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僕が星景写真を撮る時に心がけていること

僕は土日は満月期でない限り、晴れれば星景写真の撮影に出かけています。さすがに平日は仕事があって辛いので「流星群」や「大彗星」が出た時以外は出かけませんが、金曜日の夜なら仕事が終わってから、土曜日の夜ならできるだけ昼間から現地に行くようにしています。

おそらくそんな生活を15年以上はしていると思います。今回のnoteでは僕が星景写真の撮る時に心がけていることを書きたいと思います。


準備編

出かける前にしていること。
まずは撮影当日の「薄明開始、終了時間」「月の出、月の入時間」をメモ。
当日何時から何時まで撮れるかは把握しなくてはいけないですし、月の影響は大きいのでまずこれらを調べます。

例として5月27日(土)から28日(日)にかけて調べてみました。
薄明終了:20:34
薄明開始:2:44
月の出:10:49
月の入り:0:39

これを見ると写真が撮れる時間帯はだいたい20時から3時半くらいまで。
半月くらいの月が出ているが、夜半過ぎに沈むことがわかりました。
月明かりの影響がない暗夜は2時間ちょっとしかないことになります。月が出ていると写真が撮れないわけではないので、その時間帯は月明かりを
利用した作品にしたいものです。

メインの時間は0:30頃からなので天文シミュレーションソフト「ステラナビゲーター」を見てみました。

ステラナビゲーター 2023年5月28日 0:30の星空

0:30にはすっかり夏の空でさそり座が南中しています。
白い枠線は15mmレンズでの写野で、ステラナビゲーターではレンズの焦点距離の写野が出るので事前の計画がたちます。
今回は南方向の天の川がメインとなりそうなので南の空が良い場所、または南方向に良い風景がある場所を選びたいなと思います。

さて、一番重要な場所選びですがこれがなかなか難しい。最初の頃はネットで先輩たちが撮っている場所に片っ端から出かけて撮影していましたが長年撮っていると行きつくしている感じがあります。もちろん全国に広げれば残りの人生では行きつくせないほど候補があるのですが、仕事をしながらだと制限があります。

金曜の夜:仕事が終わってから出かけるので着くのは暗い時間です。したがって行った経験があってできれば2時間以内くらいに行ける場所。
土曜日の夜:昼間から行ってロケハン出来るので初めての場所でもOK。普段からグーグルマップやSNSで候補地を考えてメモしているのでその中から今回の撮影対象に合った場所を選択します。

僕は埼玉県に住んでいるので、きれいな星空を撮るなら長野、群馬、栃木、山梨、新潟あたりが候補となります。
時間が無くて近場なら埼玉の秩父となど。
さらに2月の明け方に天の川が東の空から昇る時期には東が海の茨城、千葉に行くことが多いです。

星の写真撮影にとってとても厄介なのが天気です。
いくら綿密に計画しても晴れてくれなくては話になりません。
そこで候補地はいくつか選んでおいて出発直前に予報を見て決めます。
とりあえず関越自動車道に乗って佐久のSAから雲の状態を見てどっちに行くか決めるなんていうこともあります。


一般的な天気予報の晴れだと雲があったりするので星の撮影ではあまり参考になりません。


GPV,SCW,Windyなどを参考にして場所を決めています。


前述したステラナビゲーターでは地形を表示する機能がありますので以下のようにシュミレーションすることが可能です。

ステラナビゲーター 2023年5月28日 1:41の星空

これはアンドロメダ星雲が昇ってくる頃に富士宮市から富士山と撮れることがわかりました。白い枠は85mmの写野なので富士山とアンドロメダ星雲が中望遠レンズで撮れることがわかります。
このように事前に調べることで自分の撮りたい作品につながります。

準備についてはもう少し。
僕はレンズの内側にLeeのフィルターを付けて撮影することが多いので、出かける前に装着することで現地で時間を節約できます。月明かりがある時などはフィルターを付けないのでこの限りではありません。

また、カメラバックは2個持っていくのですが、車を止めてからあまり歩かない場所ならこのままで良いのですが、そうでない場合は1つのバックに必要最小限の機材を入れて事前にまとめておきます。

sonyα7S3では星空動画も撮るのですが、カメラをジンバルに付ける作業も時間がかかるので取り付けたままで車に乗せます。

いずれにしても現地での作業を出来るだけ減らせるように心がけて準備しています。夜の作業はライトをつけてなので何をやっても時間がかかりますので、明るい場所で出来ることはやっておくことです。
「現地について晴れていたのに準備中に曇ってしまった」なんてことも何回かありましたので、それは出来るだけ避けたいものです。

現地編


撮影機材:Canon6D  TAMRON SP15-30mmF2.8G2 ビクセンポラリエU赤道儀 


準備編で書きましたが、月や天候に応じて撮影時間が短い時はすぐさまセッティングして直感で場所を決めて撮り始める。
とにかく撮り始めるのが大事。
時間がある時や、昼間から現地に入れた時はカメラを持たずにまわりを歩いてじっくりロケハンすることをお勧めします。

夜の撮影なので暗くなってからだとまったく風景が見えなくなりますから出来るだけ昼間から入るのがベストなのです。
注意点は街頭などの光の有無。昼間見た時はベストだと思っていたのに夜行ってみると街灯がついていて撮影できなかったということも多いのでできるだけ候補地はたくさん選んでおきたいです。


撮影にあたって僕が心がけているのは「同じ場所に留まらない。」「とにかく動く」ことです。
同じ場所でも視点を上下すると景色が変わるので三脚を上下して写してみる。空と地上風景の割合を変えて写す。などです。

たまにどうしても天候や時間の兼ね合いで何回も行ったことがある場所に行くことがありますが、「とにかく考える」「もっと良い構図が必ずあるはずだと信じて動く」ということをしています。


カメラのモニターにルーペを当ててピントを合わせます

モニター設定や撮り方についても一言。
露出は少しくらいはずれても画像処理でなんとかなる場合がありますが、ピントだけはどうしようもありません。単焦点レンズなら一度合わせてテープで固定する方法もありますが、万が一ずれたら全滅の恐れがあります。僕はこまめにチェックして全滅を防ぐということを心がけています。
ピント合わせの方法ですが、一番明るい星をライブビューに入れて、ライブビューの倍率を最大に上げ、モニターにルーペを当ててピントを合わせています。

さらに露出も変えて3パターンは撮ること。星景写真の場合、露出不足が一番悪いと考えていますのでオーバー目に撮ることを心がけています。
月の無い天の川が見えるような空での設定は以下くらいのことが多いです。

Canon6D  TAMRON SP15-30mmF2.8G2(A041)
F2.8  ISO6400  30秒  

星の写真の経験が無い風景写真や鉄道写真から入った方はISOを上げたがらない傾向があります。これはプロカメラマンも例外ではありません。
「ISOを1600以上に上げるなんて考えられない」と言われたりします。
そうすると露出不足になり、結果画像処理で持ち上げてノイズが多い写真になったりします。ノイズを出さないためにISOを下げたはずなのに意味が無いですよね。

撮影地で出会った方とお話するとこのケースが多くて、「どうも綺麗に撮れません」と言われてモニターを見せてもらうと露出不足で、「ISOを6400まで上げてみてください」とやってもらうと全然違った結果が出たりしています。もちろんISOの上げられる範囲はカメラによっては違うのですが、先入観は持たずにいろいろ試してみてください。


ビクセンの天体観測用ライト右がSG-L01、左がSG-L02

ライト
星を撮るということは真っ暗なところにいるので少しの明かりでも邪魔になります。誰もいない場所での撮影なら良いのですが、関東周辺ではたいてい人がいるので配慮が必要になります。私は光量が調整できるビクセンの天体観測用ライトSG-L01とSG-L02を使用しています。
使い方ですが、ヘッドライトにしてアタマにつけると他の撮影者の邪魔になるので、付属のバンドを組み合わせて首にかけて使用してます。

現地ではヘッドライトを振り回してあたりに光をまき散らしている人を見受けますが、そういうことは避けたいものです。
ただし、気を使いすぎて崖や田んぼに落ちたりしたら危険です。移動時はしっかりした明るいライトを使って場所を確認しながら安全第一で動くようにしています。


レンズにあるオートフォーカス、手振れ補正のON,OFFボタンはうっかり触ってONになったりするのでこまめにチェックしています。

*さらにチェックすること*
オートフォーカスがONになっていないか?
手振れ補正がONになっていないか?
オートフォーカス、手振れ補正は必ずOFFにしてください。三脚を使用して手振れ補正をONにして撮影すると星が動いて撮れたりします。

以上僕が星景写真を撮る時に心がけていることです。少しでも参考になれば嬉しいです。

星景写真の撮り方や場所の選び方、機材についてなどはYouTube動画も作っているので参考にされてください。


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