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心が温まる、そんな物語を読んでみませんか?


ココアを飲むとほっとする。

今日はココアのように温かくて、優しくて、甘い物語が詰まった本をご紹介したいと思う。


「 木曜日にはココアを 」青山美智子


書店で目にしたことがある人もいるのではないだろうか。
表紙から惹きつけられるものがある。

小さな喫茶店、マーブル・カフェ。
そこにある常連のお客さんがいました。
木曜日、いつも同じ席でココアを注文し、お手紙を書いている女の子。
そのカフェの店員は、彼女にあだ名をつけていた。

「ココアさん」

温かい、なんだかくすぐったくなってしまうような物語から始まる。


率直な感想を書くと、とても読みやすい。
1話完結のため、飽きずに読めると思う。
また、普通なら例えその話での主人公が違うといえど、語られ方は一緒になるところなのですが、話ごとで視点が変わるところがとても面白い。

ある話では、絵本のような第三者が語る口調。主人公が誰かに話しかけるように語られるお話。普通の小説にあるように第三者が語るお話。

お話を楽しむ仕掛けが散らばっているのがとても素敵。


もちろん、お話もとても素敵でわたしがいいなあ、と思った文章を1つだけ取り上げてみたい。

赤い糸。それは、小指と小指をつなぐたよりない一本のことではなく、互いの体の中をかけめぐる血のことなんじゃないだろうか。あらかじめ結ばれた面を手繰り寄せるのではなく、いろんな出来事を重ねながら、それぞれの中で脈々と流れるたくさんの赤い糸を共鳴し合っていく。そんなスペシャルな相手を、人はみな探し続けているのかもしれない。

p 104

赤い糸をそう解釈したか、となるほどと感じた文だった。
この文章から、糸ではなく、体をかけめぐる血管を想像され共鳴していくようなイメージができるからびっくりだ。

昔から運命の赤い糸と呼んでいるものも、大人になるにつれて変わっていくんだなというすこし大人になった印象も与えられた。


12話の中で好きなお話は、やっぱり最初と最後のお話だ。

このタイトルの意味が繋がる瞬間。

「わたしもココアを」
そう言いたくなるし、マーブル・カフェに行きたくなる。


そんな本だった。


すこし疲れてしまったとき、
この本を読んでみてはいかがだろうか。


きっと、力が入っていた肩がすこし軽くなるはず。


今日もありがとうございました。


# 124

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