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『おじいちゃんはデブゴン』 感想

認知症気味のおじいちゃんが骨折マシーンだったよ! って映画。

おじいちゃんが骨折!
やっぱり骨が弱くなってきてるから?
ではなく、おじいちゃんが他人の骨を(物理で)折る側なのです。

『グラン・トリノ』と『アジョシ』を足して割らなかったみたいな話ですが、舐めてた相手が実は鬼強かった、てパターンはもう大好きなので仕方ない。

サモ・ハンは常に不安げな瞳をうるうるさせながら「あー」とか「うー」とかしか言わないが、いざとなると身に染み付いた警護術が火を噴くのだ! 恐らく、本人の意思とは無関係に。自動防衛システムみたいなもんで、本人が淡々と人体を破壊しつつも相変わらず「あーうー」状態なのがまた怖い!

話のバランスはおかしくて、緊張感が走ったシーンの後にほのぼのシーンが長尺で続いて、あれ? 今なんの話が進行中だったっけ? と混乱することもしばしばだし、色んな謎や伏線の回収の仕方も雑で、もうちょっとなんかあるでしょうよ、と呆れもするのだが、そんな細かな感想や不満などは、ラストバトルが始まった瞬間に一斉にどうでも良くなるのでこれはやはり凄いです。

サモ・ハンの殺陣は綺麗で合理的で、見応えがあるのが肝でしたが、なんと今回、その素晴らしい殺陣はほとんどすぐ終わってしまいます。

二手目には相手の手首や腕を折ってしまうからです!
二手目に腕を折る殺陣なんて初めて見た!

サモ・ハンの合理的な殺陣の一例。

もうこれはサモ・ハンに手を取られる=折られる、という事なので、相手がナイフ使いだろうが力持ちだろうが関係ありません。手首掴まれたら次は折られて終わり、なのです。

ポキッ! おしまい。

敵だってもう少し色々歯向いたかったんじゃないですかね、キックとかしたかったと思いますけど、無理なんです。
手を出したら掴まれて腕を折られてしまいますから。残念ですね。

この関節捻じ曲げ骨折アクションが凄すぎて、映画館は爆笑の渦でした、マジで。
骨折してるのに笑うなんて! と呆れる方もおられるかも知れませんが、あんなにポキポキ折られると笑えてくるんです。本当です。

というわけでサモ・ハン監督復活作は、話のまとめ方などはもう少し勘取り戻した方が良いのでは? と思う出来でしたが、ラストバトルが凄いのでもう凄いよこの映画は、という事で良いのでは? という結論が導き出されました。

ナイフを握った相手の手首を持ち、刀身が刺さらないようにナイフの腹の部分を自分の体に押し付けて相手の手首を折る、なんて技、映画で初めて観ました!
あと、相手の首を自分のお腹に押し付けたままジャンプして首と脊髄丸ごと折るとか。凄かったなあ。

そういや切り株描写もちゃんとあって偉かった。


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