数学の問題解決力を高める古典的名著 - 「いかにして問題をとくか」を読んで

数学の問題解決力を高めたい、論理的思考力を身につけたい、プログラミングスキルを向上させたい。そんな方におすすめしたい本があります。それが、ハンガリー出身の数学者 G. ポリア (George Pólya) による「いかにして問題をとくか (原題: How to Solve It)」です。

この本は1945年に初版が出版され、以来、数学教育の古典的名著として世界中で読み継がれてきました。日本語版は1954年に初版が刊行され、現在も多くの読者に親しまれています。

ポリアは本書で、数学の問題解決のプロセスを体系的に説明しています。彼は問題解決を次の4つのステップに分けています:

1. 問題を理解する (Understanding the Problem)
2. 計画を立てる (Devising a Plan)
3. 計画を実行する (Carrying Out the Plan)
4. 振り返る (Looking Back)

そして、各ステップで役立つ発問や戦略を具体例とともに詳しく解説しているのです。

まず「問題を理解する」ステップでは、問題文を注意深く読み、与えられた情報と求めるべきものを明確にすることが大切だと述べられています。ここで、「未知のものは何か?」「与えられたものは何か?」「条件は何か?」などの発問が役立ちます。

次の「計画を立てる」ステップでは、問題解決の見通しを立てることが重要だとされています。そのための戦略として、「関連する問題を知っているか?」「もし似た問題を解いたことがあるなら、それが役立つか?」「問題を言い換えられないか?」「図に描けないか?」などが挙げられています。

そして「計画を実行する」ステップでは、立てた計画を忠実に実行することが求められます。計画の各ステップを注意深く吟味し、論理的に正当化できるかを確認しながら進めていきます。

最後の「振り返る」ステップは、多くの人が軽視しがちですが、ポリアは非常に重要視しています。解答を検証し、別の解法がないかを考え、得られた結果や方法を振り返ることで、問題解決の経験から学びを得ることができるのです。

本書はこのように、問題解決の一般的な戦略を教えてくれます。これは数学の問題に限らず、日常生活やビジネスにおける様々な問題解決にも応用できる考え方だと言えるでしょう。

また、ポリアは具体例を数多く示しながら説明を進めていきます。例えば、「二つの正の整数の和が偶数ならば、それらの積は偶数であることを証明せよ」という問題を取り上げ、前述の4つのステップに沿って考えていく過程を丁寧に解説しています。

抽象的な説明だけでなく、実際の問題に即した議論が展開されているので、読者は問題解決の過程を具体的にイメージしながら学ぶことができます。数学が苦手な人にとっても、ポリアの明快な語り口は理解の助けになるはずです。

さらに、本書では問題解決のコツとして、「アナロジーを利用する」「逆向きに考える」「一般化する」といったアイデアも紹介されています。これらは数学の問題解決だけでなく、プログラミングやその他の分野においても重要な発想法だと言えます。

例えば、アナロジーを利用するとは、似たような構造を持つ別の問題を参考にすることですプログラミングで言えば、

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