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オリジナル家紋を作った時にやったことをメモ

必要があって、オリジナル家紋を制作した時のことをまとめておきます。

キッカケ
作品内で使う家紋がほしかったけど、素材集や図鑑にある紋だと「しっくりこなかった」ので新しく家紋を作ろうということで作ることを決めました。

デザインにあたっての主な要件

・たいていの人から見て「家紋」デザインに見える事
・古くて新しい雰囲気であること
・既存の紋とかぶる可能性が限りなく低いこと
・自分が「OK」を出せる事
・使える時間は1~2カ月程度

考えたこと
 
新作の家紋という時にどれくらい「昔風」にするかというのが最初に悩みました。家紋に見えてはほしいけど、新しさは欲しいというところで。

そこで、古くて新しいくらいを目標にすることにして

・「戦国時代の遺跡から出てきました」と言われても、最初はほとんど違和感を覚えない、でもよくみると人によって「あれ?」って思う。

くらいのイメージにすることにしました。

また、江戸の町火消しみたいな粋(いき)よりは、安土桃山時代の建築のような豪奢さを目標にしました。和風イメージって「どの時代の何」をターゲットにするかでだいぶ変わりますのでターゲットにする時代設定を先にしました。

最初にやったこと

まずは資料集めということで、図書館で家紋の図鑑や家紋のあしらわれた刀剣や美術品などの資料をあさってインプットを行いました。また、日本庭園などに行く機会を増やしました。いわゆるロゴマーク集も家紋風なデザインがわりと混ざっているので参考になりました。

昔の刀剣などだと「手書きイラスト」で紋が描かれています。なので、適度に不揃いだったり適度に崩れていて「手書きならではの味」が出ています。

ひるがえって現代の和風グッズで家紋プリントのものなどは、綺麗にプリントされているのはいいのですが、手書きではないのでイラスト的な風情はないことも少なくありません。

手書き作品と量産品を比べるのはひどい話ではありますが、手書きイラストの独特の雰囲気はいいなあと美術品の写真や現物を見ていて感じました。

この時は、とある公園で見た古い建物の「瓦」がヒントとなって、ベースにする紋その1が桐紋に決まりました。

次にやったこと

ベースにする古い紋を決めるたら、これに新しい要素をくわえて色んなパターンを試していきます。

桐紋ベースで進行したのですが、既存の紋から下絵を作り一部パーツのみを新しくするという方式で行いました。

この後は発注先のデザイナーさんと何度か試行錯誤をして、最終的に1つの紋ができあがりとなりました。

完全に0から作るというよりは、あるものから変えていくほうがそれっぽいものはできやすいと思います。

ということで出来上がったのがこういう桐紋です。

名称未設定-1


補足

家紋って新しく作っていいのって疑問を持つ人がいるかもしれません。結論からいうと

「どの家紋も誰かがどこかの段階で作ったものなので、今作って家の紋として新しく制定しても何も問題はありません。」

問題はどこで使うかです。変えることで影響を受ける関係者がいる場合は関係者への根回しはしたほうがいいでしょう。

(いきなり「今日からこういう家紋に変えるから、家の瓦の紋とか墓石の紋とか着物の紋とか・・・、全部リニューアルします」と言われたら、家族に反対される可能性があります。)

家の紋だとわざわざ調整するのが面倒なら、まずは一族の紋というより個人用(自分専用)の紋として作って使って遊んでみるのがよいでしょう。その場合は「自分がOK」とできればOKです。

あとは他の人とかぶらないか問題はあるので、有名所と100%同じものになってしまった場合は、ほんの少しだけデザインを変えることができないかは考えたほうがいいでしょう。

丸かぶりすると問題になりそうなのは、例えば、皇室の十六花弁の菊でしょうか。菊自体がNGなわけではありませんが、あれと全く同じだとクレームのリスクは発生するでしょう。後はディズニーのような超有名企業のロゴの完全コピーに見えるものもリスキーだと思います。



今年見た中ですごいと思った新しい家紋デザイン

そういえば、石清水八幡宮ケーブルカーの紋は凄いと思いました。

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参考)ケーブルカーの公式サイト

解説だと神社の巴紋と神使の鳩からのデザインとのこと。

勾玉にも似た巴の形に、鳩のくちばし風なイラストのアレンジがとてもいい感じ。

全体のイメージ崩さずに細かい部分だけアレンジするのは難しいので、すごいなあ~って思います。



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