かぶ

エッセイとねこを愛するひと。

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最近の記事

雑記:猿まわしはむごいか

 今までの人生で、少なくとも2回は猿まわしを見た記憶がある。  一度は僕がまだ、幼稚園に通っていた頃。幼稚園にお猿さんが来て、竹馬やジャンプを見せてくれた。今でも鮮明に記憶に残っているから、幼き僕には印象的だったんだと思う。 残りは、太宰府天満宮で観た猿まわし。縁日だったのか、覚えてはないけれど、ひとがたくさん集まっていたような気がする。  それから、長らく猿まわしを観る機会はなかったが、最近になって、猿まわしが僕に強烈な印象を残した。  立花隆の『青春漂流』という本を読

    • 雑記① 初めてゴッホを観たわけで

      つい最近、ゴッホの展覧会が開催されていて、初めて生で観賞してきた。 日記くらいのイメージで、雑記しようと思う。 お昼ご飯に今まで行けてなかったスパイスカレーのお店に行って、そのまま美術館に向かった。 平日だったけど、ひとも多くて、少しだけうざったかった。 でも、だんだん集中して観始めてから、そんなことどうでもよくなった。 始めの方に、ゴッホの素描が展示されていて、 「なるほど、ゴッホさんもこんな絵を描いていたのね」 と思いながら観ていた。 そのあたりで、トイレに行き

      • 飾りじゃないのよ、頭は

        こどもの頃の家族旅行と言えば、キャンプだった。 キャンプでは、テントと寝袋さえあれば、他はどうにかなる。 どんな観光地に行こうと、旅館やホテルでの宿泊よりも、ずっと安く旅行を済ませることができるキャンプは、当時の、裕福とは言えない我が家にとって、最適な旅行だったことだろう。 「お金がないから、ホテルなんかには泊まれない。」 小学生の私は、そんなネガティブな思いで、テントでの夜を過ごしていた。 しかし、大学生である今になって考えると、私の両親が経済的な理由だけで、キャンプ

        • 眼帯の少年とコロナビール

          最近たまに来る、とあるお客さんが気になっている。 彼はおそらく20代前半、童顔でとてもかわいい顔をしている。高校生だと言われても驚きはしない。 私が彼を気になる理由はいくつかある。 まず、左目に眼帯をしていること。 少し前に来た時には、眼帯をせずに女の子と来ていたように思う。 しかし、最近はひとりで、さらに眼帯をして来るようになった。 なにかしらの病気なのかもしれない。 もしそうであったら申し訳ないのだが、彼が童顔であるがゆえに、どうしても中二病を患っているよう

        雑記:猿まわしはむごいか

          杯を乾す

          様々な言葉が存在する世の中で、「乾杯」という言葉がコミュニケーションでは最強の言葉だと思う。 初めて会う人であっても、乾杯を宣言しあうだけで妙に親密になった気になってくる。 1(乾杯)=3(お元気ですか)くらいの効果はあると思う。             ※()内は単位 これは日本に限ったことではない。 海外で、幾度となく現地の人と飲み交わしてきた。 この時、現地語の「乾杯」を知っているか否かは、その後の展開を大きく左右する。 例えば、中国語では「干杯(Gānbē

          杯を乾す

          醤油と私と彼女と

          海外に行くと、食の違いに驚くことが少なくない。 インドに行くとカレーの違いを如実に感じるし、台湾に行くと水餃子のあまりのおいしさに感動したりもした。 この”違い”は、感動をもたらしてくれると同時に、時に悲しみももたらす。 世の中には、自分に合った食べ物ばかりではない。 それは日本でもたびたび起こり得る。 僕は心底、醤油が好きだ。 醤油をそのままかけて食べるものというのは、意外と限られている気がする。 お刺身、お豆腐、漬物、そして卵かけご飯。 僕が頻繁に口にするのはこれ

          醤油と私と彼女と

          トルコで捕まりそう

          ディヤルバクル おそらくこの街を知っている人はあまり多くはないと思う。なぜならば、メディアで紹介されることもほとんどなく、観光客が訪れることもほとんどないから。 場所で言うと、トルコの南東部。南を見るとすぐに、シリアとイラクが見えてくる。 バス乗り場で、受付のトルコ人に、「この街へ行くバスのチケットをくれ」と伝えると、「なんでそんなとこに行くんだ?」と聞かれるくらいに、国外からの観光客は来ない。 なぜ、そんな街へ行ったのか。きっかけは、イスタンブールで出会った日本人の

          トルコで捕まりそう

          アイデンティティが、なーい

          サカナクション 「アイデンティティ」 中学生の僕は、この曲に出会い、サカナクションというバンドにドはまりした。 数えきれない程聴き、カラオケでも、サビを叫び、その度に声を嗄らした。 「アイデンティティ」に出会い、何百回目のイントロが僕の耳を流れた時だったろう。初めて歌詞に意識を向けて、この曲を聴いた数日前。 アイデンティティに悩む少年の嘆きが聞こえ、初めて「アイデンティティ」という曲を聴いた気がした。 一度そうなると、歌詞やMV、そしてCDのジャケットのデザインが、途

          アイデンティティが、なーい

          聖者の行進

          高校生の頃、大学生というものに憧れを抱いていた。ある時までは。 僕は、中学校から高校まで6年間、キリスト教系の学校に在籍していた。ここでは、国語・数学・世界史などの時間割の並びの中に、毎週一コマ、「チャペル」という科目が組み込まれていた。 これは、名前の通り、学校にあるチャペルに一同に集って、礼拝を行うというものだった。 讃美歌を歌い、聖書を読みその後、どこからか連れてきた牧師や、キリスト教に関係のある人をゲストに迎え、講話を聞く。これが、「チャペル」という科目の一コマの

          聖者の行進

          ライターは旅をする

          僕は人生で一度も消しゴムを使い切ったことがない。 今はなにか書く時は、ほとんどがボールペンになってしまったから、鉛筆もシャーペンも使うことはないが、高校生の頃までは、筆箱には消しゴムをふたつは入れていた。なぜか最後まで使い切る前には、どこかに行ってしまうから、なくしても困らないように。 今まで、いくつの消しゴムを買い、どれほどの消しゴムを使ってきたかなんて覚えてはいないけれど、10年以上は消しゴムを使う日々を過ごしてきたことを考えると、どれだけの消しゴムが世の中に消えて行

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