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タテタカコ インタビュー(2008年5月)

interview タテタカコ

荒地のような2008年に
響きわたる「敗者復活の歌」。 

 ピアノの弾き語りで、心の深淵を静かにえぐるような鋭く生々しい歌を聴かせるタテタカコ。4月23日に、彼女のニューアルバム「敗者復活の歌」がリリースされた。
 今回のアルバムは、今年の年明けに、青森県弘前市で録音された。アルバムには、配信先行でリリースされた「君は今」、「遠い日」、「人の住む街」も収録されており、この3曲では映像とコラボレーションも試みられている。
 5月には、アルバムを携えての全国ツアーがスタート。那覇と石垣島でのライブも行なわれる。公演を前に、沖縄を訪れた彼女に話をきいた。

1年という「循環」の中で 生まれたアルバム。

●アルバム「敗者復活の歌」は、昨年発表された「イキモノタチ」以来、約1年ぶりです。このペースはタテさん的にいかがですか?
「年に1枚オリジナルアルバムを出すというのは、正直『どうしよう』みたいなのはあります。でも、間があくと感覚も鈍りそうですから、CDを出してツアーをするという循環は必要だと思います。そろそろ次に動き出すということを考えると、いいペースなのかもしれません」

●メロディーや歌詞は、常に書き貯めているのですか。
「そうですね。録音のために、メロディや詩を、一から作るというのはワザとらしい気がするんです。1番だけできているものとか、雰囲気だけできているものを曲にまとめていく感じです。アルバムには、ここ1年くらいの間に形になっているものを入れるようにしています」

他者への「執着」から離れたとき
音楽が生まれてくる。

●タテさんの曲は締め切りに追われて出来る類いのものではないと思います。締め切りそのものが、作品に何か影響を及ぼすことはありますか。
「『君は今』がCMに使われるということで、初めて締め切りを体験しました。(笑)正直、作品を作る時に、締め切りがアタマにあるとダメでした。CMのため、アルバムのためと意識してしまうと、なかなか作れませんでした。締め切りを忘れてしまうくらいの方がいいと思います。でも締め切りがないと一生できなさそうですよね」(笑)

●メロディーや言葉は、タテさんの中で、どういう風に生まれてきますか。
「アタマで考えて作っていると嫌らしくなってしまう。そこを取っ払えないと、できないですね。自分や何かほかのものへの執着から離れた時に曲が生まれます。でも『無』というのもちょっと違うんです。
 いろんなものを取っ払う方法というのは、その方向性を自分で考えながらとらわれなくするということ。余分なもを先に出してしまうというやり方もあると思います。ここ最近は、自分の中の余分な『贅肉』を吐き出して、その先であきらめた時に出てくることが多い。パッと生まれることもあるけど、寄り道をしないとなかなかできないです。先にこういうものを作りたいという余分な考えがあるとできないですね」

景色や町並み、人々との関係性が
音楽に反映される。

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