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視覚とパフォーマンスの関係

視覚情報すべての感覚情報の7割を占める

 視覚情報は体性感覚、聴覚、前庭感覚など数ある感覚情報のうち70%が視覚情報が占めています。

 脳の35部位が視覚情報処理に関わり、脳体積のうち27%が視覚情報処理に使われます。

 感覚情報の7割を視覚に頼っており、脳の情報処理の約1/3が視覚情報の処理に使われています。

 私たちは普段の生活の中で大部分を視覚情報に頼って過ごしています。

 今回はそんな視覚とパフォーマンスの関係についてお伝えしていきます。

中心視野と周辺視野

 視野には中心視野と周辺視野に分かれます。

 中心視野は名前の通り視覚の中心のことです。視覚全体の広さの2%程度を占め、色の分析など、物体の詳細までを把握する能力に優れていますが、情報の処理速度が遅い特徴を持ちます。
一般的に行われる視力検査はこの中心視野の評価をしています。

 周辺視野は視野の周辺のことで、視覚全体98%を占めています。周辺視野は情報の処理速度が速く、光の分析が優れています。何か物体が動いた時の探知や自身の身体の空間的な位置の特定を担っているのが周辺視野になります。

 パフォーマンスにおいてはこの周辺視野が非常に重要になります。

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パフォーマンスと周辺視野

 例えば、サッカーにおいて、相手選手との距離感、横からくる選手の位置把握などは周辺視による情報を処理して次のどのような動作をするのかの意思決定をしています。
 視覚情報の処理がうまくいかないと意思決定、認知、情動に悪影響を及ぼします。
 また、ストレートネックなどの姿勢不良や不安定な足場、不安や緊張、ストレスなどは無意識下に脳が安全ではないと認知します。安全性の認知ができていない状況は周辺視野の情報を切り捨てて、中心視野ばかりになってしまいます。

「焦っていて周りが見えなくなる」「緊張して相手の表情が見えなくなる」こんな経験をしたことがありませんか?
 まさに周辺視野の情報が遮断されている状況です。

 周辺視野の精度をより高めるためには、脳が安全であると認知していることが重要になります。
 つまり、自身の位置把握(自己定位)がより鮮明に把握できているか否か、そのためにも視覚、聴覚、体性感覚、前庭感覚などの感覚情報をふんだんに盛り込んだコーディネーショントレーニングが大切になってくるのです。

視覚情報の左右差

 視覚情報は脳内での処理に左右差が生じます。視覚情報は主に大脳皮質の頭頂葉で処理されています。右頭頂葉は左右両側の視野の空間的な地図を含んでおり、左頭頂葉は左視野の空間的な地図を含んでいる割合非常に少ないです。
 左からの視覚情報は右の頭頂葉送られた後、左右の大脳半球をつなぐ脳梁と呼ばれる繊維を通って左脳に送られるのに対して、右からの視覚情報は直接左右の大脳に情報が送れます。
 そのため、野球選手が右利きであっても、左打者になることは視覚情報の観点からみても、理にかなっているのかもしれません(もちろんそれ以外の理由も多く存在するとはおもいますが)。

まとめ

 視覚情報は感覚情報の7割を占め、脳内での情報処理においても1/3を占めています。そして、視覚は体性感覚、前庭感覚などのその他の感覚情報と統合されることで、バランス感覚や速度などを感じ取っています。
 視覚能力を高めることは大切ですが、それ以上に視覚に頼り過ぎないことが大切です。
 視覚情報は脳内での支配が強いため、視覚情報への依存は主に体性感覚の機能低下をもたらします。また、視覚情報に頼りすぎてしまっている人ほど、視力が低下した時に姿勢不良を起こしやすいです。
 普段から姿勢制御などに働いている視覚情報ですが、その働きを必要最小限にとどめ、体性感覚や前庭感覚などの他の感覚器の機能を高めることがパフォーマンスアップの鍵を握ります。



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