見出し画像

SNSで拡散される天気の誤認識

天気に関して間違った認識のまま世間に広がっているものがいくつもあります。特にSNSでは間違った認識が訂正されずに拡散する傾向があり、気象関係の方々が苦労されている姿を度々目にします。

台風から変わった温帯低気圧

今日現在台風14号が東進中であり、タイムリーな誤認識です。一般的に台風が温帯低気圧に変わると弱体化したと勘違いしている人が多いですが、それは大きな間違いです。単に性質が変わっただけで、危険なことに変わりありません。台風は中心付近で風が強く、内側にパワーを溜め込んでいる状態だと思ってください。一方、発達した温帯低気圧は台風が溜め込んだパワーを外に放出して、広範囲に風が強まります。簡単に説明すると、暖かく湿った空気で出来ている台風が冷たい空気と混ざり合って温度差が生じるようになると、前線が出来て徐々に温帯低気圧に変わるというものです。強い風の範囲が広がることで、より広い範囲で警戒が必要になるのです。温帯低気圧に変わったからもう大丈夫という考え方は危険です。

画像4

竜巻注意報

これは完全に思い込みですね。日本に竜巻注意報、竜巻警報のたぐいはありません。竜巻注意情報は雷注意報を補足する情報として、竜巻等の突風(ダウンバースト/ガストフロント含む)が発生する可能性が高まった時に発表される情報です。防災無線でも放送されますので、聞いたことがあるという方もいるかと思います。「こちらは防災○○です、ただいま竜巻注意情報が発表されました、雲の様子など周囲の状況に注意してください」こんな内容が繰り返されます。よく聞いていれば注意情報であることがわかりますが、私の周りでも注意報と思い込んでいる方が少なくありません。情のひと文字が抜けるだけで、全く違う意味になってしまいますので注意してください。

ダウンバーストとガストフロント

こちらも理解されていない方が多いのですが、積乱雲から発生するごく強い下降気流が地面に衝突して発生する突風がダウンバーストで、その先端に出来る小規模な前線がガストフロントです。つまりダウンバーストの冷気がガストフロントを作っているわけで、二つでワンセットの現象なのです。風の質だけでお互いを判断することは難しいですが、遠くから見ていると見た目が全く違います。ダウンバーストは遠くからでもハッキリ見える雨柱(降水雲)、ガストフロントは横に長く帯状にのびるアーチ雲が特徴です。どちらも水平方向の突風ですが、ダウンバーストは放射状に、ガストフロントは直線的に広がります。

画像1

画像2

画像3

他にもたくさんありますね、竜巻と旋風、巻積雲と高積雲、アーチ雲とロール雲、似て非なるもの、単なる思い込み、色々ありますが、間違いは恥ずかしいことではなく、正せばいいだけの話ですので学ぶことが大事です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?