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中国について偏りなく知るには、どうすればいいのか?

先日、野本響子さんのVoicyに呼んでいただきました。

先般中国で起こった「白紙革命」の件や、中国の人々が自国や海外のことをどう捉えているのかなどについて、知りうる限りお話しさせていただきました。

こういうところに出るたびに、自分のしゃべりのあまりの拙さに恥ずかしくなってしまうのですが(「あの〜」だの「えっと〜」だのフィラーが多すぎる! あと同じことを何回も繰り返し過ぎ!)、野本さんにいろいろと引き出していただいたおかげで内容自体はたいへん面白いものになったと思います。ぜひお聞きください。

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野本さんの質問に対して、おおむね自分なりに意味のある受け答えができたと思ってはいるのですが、自分の中でひとつだけうまく答えられなかったなーという質問があります。それは、「中国について偏っていない情報を得るには、どうすればいいんですか?」という質問についてです。

いわく、日本において中国に関わる報道などはどうにも偏っているように見えるが、そうじゃない情報を得るにはどうしたらいいのか、というご質問でした。

本編のVoicyを聴いてもらえればわかるのですが、この部分でなんかモニョモニョした答えになってしまったんですね。

なので今日もマガジンでは補足と言いますか、この問題に対して改めて自分の考えを整理して、まとめておくことにしました。ご自身で中国について調べたり知ろうとするときの参考にしていただければと思います。

中国語や英語だからいいということでもない

まず日本のメディアが中国について偏っているという件については、僕自身も以前noteに書いたことがあります。

そのメディアのスタンスによって多少の差異はありますが、日本のメディアはおおむね中国に対して批判的というか、「中国は怖いところ、危ないところ」という前提に立つようなものが多く見受けられます。

これはある程度避けられないことで、大手の報道機関などは商売上メインターゲットとなる人々の認知からあまり大きく離れたことをやっても仕方がない、というのがあるのではないかと思います。

マスメディアはそれこそマスに向けて情報を発信しなくてはならないとするならば、日本においては結局、中国のことがあまり好きではないという多数派の人に「寄せた」内容を報道せざるを得ません。これはたぶん、最低でも向こう10年くらいは変わらないでしょう。

ただ、では日本はダメだから国外のメディアに目を向けよう、たとえば中国語や英語のメディアを見ればいいじゃないか……という単純な話でもないのが、難しいところです。

なぜかというと、まず中国国内の中国語メディアは多くの場合「党の喉と舌」とも言われるように、中央政治の意向を多分に反映したものになっています。つまり、結局ここにも日本のそれとは違うベクトルの偏りが大きく存在していることになります。

なので中国語メディアだけ見て、何かをわかったような気になるのはそれはそれで危険だと考えます(在外の中国語メディアや、中国国内でもできる限り「お上」の影響を排そうと頑張っているメディアなどもありますが)。

そして英語メディアについてですが、たしかに情報量自体は日本語よりは多いものの、特に欧米のものについては地理的・文化的な遠さ、あるいはアジア的なものへの無意識的な見下しからか、けっこうな決めつけや間違った前提が盛り込まれているものがそこそこ見受けられます。

たとえば欧米メディアの中国を見る目には、「中国の人々は、独裁政権のもとで圧政を強いられている」という前提や、さらには「いつかは独裁政権は瓦解し、中国も西欧民主的な道を歩むことになるのだ」という期待のようなものが、少なからず含まれていることがあります。

でも、実際に中国の人々に接していると、それは大きな誤解であるように思います。中国の人々は、いまの中央政治的なものに不満があるかどうかはさておき、ほとんどの人は西欧的な民主主義が中国にとって必要だとは考えていません。

なので結局、英語メディアはそれはそれで偏りを免れない、ということになります。

人をベースに解像度を上げていく

うーん、そう考えるとどこもかしこも偏りだらけです。八方塞がりです。各種メディアから中国についての情報を得ることは、無理なのでしょうか。

どうしたらいいのかと考えたときに、おすすめできそうなのは個人をベースにして情報を拾い集めていくことなんじゃないかな、と思いました。

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