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なんとなく「J1昇格しようぜ」って言ってた僕

横浜FCを応援し続けてきて3年。
実は今季が初めてのJ2だった。

J1に居たころの感覚では
降格は地獄を意味し、有望な若手の離脱と戦力の大幅ダウン。そしてそれに伴う苦戦を強いられる為「一度落ちたら帰ってこれない。永遠の苦しみが待っている」などという(主に千葉県方面からの)言説に恐れおののいていた。危機感を煽られ、私はいつにも増して必死に横浜FCを応援したが、結果はあえなく最下位。残念ながらJ2降格が決まった。

迎えた2022シーズン。
クラブは「1年でのJ1復帰」というお題目に対して妙に気合が入っており、思っていたほどの大幅な戦力ダウンは見られなかった。当然、松尾や瀬古などの看板選手はACLに出場するレベルのクラブに持っていかれたが、彼らはむしろJ2でプレーしている方が心配になるレベルの選手なのでハナからそんな無謀な期待は抱いていなかった。


それどころか、なかなかにすごい補強をしてくれていたので出ていく選手に想いを馳せている暇なんて無かった。

開幕前、横浜FCの目標は「J1昇格」だった。
当然、今もそれは変わっていないのだが開幕前はまだ勝ち点を得ていなかったこともあり、まだまだ目標に対するピントはぼやけていた。それから数か月、横浜FCはあれよあれよという間に勝ち点を積み重ねていき、9月13日現在、リーグ戦2位(首位と勝ち点差なし)につけている。

こうなってくると、ぼやけていた「J1昇格」という目標に対するピントが徐々に合ってくる。具体的な道筋が見えてくる。
僕も、友人とやっているラジオの中で「J1昇格に向けて」や「J1昇格しましょう!」と発する機会が増えてきた。否が応にもJ1昇格への期待は高まる。

けれども、その時ふと思った。
「なんとなく『J1昇格しようぜ!』って言ってないか?」と。
J1からJ2に降格した時、そこに待っているのは地獄だと思っていた。
けれどもそれは違った。J1だろうがJ2だろうが、サッカーはサッカー。
やってることに何も変わりはなかった。全然地獄ではなかった。
もちろん、フロント陣の必死の補強で戦力を維持できていたのも大きな要因としてあるだろう。

けれども、それは本質的な理由ではない。
愛するクラブがJ2に落ちてみて、初めて分かった事がある。

僕は「J1に居る横浜FC」ではなく「横浜FC」が好きなのだ。
だから、その戦いの舞台がJ1であろうとJ2であろうとJ3であろうと、僕はこのクラブを応援し続けるだろう。と思えた。その事に対して自信を持てた。

クラブを応援するにあたって、個々の価値観は色々あっていいと思う。

「横浜FCが世界レベルのクラブに発展していく為にサポートしたい!」
「横浜FCから羽ばたく選手を見守りたい!」
「横浜FCこそ我が人生!」
「勝ち負けなんてどうでもいいんだ。頑張ってる姿を見たい!」

その全てが正解だ。その全てが肯定されるべきだ。けれども僕は、思考停止的に「J1昇格しようぜ!」とお題目のように唱えている自分に対して嫌悪感を覚えた。周りになんとなく流されて「J1昇格しようぜ!」と言っているのではないか。「J1昇格しようぜ!」と言っている人を否定するつもりはないが、僕はそんな自分を受け入れない事にした。

そう、よくよく考えてみると横浜FCが昇格しなくても僕は横浜FCを好きでい続けられるだろう。勝っても負けてもサッカーを、横浜FCというコンテンツを楽しめるだろう。もっと言えば、J1に上がれば間違いなく負ける試合は増える。サポーターの鬱憤やストレスは溜まるばかりだろう。快適度で言えば、間違いなくJ2の方が上だ。

だとしたら何故、僕は横浜FCの勝利を願うのだろう。
だとしたら何故、僕は横浜FCのゴールを願うのだろう。
だとしたら何故、僕は横浜FCの昇格を願うのだろう。

僕はその問いに向き合った。
この時間を文章で表現できないのはもどかしいが、ひたすら考えた。
そして今、一つの答えらしきものが頭に浮かんだ。

「横浜FCに関わる人たちが喜ぶ姿を見たいから」だ

僕は横浜FCというクラブが大好きだ。
どれだけ選手が入れ替わろうと、どれだけ監督が変わろうと、どれだけクラブが負けようと、その気持ちは変わらなかった。
当然、負けたり不運があれば落ち込むが、塞ぎ込むほどは落ち込まない。
何なら負けたところで特に何も気にしない日だってある。
なら僕は何故勝利を、ゴールを、昇格を望むのかと考えた。その答えが「横浜FCに関わる人たちが喜ぶ姿を見たいから」だった。

大好きなクラブに関わる人たちには幸せで居てほしい。
その人たちが望むのが「勝利」「ゴール」「昇格」ならば、僕も一緒にその目標に向かって進んでいきたい。同じ目標のもとで、泣いたり笑ったり、落ち込んだり喜んだりを共有していきたい。例えその先が茨の道、或いは地獄の業火が燃えたぎる鍋の中であったとしても、僕は横浜FCを愛する仲間と共に笑顔で突き進んでいきたい。

だからこそ僕は、横浜FCの勝利を願い、ゴールを願い、昇格を願うのだ。
答えは出た。迷いは振り払われた。
今なら胸を張って言える。



J1昇格しようぜ!


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