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未充足ニーズの見つけ方=行動を見る

CASは潜在している未充足ニーズを発見、創造する方法です。つまりこれを利用するということはニーズというものを扱う必要があり、故にニーズというものの特性を知る必要があるということになります。目に見える形のないニーズというものを捉えるにはニーズについてよく知る必要があるのです。

その為にはまず、「ニーズ」というものの定義が必要になります。CASで定義するところのニーズとは「満足を得るために行動を駆り立てる力・動因機能」であるとされています。つまり、ニーズとは行動に反映されるものなのです。

「〇〇したい」と口で言ったとしても、それが、特に大きな障害もないのに実際に行動にあらわれていなかったとしたら、それは口先だけでニーズではない可能性があります。強いニーズとは障害やトレードオフを乗り越える力が強いのです。そこに費用や時間、手間暇がかけられているのかどうか、ということがニーズの存在や強さの判断基準となります。例えば「勉強したいが時間がない」という発言で勉強していない状況が表現されたとしたら、勉強したいというニーズは弱く、勉強の代わりに時間が費やされていることが強いニーズだと判断できます。

(※ではなぜそんな発言をするのかというと、「勉強はするべきだ」という社会通念に影響され「向学心のある人間だと思われたい」というニーズがあるからだと考えられます。「勉強したい」のではなく「勉強したいと思っている人間だと思われたい」のが本音です。)

ニーズが強くても、それを充足する手段が複数あるのならば、その達成には最もトレードオフが小さい手段が選択されます。一方、充足する手段が無ければ、大きなトレードオフでも許容されます。つまりニーズには強さ以外にも未充足度という特性があるわけです。

その他、ニーズには、種類、発生頻度、拡がり(ボリューム)、複数のニーズの葛藤状況におけるウエイトのバランスなどの特性があります。

行動した結果、満足や不満が生じているかどうかもニーズの存在や種類を検証する手掛かりとなります。ニーズが達成されていれば満足ですし、未達成なら不満です。しかし、満足は潜在しやすい感情であり、日々習慣化しているようなことは「満足」とは感じていないことが多いものです。その場合は、その行動が継続されているかどうかが満足の判断基準となります。満足された行動は繰り返されるという特徴があります。

日常の生活行動に関するニーズや商品の利用に関するニーズは、特定のオケージョンにのみ顕在化し、その他のオケージョンでは潜在しています。例えば、雨が降らないと「傘をさしたい」というニーズは顕在化しませんし、将来の目標が決まらないと「勉強したい」というニーズは顕在化しません。

このように、ニーズや満足には「顕在」と「潜在」という性質もあります。

ニーズにはこのように様々な特性があるわけですが、要は「行動を駆り立てる力」ですから、言葉に表れなくても行動を見ればニーズはわかるということになります。行動は言葉よりも雄弁なのです。そして、その行動の結果、満足が高ければニーズの充足度は高く、低ければニーズの充足度は低いということになります。満足とは、行動の結果得られた満足の充足度の評価機能です。

この関係を梅澤先生は

「ニーズ」-「行動」-「満足」の法則として明らかにされています。上記の内容をまとめると以下のようになります。

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さて、本田氏達の事例に戻ってみると、彼らは皆、生活者の行動に着眼してニーズを把握していたわけです。当時同じ情景を目にしていた人たちは多かったはずですが、彼らはその中からニーズを読み取ろうとしていたからこそ大きなビジネスチャンスの存在に気付いたわけです。

彼らは市場調査を役に立たないと否定したわけですが、市場調査で彼らがやったことを実現するためには、そこに大きなヒントがあります。

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