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まっすぐに好きだといえること

私は好きなものを即答することが得意ではない。

学校で、バイト先で、会社で「あなたの好きな××は何?」と聞かれる度に、答えを出すのにみんなが回答する一周分の時間がほしくなる。
食べ物でも、本でも、旅行先でも、理由と共に即答できる人にいつも感心する。

私は「好きなもの」を固定化すると、そこで「好きなもの」が化石になってしまうような感覚に捉われるのだ。
だからいつも、自分の中の有象無象から答えを探し出そうとする。

さて、アイドルを好きになって気付けば6年が経った。
大好きなアイドル達に対しては、不思議なことに「好き」を即答し続けても化石にならない。

しおりんこと玉井詩織さんは、ビジネスとしてアイドル業に挑む姿が好きだ。
ライブでどんなに接近しても目を合わしてくれることはないけれど(彼女はいつもファンの「空間」に対して手を振っている気がする。)、そんな一線を画す姿勢が好きだ。

まなみのりさの力強さが好きだ。
昨年のヒューリックホールでのワンマンライブでは、まなみのりさに2度目の恋をした。彼女たちの歌詞と歌声が織り成す世界観は多彩な色で溢れているように感じる。
彼女たちのライブの後は、しばらく感受性が全開になる感覚に陥ってしまう。

ばってん少女隊はありっさ卒業以降の気持ちがまだ定まってないが、好きか悩むということは既に好きであるということだから…
最近はお姉さんグループの番組に出る度に、「がんばって!爪跡を!」と手汗を握ってしまう。

きっと次にアイドル達の好きなところをあげる時、私はまた違う側面からの魅力を話すのだろう。

そういえば幼い時は「好きなもの」の集合体ともいえるプロフィール帳を集めるのも書くのも人並みに好きな少女だった。
北村薫さんの小説の一節に膝を打ってから、「好きなもの」を頑張って用意することをやめたのである。

 いわゆるアイドルについてもそうで、中学生頃までは写真を引き出しの中に入れて置いたこともある。
 しかし、ある時ふと、こんなことをしているのは《あなたは誰が好き?》と聞かれた場合、答えられるようにするためではないかと気付いてしまったのだ。
——北村薫「夜の蝉」

そんなポリシーを持って十数年。
この主人公とは逆に、アイドルに対して論理を越えた感情を持つようになった。
即答できる「好き」ができるのも悪くないものである。


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