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店と缶 2つのレモンサワーの進化:居酒屋のレモンサワーの進化論 後編

こんばんは。ストロングおじさんと申します。note2回目の投稿です。

私、普段はTwitterブログ「缶チューハイの飲み比べレビューをパワーポイントでまとめて投稿する」という活動をしています。

数あるチューハイの中でもレモンサワーに熱いこだわりをもっており、このnoteではそんなレモンサワーについて、缶製品に限らず、居酒屋のレモンサワーや自家製のレモンサワー含め広く語っていきます。

さて、前回の1回目の投稿では、居酒屋のレモンサワーの進化論の前編として、大きく以下のことを語りました。

・現在レモンサワーは進化しており、この進化は店⇒缶の流れで起こっている
・居酒屋のレモンサワーは過去2度ブームになっており、第一次は1970年代後半~80年代の居酒屋ブーム、第二次は2010年代前半のEXILEブームである
・そして、今現在は第三次レモンサワーブームにて、この第三次ブームでレモンサワーの進化が起きている

詳しくは、前回記事を参照ください。

今回はついに本題の、第三次レモンサワーブームと居酒屋のレモンサワーの進化について語っていきます!

第三次レモンサワーブームとは?

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上記の通り、私は第三次レモンサワーブームを進化系ブームと位置付けております。2010年代の後半以降、多くの居酒屋で素材や技法にこだわった多種多様のレモンサワーが提供されています。このようなレモンサワーは、”進化系レモンサワー”とも呼ばれており、それを受けて現在のブームを進化系ブームと呼んでいます。

この進化系ブームは2020年を迎えても留まることを知らず、更に盛り上がっているように感じます。

前回の記事で説明しましたが、2010年代の前半には第二次レモンサワーブーム=EXILEブームが起きました。この時点ではまだ、EXILEの発言をきっかけにして昔から日本の酒場で飲まれていたレモンサワーの魅力が再認識されたという段階で、レモンサワーの質や多様性を追求する機運はそこまで高まっていなかったように思えます。

しかし、2010年代後半に入り、レモンサワーの人気はますます高まり、ビール・ハイボールに並ぶ酒場の酒として完全に定着しました。酒場におけるレモンサワーのプレゼンスが高まっていくと「こだわりの美味しいレモンサワーをつくろう!」とか「もっと色んな種類のレモンサワーを提供しよう!」となるのは自然な流れでしょう。

こうして、色々なお店が競い合うように、自家製のこだわりのレモンサワーを作るようになります。工夫の方法は様々ですが、レモンサワーはやがて"素材や技法にこだわったカクテル顔負けの手の込んだお酒"として、各店がオリジナリティを競い合うように進化していいきます。

こういったこだわりのレモンサワーを出すお店は、従来のレモンサワーの主戦場であった大衆酒場のみでなく、日本酒や本格焼酎を取りそろえた本格居酒屋カクテルやウイスキーをメインとするBARまでもが自家製のレモンサワーをメニューに加えたり、レモンサワーを専門とした酒場がオープンしたりもしています。

こういったレモンサワーをブームを受けて、大人の週末や食楽といったちょっと意識高めのグルメ媒体がレモンサワー特集を組んだり、レモンサワーを専門としたMOOKが立て続けに発売されるなど、メディアもこぞってレモンサワーを取り上げています。2017年からはビアフェスならぬ、レモンサワーをメインにしたレモンサワーフェスが全国規模で開催されています。

一昔前まででは、考えられない事態ですが、それだけ現在のレモンサワーブーム=第三次レモンサワーブームが盛り上がっているということだと思います。

進化系レモンサワーってこんなサワー!

さて、ここからは、現在のブームで飲まれている進化系レモンサワーの具体例を紹介していきましょう。

従来のレモンサワーは、焼酎+炭酸+レモンでつくるシンプルなお酒をイメージされるでしょう。しかし、進化系レモンサワーはお酒にレモンを単純に搾っただけではない、様々な工夫が詰まったサワーなんです!

①凍結系

凍結

まずは凍結系です。こちら、氷の代わりに凍らせたレモンを用いたレモンサワーです。

レモンサワーは氷を入れてキンキンに冷えたものを飲むのが美味しいですが、氷が溶けると徐々に味や香りが薄くなっていきます。

そこで、氷の代わりにレモンをいれることで、溶けても味が薄くならない、それどころかレモンが溶けていくにつれて味が濃くなっていく、ことが特徴です。見た目的にも、非常に映えるサワーでSNSでも頻繁に登場しますね。

凍結系で有名な居酒屋は小岩の酒場『素揚げや』さんですね。この凍結レモンサワーが、進化系レモンサワーの元祖とも言われ、現在のレモンサワーブームを引き起こした大きなきかっけとなっています。

②すりおろし系

丸おろし

続いては、すりおろし系です。こちら、レモンを皮ごとすり下ろしてつくるレモンサワーです。

レモンを丸ごと使用するため、レモンの皮の苦みや酸味まで、レモンのうまみがまるごと表現されているのが特徴。また、果皮や果肉を含む濃厚でリッチな味わいも表現されています。

すりおろし系のさきがけと言わているのが北千住の『是屋』です。レモンを冷凍した上で、パウダー状にすりおろしているのが特徴。これによりしっかりした苦味と酸味を表現しつつ、ほのかな甘みと塩気も加えた複雑で奥深い味わいのレモンサワーです。

五反田の『立呑み とだか』では、レモンをミキサーで皮ごとすりおろし、レモンサワーを作っています。これにより、苦味や酸味がしっかり表現されているのはもちろん、スムージーのような濃厚でトロトロな飲み口になっているのも特徴です。

③シロップ・漬け込み系

漬け込み

続いてはシロップ・漬け込み系です。こちらは、事前にレモンをシロップにしたり、お酒にレモンを漬け込んだりしたものを使用したサワーです。

こういった加工により、カドの取れたまろやかな風味や甘み、または芳醇なレモンの香り等、生搾りでは表現しにくい奥深味わいを表現しています。

スッキリ爽やかなのもレモンサワーの魅力ですが、シロップ・漬け込み系はひと手間かけてレモンの色々な風味を引き出している、というのが特徴だと思います。

シロップ系の代表的なお店は五反田や恵比寿に展開する『それがし』ですね。日本酒の似合う落ち着いた和食や鳥料理にお店ですが、レモンサワーも名物で、レモンに和三盆を加えて1時間ほど煮込んだ自作のシロップを使用した上品の甘さと柔らかい味わいのレモンサワーを提供しています。

漬け込み系では、不動前の『U.TOKYO』が代表的なお店でしょうか。無農薬栽培のレモンの皮を度数96度のスピリタスに1か月以上漬けたリモンチェッロを用い、レモンサワーをつくっています。レモンの皮の香りがしっかりお酒に染みこんだ深い味わいが特徴で、さらにそのリモンチェッロサワーを活かして10種ものアレンジサワーを作っています。

④+アルファ系

スパイス

最後は+アルファ系です。レモンサワーの基本的な組成は、レモン+蒸留酒+炭酸だと思いますが、それ以外に一味加えたレモンサワーを私は+アルファ系と定義しています。

基本的な組成のみでも十分美味しいレモンサワーですが、スパイスやハーブ等を加え、レモンだけでは表現できない様々な味わいを加えていることが特徴。

もちろん、ただのレモンサワーに+アルファを加えるのみでなく、追加する素材に合わせてレモンやお酒のベースを変え、その素材との相性を追求したサワーを各店作っています。

スパイス系で有名なのは西小山の『歩』です。シナモンやアニスを漬け込んだベースに、黒コショウを振りかけたスパイスレモンサワーが名物。クセになるスパイスの香りとピリッとくる黒コショウの味わいを感じられる複雑な味わいのレモンサワーです。

大阪 梅田にある『ウメダチューハイ35』は、数多くのサワーを提供しているお店ですが、沖縄の塩を使ったレモンサワーで大阪で行われたレモンサワーフェスでグランプリを獲得しました。こちら、こだわりの沖縄の塩に加え、砂糖、はちみつも組み合わせた、塩気と甘さのバランスがとれたサワーです。


以上、今回は4つの代表的な分類を示しましたが、これらが進化系レモンサワーの全てではありません!ここにある以外にも、多くの進化系レモンサワーがあり、今後も新しいものが常に出現していくと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか?

現在のレモンサワーブームの概況、及びそこで飲まれている進化系レモンサワーについて、わかりやすくお伝えできていれば幸いです。

まだまだ、レモンサワーは気軽なお酒とお考えの方もいらっしゃると思いますが、現在のレモンサワーは信じられないくらい進化しているんです。

そして、レモンサワーの進化のもう一つの波は、今回紹介した飲食店のみでなく、私の専門とする"缶"の世界にも訪れています!

次回以降の記事でが、そんな進化する缶のレモンサワー、つまり"進化系缶レモンサワー"を紹介していきたいと思いますので、次回の記事も是非読んでいただければと思います。

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