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永遠のソール・ライター

ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソウル・ライター
2020.1.9-3.8
(新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月28日までで会期終了)
@Bunkamuraザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
入場料:1500円
★★★☆☆

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はじめて訪れたBunkamuraザ・ミュージアム。想像以上に混雑していた。

展覧会はオーソドックスな回顧展で、ソール・ライターの一生を作品とともに振り返るもの。

日本初公開となるカラー作品、モノクロ作品を中心にその業績を紹介するとともに、アトリエに残された膨大かつ多様な作品資料によって、ソール・ライターの創作の秘密に迫ります。(展覧会WEBサイトより)

日本では、同会場で2017年に開催された日本初のソール・ライター回顧展や2015年に日本でも公開された映画「写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」で知名度と人気を得たらしい。恥ずかしながらソール・ライターのことを全然知らなかったので良い機会だったし、好きな写真家の一人になった。

画家になるために家を出たソール・ライターが、生計を立てるためにも、アーティストとしての表現を追求した先で制作したのも写真だった。『Harper's BAZAAR』『VOGUE』『ELLE』などのファッション雑誌にも写真家として多く起用され、同時代のファッション写真家リチャード・アヴェドン(1923年- 2004年)とも比較されていた。アヴェドンはダイナミックな構図でモデルをストレートに、魅力的に撮ったのに対し、ライターはアンニュイな雰囲気を持つ写真が特徴的だと思う。(一方で、「雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い」という言葉を残してファッション業界を去ったエピソードも良い。)

また、撮影後、一度も現像されていない写真が膨大にあるらしい。2014年に設立されたソール・ライター財団は、カラー写真だけでも8万点と言われるライターのすべての作品をアーカイブ化する作業に取り組んでいるそうだ。

ライターの妹のデボラや恋人のソームズ・バントリーを写した多くのポートレイトも良いが、やはりニューヨークの街角で撮られた瑞々しい写真が好きだった。撮影当時の一瞬でしか見ることのできない再現不可能な美しい瞬間を、見事に捉えている。
展覧会会場が撮影禁止だったのはとても残念だった。ミュージアムショップで売られていたポストカードをつい購入してしまった。今回見ることができた218点に及ぶ充実した作品群を思い出すための記録が、この3枚のポストカードしかないのは切ないが、ないよりはマシか。(図録はあったけど買わなかった。)

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帰りに発見した、小さなウィンドウディスプレイ。こんな形でPRしてるのなかなかないよね。


帰り道、完全にソール・ライターに触発されて写真を撮りながら帰った。特に今の東京はオリンピックに向けた広告も多いから、今しか見れない景色が多いなと思ったり。
どんなところも住んでいると街の珍しさが薄くなっていくけど、確実にその瞬間にしか見られないものはある。世界を丁寧に見つめることで、とめどなく流れてゆくだけの時間を少しだけ止めて、尊く感じることができると感じる。

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展覧会URL


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