ツクヨミの住人 #13
私たちは、喫茶もちづきの駐車場で別れた。店を出る前に、空司さんに挨拶をしたら、ツクヨミの町内マップをもらった。
「また明日お待ちしてます。おやすみなさい」
なんて言われたら、すっかり仲良しの気分になって、私は思わず空司さんに会釈しつつ、手を振ってしまった。空司さんもニコニコ笑いながらすぐに手を振り返してくれた。私はなんだか急に恥ずかしくなってしまった。その様子を見ていたからなのか、車に乗ってすぐ、川路さんは私に話しかけてきた。
「おもしろい人だよね、空司くんは」
後部座席でぼうっとしていた私は、ルームミラー越しに川路さんがこちらを見ていることに気づいて、すぐに「はい」と言って頷いた。
川路さんはいつの間にかサングラスをかけていた。藍染の作務衣にスポーティーなサングラスが妙に様になっているのが可笑しくて、川路さんがいろいろと話しかけてくれているのに、私はほとんどルームミラーを見ることができなかった。川路さんの宿までは、喫茶もちづきから15分ほどかかるらしい。
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