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措置入院が短期間になる場合

個人的に措置入院は基本的に2ヶ月以上は入院させると言う話を書いた。


措置入院は退院後の通院も強制にするべきである

措置入院後のその人の治療や対応をどうするかは大きな問題となっている。しかしその議論の多くはその人の予後を良くする方法という発想ではなく、その人が危険な行動を取らないようにするための方法という発想から議論されていることが残念である。

措置入院した人はなんらかの反社会的行動を病気のために取ってしまった、取る寸前までいった人であり、退院後も長期に渡って治療継続を義務化するべきである。

現在のシステムは入院中に繰返し治療の必要性を説明し、ある程度は納得したと思われる人を退院させる。当然ながら嘘をついて入院中だけはおとなしくしている人、入院中は理解していたものの退院後に気持ちが変わってしまう人がいる。そういった人に対して、病院は何の権限も持たない、保健所も何の権限も持たない。

「通院してね」「薬飲んでね」と繰返し説明し、訪問看護などで職員が家に行くものの、本人が拒否すると何もできない。訪問自体を拒否すると、医療費も取れず家に行くことすらできない。ある程度 重大な反社会的行動を取った人は、裁判所などの命令で、長期間 通院治療を義務化し、それに反した場合は多少でも精神的に不安定な状態となれば強制的な入院ができるようにすることが必要である。通院も含めた治療を強制的に行わないのであれば、精神症状のため危険な行動を取ってしまう人はずっと強制的に入院させ続けるか、入院のとき以外は極力関わらないようにするしかない。


テロ行為をする人は精神科対応ではない

以前にあった事件のように、「社会の役に立っていない人たちは殺した方が良い」「みんなを殺して自殺する」などと、危険な思想を抱き、十分な計画を立てて国民の一部を狙い殺戮するということはテロ行為である。

テロ行為から国家や国民の安全をいかに守るかという視点で論ずるべきである。危険な思想をする人から国民を守ることを精神科病院に求めてはいけない。


措置入院が短期間になるとき

措置入院は2ヶ月以上入院ししっかりと病気の自覚をしてもらい退院するようにしているものの、例外的に極めて短期間で退院する場合がある。

あまり大きな声では言えないものの「誤診」であったときである。正確には措置入院でなくても良かったのかもしれないということである。もちろん入院治療が必要なかった人ではなく、医療保療入院でも十分だった人がほとんどである。

措置入院の診察は圧倒的に情報不足の状態で行われる。もちろん他病院に通院中の人が急激に状態が悪化し措置診察ということになる場合もあり、その時にはある程度情報が揃っている。ほとんどの場合、未治療 あるいは 長期間治療中断しており、家族もいない あるいは 完全に疎遠であることが多い。

そのためほとんど情報がない状態で、してしまった問題行動と、警察に保護された後の様子、目の前の本人の状態から判断する必要がある。

本人がある程度話をしたり、極めてわかりやすい状態像を呈している場合は問題なく判断ができるものの、拒否的で質問にふてくされた感じでまともに返事をしないときには判断は難しくなってくる。仕方なく、してしまった問題行動を考慮し措置入院ということになることが多い。しかし入院後に本人の様子がしっかり観察できるようになり、正確な情報も集まり、本人も話をするようになってくると、措置入院が必要ではなかった可能性が高いことが極めてまれにある。


興奮し暴れて家族に暴力を振り、家族は「急に暴れだした」「変なことを言う」「興奮した理由は全く分からない」と言い、本人は「関係ねえだろう」「ぶっ殺すぞ」と威嚇してくるのみの人。

実は単なる親子喧嘩であった。


家族は「うつ病で治療を受けていた」「急に死ぬと包丁を振り回した」と言っていたものの、パーソナリティー障害で明かな希死念慮ではなく、これまでも何度もある突発的な家族に対する見せつけ的な衝動行為であった。

こういった場合は、入院治療は短期間で終わることが多い。


措置入院を短期間で退院した人

措置入院をしたものの、極めて短期間で退院しているときは主に二つのパターンがある。

・症状のために危険な行動を取ったものの極めて速やかに改善した人。

・症状のためではなく、その人の性格などの問題で危険な行動を取っただけの人。

再度危険な行動のリスクを減らすために治療継続することは、前者には取っては重要な意味を持つものの、後者に取ってはそれほど意味を持たない。

過去に措置入院したことがあるからといって、その後の犯罪行為が罪に問われないということはない。治療を受け続けていたら予防できたということでもない。

いい加減な治療しかしなかったではなく、治療しても仕方がないことがはっきりしたから早期に退院した、ということが多い。

性格や思想などの問題で危険な行動を取る人には精神医学は無力である。その当たり前のことをもっとしっかりと伝えていく必要があると思っている。


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