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話を聞いて

自分の話したいことが言い切れていない。
もっと話切りたい。
そう感じるこの頃。

職場を辞めてからもう5年は経つ。
間に少し仕事をした時期はあったけれど、こんなに長い間職場での人付き合いをしていないのかと自分でも驚くし、不安にもなる。

友人や家族と話すことはあるが、こんなコロナ禍じゃ気軽に逢いに行ける訳でもない。
ふらっと顔を合わせた時に世間話をする程度の隣人か
毎日うるさいくらい
ママーママーママママママママママと話かけてくれる3歳の息子か、夫と話すくらいだ。

話し足りない。
だからと言って何の話をしたい訳でもないってところが女の性格が出ていると言うか。

学生の頃、私は高齢者福祉に興味があって、介護施設へ実習に行く機会があった。
認知症の高齢者の方のためのグループホーム、デイサービス、訪問入浴など実習に行き資格を取った。

グループホームに実習に行った時、お話した利用者のおばあさんが今でも忘れられない。

認知症の方は物忘れが頻発になることが多い。
けれど、昔のことはよく覚えてることが多いのかな。
若い頃の話、幼い頃の話、話の内容まで私は覚えていない。
そしてもちろん認知症の方だから、同じ話を何度も何度も何度もぐるぐる話していたと思う。

話している内におばあさんが泣き始めてしまった。
きっと介護職の方は毎日忙しくて話を聞くことが出来ていないんだろう。
それか飽き飽きしてあしらってたかな。

「あらまぁ○○さん泣いちゃったわ。
学生さんが話聞いてくれて嬉しかったのね」

毎日毎日同じ話を聞かされたら嫌になるものだ。
良い話ならまだしも、過去の嫌だった話を何度も何度も聞かされたらうんざりする。

私の祖母は、祖母の父親のことが嫌いで堪らなかったらしく、いつもあの時のこれが嫌で辛かったんだって話ばかりしてたな。
聞く方はまたかと思うけど、本人は話さないとやってられなかったんじゃないかな。
一人で抱え込むには辛すぎて。

話したい。話さないと心の中でその事が渦を巻いている。
過去の話でも今の話でも何でも
私はこう考えてこう思ってるんだよーってことを話したい。
そう思う事がある。

認知症になったら、頭の中どうなるんだろう。

昔はこうでね、息子が3歳の誕生日でハッピーバースデーを上手に歌ったの!なんて
おばあさんになった私は何度も言いそうで怖い。

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