モノの聖性が後退した理由?

モノの聖性が後退した理由?

nakajima oumi

「伝説の刀鍛冶が魂を込めて作った、先祖代々受け継がれてきた一族の名刀。」と言われればなんとなくすごそうな雰囲気が漂います。

ストーリー性が世代を超えて積み重なると聖性が上がる

聖剣「エクスカリバー」とか源氏の名刀「蜘蛛切丸」とか、この辺になると「ストーリー」がつくことによって聖性がましていきます。こちらはモノそのものというよりは、モノに付与される物語によって価値があがるわけです。

歴史上の有名人の間が戦いで使った刀剣とか、伝説の騎士が岩から引き抜いた聖剣とか、そういうのはモノの価値というより「誰と一緒にいたのか」といったストーリーによって聖性が感染させられます。

そして1つの伝説は新たな伝説の呼び水となります。「ロンギヌスの槍」あたりいい例です。「キリストを刺した槍+コンスタンティヌス大帝の槍+・・・・+新世紀エヴァンゲリオンの槍」とどんどん追加ストーリーが増えていきます。最後のほうになると、もはや「ロンギヌスって誰?イエスキリストって誰?」と初期の文脈から完全分離していますが、それでもなお「聖性(異世界性)」は残っています。

こうなると博物館や王家の宝物庫などに残る伝説のアイテムが、物質として「オリジナルかどうか?(伝説が生まれた当初の時代からありそうか)」ということは全く論点ではなくなっていきます。概念そのものに対して信仰と物語によるパワーが生まれているので、シンボルとしての物質がオリジナルかどうかはどうでもよくなっていくからです。

伝説の槍と量産品の槍の違い

端的に言えばストーリーがそこについているかどうかです。特別な思い出があれば、特別になります。その思い出が多くの人に共有される伝説になれば、量産品の槍であっても伝説の品物になる可能性はあります。

ただ「ありきたりな量産品」は、「全く同じものが世界に大量にある」というハードルがあるので、手仕事の一点ものとちがって「聖なるアイテム」にはなかなかなりにくいでしょう。

マックファンにとって「ジョブズがマックブックエアーをプレゼンした時の封筒とマックブック」が博物館にでも飾ってあれば、それは「聖なるもの」として機能する可能性があります。

ただ、「モノとしてのマックブック」は世界に大量にばらまかれているのでなかなか難しい所ではあるかもしれません。



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nakajima oumi
「歴史に学ぶ」が趣味。好きなもの、シンボル・日本文化・社寺巡り・神話・精神世界・ヒーリング・書画。クリエイター。作例)日本の伝承タロット→http://yamato556.jp/siki/densho_t