| 岡山 大学受験 予備校 | 共通テスト〈物理の注意点〉
岡山で理系に強い個別指導・岡山進学研究塾です。今回は本番まで残り1ヶ月を切った共通テスト、物理の注意点について触れます。この科目、式で解けば良いと思っていると、痛い目に遭うことがございます。それも踏まえての記事となります。
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2025年共通テスト予想
さて、来年1月18日(土)と19日(日)に実施される共通テストですが、過去4年分の平均点データを見て思うことがあります。
・2021年は化学が低く、生物が異様に高い
(得点調整が掛かったため、データは調整後の可能性が高い)
・2022年は数学が大荒れ(ⅠAは40点以下ⅡBが40点台前半)。
・2023年は英語(Reading)の平均点が50点台前半へ低下
・2024年も英語(Reading)の平均点が更に低下。分量が旧センター試験の約1.8倍にまで増加。
実は、主要科目の中で物理だけは未だに一度も荒れていません。荒れたことのない科目が一度荒れて、後は平均点が6割程度に落ち着くのがパターン化されています。あくまで予想ですが、波乱があるとすれば、あとは物理しか無い、というのが一応の根拠となります。
尚、このグラフに用いたデータは大学入試センター殿のHPより引用させていただいております。
入試の全科目の中で初見点数が大幅に触れやすいのは
・数学
・物理
・現代文
この3つです。なぜか分かりますか?
"暗記をほぼ必要とせず、思考力で勝負する科目"だからです。つまり、そこのレベルが低いと当然、ちょっとした問題の捻りで大きく点数を下げることになる訳です。では、以下で物理の平均点が大幅に下がるとすれば、どのようなことが原因となるかを探ってみます。
共通テスト物理の注意点
以下で共通テスト物理の注意点について触れます。これは共テのみならず、物理を学ぶこと全般に言えるのですが、時間に対してタイトなマーク試験では、より顕著になるということです。
計算せずとも解ける問題と見抜けるか
大半の受験生の方、および高1生・高2生の方は物理は公式で解くものだと勘違いをされています。確かに式で解きますが、それ以前に原理を理解してるのか?という最重要項目がないがしろにされがちなんですよ。至極単純な例を挙げます。
〈例〉
半径rの円周上を等速円運動をする質量mの物体が円を1周したときの、物体が行った仕事量を求めよ。
→ まさか円1週で2πr、力の大きさが…なんで考えないですよね?
仕事の定義は
"力×その力の向きに動いた移動量"です。
等速円運動では力の向きは円の径方向、移動方向は円周上の物体が存在する点における接線方向、つまり両者は直交するため仕事量は0
こんなもん、計算するまでもなく答えは0です。 単純なことですが、東京大学でも出題されています。 (2020年第1問(3))
これが何を意味するか分かりますか?
計算なしで解ける、ということは解答時間が短い、つまり他の問題へその分時間を使えるということです。マーク試験は時間との勝負とよく言われます。原理を理解し、それを知識として持っておけばこうした問題は解くまでもない、ということです。逆に、まともに計算して解こうとすると時間をムダに持っていかれることも当然ある訳です。纏めるとこうなります。
・時間を掛けずに解ける問題に余計な時間を使ってしまう
こうしたことは避けたいものです。
実生活に結び付いた事象を用いる問題への対処
恐らく、受験生が最も恐れるのはこれでしょう。問題文から物理的に何がどうなっているかを理解するのに時間を要し、かつ紐解く作業が加算される分だけ難易度が上がる。高校物理の単元は力学・波動・熱力学・電磁気学・原子とありますが、上記に該当するような具体例挙げてみようと思います。
〈熱力学の場合〉
〈問題〉
1のようにフラスコ内部にお湯(水)と空気を入れます。加熱後気化した水分子と空気分子は共に理想気体とする。どのようにコーヒーができるのでしょうか?
・加熱すると、フラスコ内部のお湯が(一部)気化して水蒸気(高温)となり、かつ内部の気体の圧力が増加し(温度上昇と気体分子の増加)、水蒸気(気体)となった水分子が上部へ移動。低温の空気は高温の水分子(気体)に押し出される。
・漏斗内部はビーカーよりは低温のため、水蒸気は冷却されて凝縮し、液体となってコーヒー(粉末)と混ざり合う。2の状態
・ここで加熱を止めると、ビーカー内部の気体の圧力は低下するため、今後は漏斗→ビーカーの方向へ圧力がかかる(吸引現象)。3の状態
・結果漏斗内の水(液体)はフラスコへ移動するが、コーヒー(粉末)はフィルターに引っかかりフラスコへ落ちることはない。結果、フラスコ内部に液体のコーヒーが出来上がる。4の状態
という具合に、計算するだけなら気体の状態方程式へ代入して解く訳ですが、そもそも、どういう理屈で状態1→状態4まで変遷していくのかを理解することが重要です。例えば、低温の気体は高温の気体に押し上げられる。地理で偏西風というのは理系の方でなくとも耳にしたことがあると思います。赤道付近(緯度が低い)の暖かい空気が低温の空気を押し上げる、つまり緯度の高い地域には低温の空気が存在することになります。これに地球の自転が加わることで風となる。といった知識レベルのお話ですが、何でもないようなことを物理(化学)の理論に当てはめて理解し、知識として持っておくことも現在の入試では役に立つことです。
第1問に気を付けろ!
実はこうした設問は第1問によく出がちです。力学や熱、波動、電磁気といった他分野からつまみ食いのように小問が出てきますが、第1問は本来点数を取りやすい箇所なので、極力失点は防ぎたいところです。
原子は最後の2週間でもなんとかなる?
極力、こんなギャンブルは止めてください。しかし、国立志望者は科目数が多く、手薄になる箇所が発生することもあります。原子の分野から出題される問題はパターン化されており、
① 力とエネルギーを伴う力学的問題
② 電界を伴う電磁気学的問題
③ 量子条件等の理論化学と被る問題
④ 光子の干渉条件を問う問題
⑤ α、β(γ)崩壊と原子の半減周期を問う問題
実はこの中で⑤以外は既に学んだ単元の知識と解法テクニックでほぼ対処可能です(2次の難易度の高いのは別ですが)。ですので、どうしても余裕が無い方は奥の手として年内で原子以外の単元を仕上げて、年明けから原子、という手もなくはありません。ただ、どうなっても責任は持てませんが。
この時期にやっておきたい物理の学習
当然、国立志望者はマーク演習に入っていると思いますが、高3生でも案外、原理を理解し切れずに解いている方が大勢おられます。問題を解くことで原理がやっと分かった…我々プロからすれば本来、このような学び方は間違っています。しかし、物理って基本を理解するのが難しい科目でもあります。いずれにせよ、本番までにはしっかりと仕上げてください。
がんばれ!全国の理系受験生たち
本番までもう時間がありません。私個人としては、この記事が多少なりとも高3生の役に立つこと、そして受験を控えている高2生、あるいは高1生の方が物理とはこう学ぶものだ、ということを理解し、そして興味を持って学べるきっかけとなれば、この上ない幸いと思っています。
高3生の皆様のご健闘を祈ります。
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