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自分が演奏する曲の作曲者名、言えますか?

「この曲の作曲者名は?」

とあるスクールバンドの合奏中に、生徒たちにこんな質問をしたことがあります。すると、みんな一様にじっと楽譜を見始め、しばらくしてからそれを自信なさそうに読み上げてくれます。
読み上げる、とあえて書きましたが、私の実感として自分たちが演奏する曲の作曲者名を知っている(覚えている)人というのは、とても少ないように感じます。またこれは、中高生に限ったことではありません。
たしかに、作曲者名を覚えていなければならないルールはありませんし、それを知っているからといって演奏技術が特別向上するわけでもありません。
しかし、たとえばスポーツでも「今回の試合はこの監督らしい采配だった」とか、「この選手の長所は守備だが、今回は攻撃でも活躍した」など、その人物の個性と試合内容とを結びつけて楽しむことはよくあることですが、それは音楽においても同じなのです。
自分が演奏する作品の作曲者について知ることで、演奏する上でのヒントを得ることができたり、なにより音楽の捉え方・楽しみ方をさらに広げることができるのです!

「その作曲家らしさ」を発見しよう

どんな作曲家にも必ず個性が存在します。まずは、その作曲者の書いた曲をできるだけたくさん聴いて、その人の個性を自分なりに見つけてみましょう
個性を見つけるといっても、難しく考える必要はありません。「明るい曲が多い」とか、「打楽器が活躍する曲が多い」とか、最初はパッと聴いて感じた印象を留めておくだけで十分です。
そこからさらにしっかり考えたいという人は、たとえば、和音を重点的に聴いたり、用いられている打楽器を集中的に聴くなど、ポイントを絞って聴いてみるとその作曲家について新しい発見が得られるでしょう

作曲者のプロフィールにもいろんな手がかりが

スコアの裏表紙や出版社、作曲者自身のウェブサイトには作曲者のプロフィールが掲載されていることがあります。是非そこにも目を通してみましょう。
プロフィールには、生まれ年や出身地など、さまざまなことが書かれていますが、とくに注目しておきたいポイントを2つご紹介します。
1つ目は、吹奏楽以外での仕事の領域です。作曲家は、吹奏楽業界だけで仕事をしているとは限りません。映画やテレビの方面で活躍している人もいれば、ジャズシーンでも活躍している人もいます。
ほかの分野でも活躍している作曲家の吹奏楽作品には、ときにその音楽性や特徴を含んでいることも少なくありません。なので、それを知ることで楽曲理解の手がかりになる可能性があるのです。
2つ目は、その人が経験した楽器です。「中高生のとき、吹奏楽部に入部していた」という作曲家は少なくありません。当然、そのときになにかしらの楽器を演奏していたはずで、その経験はやはり作品に生かされることが多いと考えられます。
たとえば、木管楽器を経験した作曲家ならば、どんな細かいパッセージや連符にも明確にフィンガリングのイメージをもって書いているはずですし、打楽器を経験した人ならば、ティンパニの音替えや楽器の持ち替えが無理なく行える楽譜を書くでしょう。こうした、楽器経験から生じる作曲者の特徴というのも作品をより楽しめる要素の一つです。
ただし、経験した楽器についてはプロフィールに掲載していない場合も多いので、注意しましょう。

作曲家のSNSの投稿には面白いものもあるかも?

TwitterやFacebookなど、SNSを更新している作曲家も少なくありません。そこには、堅い内容より幾分フランクな投稿も多いはず。そうしたものを読むことでも、その人の性格や個性をより把握することができます。
なにより、SNSでの作曲家の身近な様子を垣間見ることで、練習のモチベーション向上も期待できるかもしれません。

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