MOA美術館 静岡

この美術館は、建物の作りそのものがおもしろい美術館です。

建物に入るまでに「7つの自動階段を通過して建物内に入ると、明るい視界いっぱいに水平線と空の青が目に入ってきた。」という空間の変化を体験できるので、カット割が斬新な映画を見ている時のような楽しさがあります。

Step1 入口へと続く動く歩道の1つ
Step2 エントランス直後に視界いっぱいに広がる、熱海の海と空

入口にいたるまでの動く歩道では、自撮り棒にスマホをつけて動画をとったりしている人もちらほらと。確かに撮影素材としてはおもしろい場所だと思います。

一度に展示されている作品の数自体はどちらかというと少な目ですが、美術館の空間そのものがおもしろいので、ゆったりめに滞在する予定で行くといいかもしれません。レストランやカフェや茶室もあります。

海を眺められるカフェでコーヒーを頂きましたが、美術館らしいおしゃれなカップで出てきたのもよかったです。国宝級の陶器を見た直後に、紙コップでコーヒーを飲むのもやや風情にかけますので。


そして展示空間も2017年改装だけあって工夫がたくさん。

例えば、野々村仁清(江戸時代の陶工)の代表作のこの壺。撮影OKなのでスマホ撮影したものです。多くの美術館でスマホやコンパクトカメラで撮影しようとすると必ず起きる「ある問題」が解消されています。

色絵藤花茶壺(国宝)MOA美術館

答えを言ってしまうとガラスケース入り展示ではないのです。全ての展示がそうではありませんが、ガラスに入っていない展示が一部あり、いい感じに鑑賞を楽しみやすくなっています。

スマホで撮影してもガラスが反射しないのでふつうに撮れる。これはかなり画期的なことです。8kテレビは持っていませんが、2Kから8Kになったくらいの感動はあるかもしれません。

美術館というとガラスケースに入っているのが当たりまえという感覚があるかもしれません。その場合、ガラス越しでなく鑑賞できると「TVの映像でみていた富士山を、自分の肉体についている目で直接見ると印象が変わる。」くらいの受け取れるフィーリングの差が出てくる作品もあると思います。

箱根の岡田美術館(2013年開館)もそうですが、新しくできたところやリニューアルされたところは見せ方の工夫が素晴らしいことが多いので知らない名前だと言わずに見に行ってみると発見がありそうです。

見せ方がよく工夫されている展示はもちろんですが、海や建築を眺めるためだけにいっても得られるものはあると思います。



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