第1回
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「そろそろ、お仕事をなさったらどうですか?」
窓に向けた安楽椅子に座り、
するともなしに膝に乗った白猫のノミ取りをしていた大家は
ネコの声に首だけ振り返る。
「仕事はするものじゃない。来るもんだ」
「来るものは拒むじゃないですか」
「今は余計な事は抱え込みたく
「過去未来報知社」第1話・第63回
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>>第62回
(はじめから読む)
<<第1回
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クロがソレに気がついたのは、
ちょっと街が騒がしくなってきた朝だった。
クロ、というのは商店街の魚屋の店主が自分を呼ぶ名前だ。
本当は黒に灰が混じったゴマ模様だし、
もういい年なのでそんな子猫のような呼ばれ方は好まないが、
新鮮な魚のきれっぱしの魅力の前では大した事はな
「過去未来報知社」第1話・第62回
>>第61回
(はじめから読む)
<<第1回
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「本人に聞けばいいじゃないの」
読みかけの新聞の向こうから、東谷は眠そうな声で答えた。
「過去未来報知社への依頼の仕方なんて。君の大家さんでしょ」
「でも、あのサンタ騒ぎから一回も会ってないんですよ。
同じ建物の中にいるはずなのに!」
相変わらず入力作業を続けながら、笑美は声をあげた。
「食事もネコさんが部屋にもっていくし、一
「過去未来報知社」第1話・第61回
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>>第60回
(はじめから読む)
<<第1回
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「撮影、来週だって?」
「そうなんですよ。これが意外と大変で!」
両脇に持った大荷物をドサッ、と置き、笑美は肩をぐるぐると回した。
「役場の書類って、持ち出していいのか?」
「ああ、これ? 事務書類じゃないですよ。
昔のパンフレットとか、新聞記事とかのコピーです。
誰でも見ら
「過去未来報知社」第1話・第60回
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>>第59回
(はじめから読む)
<<第1回
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「あの、すみません」
不意に後ろからかけられた声に、三宅は振り向いた。
この辺りでは見かけない女性が、控えめに話しかけている。
(いっちゃんと同じ、アカシのファンかな?)
芸能人のおっかけにしては清楚で控えめな風情に、三宅は首を傾げた。
「あの、この辺りに、
「過去未来報知社」第1話・第59回
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>>第58回
(はじめから読む)
<<第1回
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「やっぱり、アカシはいいねぇ」
頬に手を当てると、市子はほうっと呟いた。
「いっちゃんは、本当に若い男が好きだね~」
「あらやだ、三宅ちゃん。若いって言ったって、アカシはもういい歳よ?」
「いっちゃんより20歳以上若いじゃない」
「若いっていうのは、それこそ20歳以下を言うのよ」
「過去未来報知社」第1話・第58回
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>>第57回
(はじめから読む)<<第1回
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セピア色の光の中で、若い男女が笑いあっている。
どこかはにかんんだ様子には、二人の間にある微妙な関係が如実に現われている。
周囲に広がる渓谷は、自然の色を色濃く残している。
遙か頭上には、天を貫くような大木が立っている。
女性が男性に微笑みかける。
その顔を見ると、飯島の