趣味でやるのと仕事でやるのとどっちがクオリティーが上がるのか問題

昔のオリンピックがいい例なのですが、「職業じゃなくて趣味でやるからこそ「ハイレベル」という」世界観があります。


これは本とかゲームとかを作るイメージで考えてみると分かりやすいかもしれません。


趣味で作る場合、「投入可能なエネルギーは全て投入する。妥協ゼロで最善を目指す。」ということがナチュラルに可能になります。使える資金の量は企業が作る時よりはかなり少なくなりますが、少なくとも「作品のクオリティーを最重要視した制作」は可能になります。「締切に間に合わなければ、納得いくものができるまで締切を無限に伸ばす」ということも趣味なら容易に可能です。


一方商業で作る場合、使えるリソースは趣味でやる場合より大きく広がります。ただし、「決まった納期までに、最低限の要件を満たすものを作る」ということが重要になります。「納得いくものが出来上がるまで、何度でも納期を伸ばす」ということは一般的にはやりにくいと思います。(超人気映画監督とかなら10年くらい待たせることもできるのかもしれませんが。)

また、「最低限実用レベル」になっていることが重視されることか多い商用と、「納得いくまで作り込める」という趣味のものとだと、趣味もののほうがハイスペックになる傾向はあるかもしれません。


趣味や自家用のものが商用よりクオリティーが高い例としては、一昔前の農家さんもそんな感じの噂がよくありました。「自家用の畑は手間かけられるので低農薬。量産用の畑は手間を省かなくてはいけないので農薬多め。」みたいな噂です。商用の場合は一定以下のコストで生産しないと仕事として成立しなくなるので、そういう制約があることによって商用の量産品だからクオリティーが下がるというのは不思議な話でもなんでもありません。


ところで、その割には同人誌の平均と商業誌の平均を比べると商業誌のほうがおもしろいものが多いという一般的なイメージがなぜ生まれるのかというと、

1つは「エネルギー(お金・時間・情熱)を大量投入したからいいものができるか?」というとそうでもないからだと思います。予算をかければ常にいいものができるなら、昔からある大きな企業がずっと勝ち続けることになりそうですが実際はそうでもありません。

もう1つは「趣味でやることは仕事でやることより気楽にやりたい」という感覚がマイナスに作用することがわりとあるからだと思います。納期をエンドレスに伸ばせる環境がマイナスに働くこともそれはそれでよくあるという話です。


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