見出し画像

ギターのミキシングにおける10大ポイントとは(BPB Blog 要約)

曲中のギターのミックスについて良い記事があったので要約して紹介したいと思います。元の記事は下記のBPB Blog です


#1  左右パン振りが最初、細かいことは最後

まずはすべてのトラックのLRパンを決めよう。そのあとざっくりラフに音を決めよう。個々のギタートラックの音色調整はそれが終わってから初めてスタートしていい。
なぜか?ギターの音はそのほかの音を詰めて調整したら完全に変わってしまうからだ。もしパンでギターの鳴る位置を調整する前に音作りをしてしまったら、最後にまた音作りをやり直さなくてはならない。
そのようなトラブルを回避するために、本ミキシングに入る前にパニングとラフな音作りをしよう。

#2 EQでカットしてギターサウンドを整えよう

ギターはミッドレンジ(中音域)の楽器だ。ローエンドと場合によってはハイエンドをEQでカットするとギタートラックの定位がより良くなる。
ローカットはおよそ80Hz〜150Hzで不要な低音をカット。10kHz~12kHz以上の高音をカットするのが定石。
ブーミーなギターのローエンドがなくなるとベースとキックが本来の音が聞こえ、音のこもりが解消される。これはボーカルトラックについても同じことが言えて、さらに高音についてはシンバルとルームサウンドについても同様である。
プロの曲のギタートラック抜粋をYoutubeなどで聴けば驚くほど”薄い音”なことがわかると思う。リードやギターソロでは特に。

#3 EQスイープで問題のスポットを見つけよう

問題箇所を見つけるときにはEQを狭いQでブースト/カットすると便利。LIsten機能も有用だと思う。スタートポイントとして下記のエレキギターのEQガイドから始めると良いと思う。
80 Hz and below: Cut the rumble

  • 80Hz以下:無駄な低音をカットする。

  • 100Hz〜350Hz: ウォームさと厚みを与えてくれる

  • 2k ~ 3kHz:ピッキングの音。シャーシャーいう高音の潜在的可能性の場合もある。

  • 〜4kHz と〜6kHz: 不快な固有音が出やすい。スポットで特定し、EQカットすると良い効果が出やすい。

  • 10kHz以上: ギターの基音はないのでカットしても問題ない。

#4 コンプレッサー(ディストーションサウンドの場合は完全なるオプション)

コンプレッションはクリーンサウンドをミックスの中で際立たせるのにとても手軽なツールであり、これなしでは正直難しい。ファンキーなカッティングではキーになるツールである。
しかし歪んだギターサウンドにおいては完全に”オプション扱い”である。早いアタックのダイナミクス(音の大小を)均一にするためであれば有用。
また、ヘビーなディストーションサウンドにおいてロー〜ローミッドあたりをちょうどよくするためにマルチバンドコンプが使える。EQを使う方法もあるが、常にかかるEQよりもマルチバンドコンプを使う方がより応答性は良い。
しかしディストーション自体がコンプの役割を果たしているため、ドラムトラックのようにコンプを使っても良い結果にはならないのでやめた方がいい。

#5 ギタートラックはいくつ必要なのか試して、やってみよう

ギターのサウンドをビッグにするために、”適切にマルチトラックにする”という方法がある。
何が必要か?は曲による。例えばピアノとストリングスがある軽いサウンドの曲であれば、ギタートラックはひとつあれば十分だ。
多くのモダンな曲ではギタートラックはだいたい複数ある。バッキングやリードも左右にパンで振ってダブルにしていたりする。
ギターをダブルトラックにすると、より歪んで聞こえる。典型的な一つのルールは”more guitars, less distortion (ギタートラックを増やしたら、歪みは減らそう)” だ。
このルールに則ると曲のクリアさが保てる。ゲインが高すぎると曲全体がシャーシャーいってカオスになってしまう。
あと、これらの複数ギタートラックをバスにまとめて、エフェクトをかけると時短になる。

#6 ディストーションをかけすぎない

ディストーションは多ければ多いほど良い? というわけではないね。ライブだとハムノイズの原因になる。スタジオで自身の内なるハードロック魂を飼いならす利益はありそうだ。
レコーディングにおいてはディストーションはギターサウンドの厚みを増す。が、ある一定以上では不要な高音と低音によって鮮明さやパワーがなくなってしまう。
良い一般的なルールとしては ”欲しいトーンとサステインのために必要不可欠な歪み量にして、絶対それを超えない” だ。
本当に良い、ビッグなサウンドのギタートラックをよく注意して聴くと、クレイジーなほど歪んでいるわけではないことがわかると思う。

#7 ギターミキシングの秘訣:ドラムをラウドに!

もしギターのサウンドをビッグにしたければ、秘訣は「ドラムをラウドにしよう!」だ。常識に反するように聞こえるかもしれないが、事実としてギターの音量を一番大きくすることはギターサウンドをビッグにするというよりも、むしろただ単に他のすべてのサウンドを弱くするだけなのだ。
そして「ドラムをラウドに」はキック、スネア、タムについてだ。シンバルはサウンドをビッグにするというより大抵はノイズが大きくなってしまう。
例えばDream Theaterの“False Awakening Suite”を聞いてみよう

ギターの音量は最も大きく、ドラムのサウンドはこじんまりとあまり印象に残らない。
比べて同じくDream Theaterの"Dance to Eternity"を聴いてみよう。

ドラムが素晴らしくラウドなサウンドにミックスされていて、ギターは適度な音量に抑えられている。どちらのサウンドがよりヘヴィーに聞こえるだろうか?ラウドなドラムサウンドがギターのサウンドをビッグにしている極端な例はMetallicaの”Sad Bad True”だ。

#8 ギターバス=良いワークフロー

複数のギタートラックを一つのチャンネルにセンドし、そこにエフェクトをかけるとそれぞれのギター全て同時にエフェクトがかかる。これは非常に便利だし、CPU負荷の軽減にもつながる。

#9 異なるトーン=深みが増す

マルチトラックのギターサウンドをよりビッグにする方法に悩んだときの一つの解決法として、”それぞれのギタートラックのサウンドを変える”というのがある。ギターの種類やアンプを変えたり方法は様々だ。
異なるギタートラックで異なるギターサウンドにすると、サウンドはよりビッグでワイドに聞こえる。

#10 バランスのとれたギターミックスのために"Solo"ボタンは封印しよう

これは非常に重要だ。ギターをミックスするとき、"Solo"ボタンを押して熱中してはいけない。
ギタートラックをSoloで聴きながらサウンドを作り上げたとしよう。しかしSoloボタンをオフにした瞬間そのサウンドは全く違って聴こえてしまう。Soloがオンのときはギターサウンドの全周波数帯域を聴くことができる。しかしフルミックスの中では、ローエンドとハイエンドは他の楽器のサウンドが入って来るため、Soloで作り上げたギターサウンドのパワーは失われてしまうのだ。

あとがき

#1〜#10まで、いかがでしょうか?
全部が全部、全くその通りというわけではない気もしますが(#3や#6など)、個人的には#1,  #5, #10あたりは間違いなく良い効果があると思います。いずれにしろこういった方法を参考に、言葉だけ鵜呑みにせず全体の音を聴きながら、自分に合った方法を見つけて行くのが良いですね。お役に立てばと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?