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【子ども】植物学⑤えっ、会えないの!?

約1年かけ、子どもの成長になぞらえて植物について学んできた(植物学)。いよいよまとめを・・・と思ったときに出された緊急事態宣言。顔を合わせずに学ぶ?そんなこと、考えたこともなかった。今回は、道なき道をとにかく進みながら、オンラインでの授業を模索した話。


回収されない伏線

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これまで、植物の話をしたときのことだけを書いてきたけれど、実際の授業には「リズムの時間」がある。この時間には、毎月同じような活動を繰り返していて(もちろん、ゆるやかに発展させていく)、お手玉を使ったエクササイズや、いろいろな遊び(という名の集団作りやインプロのワーク)に取り組んでいた。

と、もうひとつ。5人でタイミングを合わせて、五芒星や六芒星の形を歩くということもしていた。自分自身を含む頂点を結んだ五角形もしくは六角形が縮みながら回転し、また開いていく、その様子を思い描く。空間認知の練習になるだけでなく、身体のいろんな感覚をフル稼働して動くのが、とても気持ちいい。自分を出しすぎるでもなく、引っ込み思案になりすぎるでもなく、文字通り5人がぴったりと息を合わせて、見えない図形を作るのだ。経験のない方は、ぜひ試してみて欲しい。ハマるから。

5人揃わない日もあり、揃ったときには大喜びでこの活動を入れていたので、子どもたちは
「先生、好きやなぁ」
とか言いながら、歩いてくれていた。ほんと、外から見ていても美しい。

そう。これは伏線のつもりだった。


星の形が見えてくる

植物学の最後の方(詳しくはこちら→植物学④私たちはチューリップ)で登場した単子葉類、双子葉類を、よーく観察してみると、星の形が浮かび上がってくる。例えば、単子葉類であるチューリップ。これ、どう見ても六芒星じゃないだろうか。

チューリップ 真上

(↑ 画像;EVERGREEN植物図鑑より
https://love-evergreen.com/evergreenpost/post/3124)

六芒星 アップ


そして、双子葉類。一番わかりやすいのは、子どもたちが「自覚が足りない」と言っていたバラのがく。これは、どう見ても五芒星だろう。ギザギザを頼りに、順番をたどってみると、描き方までぴったり。

ばらのがく 番号入り

(↑ 生田緑地ばら苑 公式ブログより
http://ikuta-rose.txt-nifty.com/blog/2017/05/post-c7b6.html)

「あのとき歩いてた形は、単子葉類と双子葉類だった!」とわかったときの、子どもたちの表情を見てみたい。そう思っていたのに。この1年弱の間、喉元まで出てきている言葉を飲み込んで内緒にして、種明かしの日を楽しみにしてきたのに。

当初は4月まで延期することに決定したので、双子葉類、すなわち五芒星の隠されたサクラを観察して、伏線回収だ!という夢も広がったが、結局、様々な心配があったのでオンライン開催に舵を切った。オンラインでは5人で歩くわけにいかない。泣く泣く諦めるしかなかった。


五芒星を動く

オンラインでは、5人で息を合わせて歩いて五芒星を浮かび上がらせるなんて、どう頑張ってもできない。何か、いい方法はないかと思い、教員養成や治療教育士養成のときのノートを片っ端から読み返すと、いくつか動けそうなものや詩が見つかった。けれど、なんとなくしっくりこない。どこかにアイデア落ちてないかなと、そればかり考えて過ごしていた。

そこへ、一冊の会報誌が届いた。治療教育士養成コースを受講したときに一緒だった、賢治の学校ふくおかの先生からだ。頑張っておられる姿に元気をもらえるなぁ、と思いながら紙面をめくっていくと、なんと、そこにぴったりの詩とオイリュトミーが!

「1人で動けるならオンラインでもできる」なんて言ったら、オイリュトミストの方々に叱られそうだけれど、なりふり構っている余裕もなかった。正しいかどうか、善いかどうか、そんなことよりも、子どもたちと一緒に動きたい。同時に体を動かして、耳を澄ませて、遠く離れていても同じ空気を吸っているのだと、繋がっているのだと感じたい。そして、詩を通して、中学生になった彼らへのメッセージを伝えたい。「立って、歩いて、心を育て、希望を持って、考えることで、真の私になる」という内容の詩。目標に向かって生きていこうなんてクドクドお説教するよりも、全身全霊で詩を唱えた方がずっと伝わるはずだ。著作権もあると思うのでここには載せないけれど、今でも時々唱えてその響きから元気をもらうくらい、力のある詩だった。

次回は、オンラインでの絵の描き方を模索した話!

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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスの指導員として働くかたわら、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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