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インポッシブル・フーズの人工肉を食べてみました。

ビヨンド・ミート(BYND)

かねてより人工肉に興味がありました。肉を食べるより植物由来の素材で似たような満足を味わえるのであれば、そちらの方が良いに決まっています。特に歳を取れば食べ物にも気を遣うようになっています。そして動物を殺さなくても同じような満足を得られるのであれば、これから間違いなくブームになるでしょう。アメリカ株でもビヨンド・ミート(BYND)を買いたいと思ってきました。しかし業界に1つしか銘柄がないとリスクではないか、インポッシブル・フードの方が良いよね〜でも未公開だからインポッシブルか、と躊躇している間に現在に至っています。

そんなことを考えていた矢先、シンガポール滞在中にスターバックスでインポッシブルバーガーブランドとコラボレーションしたパイ”Impossible Rendang Pie”を販売するという情報を入手。早速注文しました。

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実物

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さて商品はこのような感じでした。パイ🥧の見た目はまあまあ期待通りです。切って中の具を写真に収めようとスタバのプラスチックナイフで切ってみましたが、これが切れ味最悪😨。まともに切れずボロボロになりながらようやくカットして撮影したものが下記です。

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卵や豆なども入っていますので、ミート部分は具材全体の半分くらい。見た目は色の悪いソーセージみたいな感じです。

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うーむ、お世辞にも美味しそうな見た目とは言えません。そりゃパイの中に入ってますからね。撮影用にミート部分だけを取り出しました。

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他の具材にまみれてますがこんな見た目です。やはり皮のないソーセージと言った感じです。それか安いハンバーグ的な。

しかし見た目については今回は重要ではありません。味についてどうでしょうか。撮影後にパクッと食べてみました。
昔のねるねるねるねのCMみたいにテーレッテレー、となることを期待しましたが、感想としては
「まあ、ソーセージっぽいかなあ」
こんな感じです。元々ヘルシーやビーガン的なアプローチですので、肉を超えていく必要はありません。違和感なく食べられれば合格です。その意味では、もしこの肉が人工肉だよと言われなければ気づかなかったと思います。味に大きな問題は見当たりません。

ただ別の問題があります。価格です。私は純粋な消費者ではなかったので価格を気にしませんが、一般に受け入れられるためには味と価格セットで納得してもらわないといけません。スターバックスのメニューからご紹介します。(1シンガポールドル=80円程度)

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真ん中がインポッシブル・フーズ使用のパイです。比べてみると他のパイに比べて30%〜40%高いです。他のメニューはチキンとビーフですから唯一の植物由来フィリングのパイとなります。つまり「パイ食べたいけど、肉は嫌なので植物系が良いよね」というニーズの人が、3割くらい多くお金を出して買うメニューになっています。

ビーガン以外にそんな人がどれくらいいるのでしょう。ハンバーガーショップで植物由来のインポッシブルバーガーを売る意味はまだわかります。他人と一緒に行って、肉食べたくなければオーダーする意味はあるでしょう。しかしスターバックスではパイはあくまでサイドメニューですから、「ニューヨーカーの当たり前、植物ミート」とか「肉よりずっと美味しい」など何か動機付けがないと、わざわざ頼む人がどれくらいいるのだろうかと思ってしまいました。サラダ頼むなりあるいは何も食べないという選択肢もありますので。

ミートはミートのみで勝負してほしい、ハンバーグやステーキの代わりでないと一般人には意味がないかもしれない。そこまで考えて思い出しましたが、大豆ハンバーグってありますよね。あれが同じニーズを満たせるのではないかと思います。意外と原点回帰で再流行する可能性もありますね。
※しかし人工肉も調理の仕方や他のラインナップで化ける食材かもしれませんので、あくまで個人の感想ということでご理解ください。

人工肉に批判的な感想を書きましたが、原因は価格であり最初に述べましたように人工肉の未来自体には期待しています。スターバックスが人工肉をテストしているのは理由が無い訳ではなく、シンガポールではビーガン行動を起こす人口が増えており、2013-2017年の5年で140%増加したという記事もあります。特に10代20代の若い世代では純粋なビーガンでなくても「ビーガン的な行動」を好む傾向が増えています。その影響で、カフェなど若者に人気で意識の高い層がくる店舗は、人工肉をテストするケースが増えてきているようです。

なお、アメリカのビヨンドミートが先日好決算を発表した時に、「コロナで工場から動物肉の提供が滞るようになり、スーパーで人工肉を選ぶ人が増えてきた。シェアを取るために価格を抑える作戦でしばらく進める」という話が会社からありました。確かに動物肉が食べられなくても同じ値段で人工肉が食べられれば、買ってみる人が増えるでしょう。しかしコロナで財布が厳しくなっている消費者にとって、高い商品は敵でしかありません。ビヨンドミートの判断は合理的です。
人工肉メーカーはマーケットを広げられるチャンスにいます。それは同時に、もし将来コロナが収まって肉の流通が復活した場合、人工肉から普通の肉へとビーガン以外は回帰する可能性も意味します。ビヨンドミートの株式に投資する場合、売上の増加が今後も続くものなのか、それとも一過性のものなのか。そして価格がいくらだと利益を確保できるのか。注視した方が良いかもしれません。

実際人工肉を食べてみると、自分のような非若者には食として習慣化するには啓蒙と時間が必要だなと感じました。ご参考までに。


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