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3DCGモデラーと共に振り返るゲームグラフィックの歴史| すたんど酒場 vol.6

みなさん、こんにちは!
STANDのいわきです!

先日、11月22日にすたんど酒場#6を開催しました!
今回は3DCGキャラモデラーとしても活躍する堀部さんがパネラーとして登壇し、『歴史から紐解く3DCGモデル』の講演が行われました!

この企画は元々8月に実施を予定していたのですが、悲しくも台風によって延期に…。3か月の間、内容をブラッシュアップしての開催となりました。

「3DCGの歴史」というとやや大層に見えますが、いざ覗いてみると、これまでの多くの子供や大人を魅了してきたゲームグラフィックの進化の足跡を見ることができました。
本日はその内容を一部ご紹介しつつ、当日の様子をレポートしてまいります!


そもそも3Dゲームとは

3Dゲームとは「三次元コンピュータグラフィックス(3DCG)」を用いて表現されたゲームの総称で、縦、横、高さの3方向で表現される立体的な表現が特徴的です。

3Dという技術が出るまでは、ゲームは2次元という縦・横の2方向で表現されるのが一般的でした。なので、初めて人々の前に3Dが登場した当時、それは大変衝撃的なものだったようです。

進化にたった1年。急速に発展する3DCG技術

そもそも、我々が思い浮かべる「3DCG」というのは「ポリゴン」と呼ばれる多角形の面データから構成されています。

そんなポリゴン技術を用いて初めてゲームに導入されたのが、株式会社SEGA開発の『バーチャファイター』(1993年発売)。

引用元:株式会社セガ「バーチャファイター」(1993) https://www.sega.jp/history/arcade/product/9122/

3Dキャラクターを動かすという前代未聞の技術はもちろんのことながら、プレイヤーのコントローラー操作にリアルタイムで反応し、スムーズな動きを表現できたという点においても、革新的なタイトルとして当時はかなり話題になりました。

そして、同シリーズは更に進化を遂げ、翌年には『バーチャファイター2』をリリース。

引用元:株式会社セガ「バーチャファイター2」(1994) https://www.sega.jp/history/arcade/product/9099/

2作目からはテクスチャマッピング(※)という技術が用いられるようになり、より細かいデティールの表現が可能に。
キャラクターの服はもちろんのことながら、人相や筋肉の質感、建物の材質なども表現できるようになり、より鮮やかで豊かな表現に繋がりました。
ここで一番驚くことはこの進化にかかった時間がたったの1年ということです。

その後、「PlayStation」や「NINTENDO64」といった家庭用ゲーム機が発売され、CG技術は、1996年に発売された『スーパーマリオ64』、さらにその1年後の『ファイナルファンタジーVII』などでも活用されるようになり、次々と3DCGがゲーム業界に普及していくことになります。

引用元:SQUARE ENIX「FINAL FANTASY Ⅶ」(1997)
https://www.jp.square-enix.com/game/detail/ff7/
97年には金属特有の光の質感まで表現可能に

※テクスチャマッピング(texture mapping)…3Dポリゴンの表面に画像を重ねることで、物体としての質感を表現する技術のこと

現在の3D技術と海外企業の飛躍

こういった背景と歴史を辿りながら、2024年現在では多くのゲームがポリゴンを扱ったゲームになってきており、アーケード機や家庭用ゲーム機が主流だった過去からだんだんと変わってきています。

特に、最近のスマートフォンタイトルは家庭用ゲーム機やPCプラットフォームと同時展開されているものも増えてきており、スマートフォンでも高クオリティのゲームをプレイすることができます。

例えば、最近のスマートフォン向けゲームで評価が高いゲームといえば『ウマ娘』『原神』『ブルーアーカイブ』などといったものから、最新のものでは今年リリースされた『ゼンレスゾーンゼロ』も高クオリティなグラフィックが高く評価されています。

特に同作は高クオリティのモデルだけでなく、アメコミやカートゥーンを彷彿とさせるコミカルな動きも特徴的です。

ここで危機感を持つのが、『ウマ娘』を除いた3タイトルはどれも日本ではなく、海外の会社が制作したタイトルだということです。

講演ではいくつかの最新のゲームトレーラーを皆と鑑賞しましたが、日本では中々見かけないコンセプトを活かしたハイクオリティの映像を前に、「こういうものを本当は日本がやらなくちゃいけなかった」とこぼす参加者も中にはいました。

昨今のユーザーはスマホの普及により高クオリティのゲームに触れる機会が増えてきており、求めるクオリティも年々高くなってきています。
言い換えてみれば、「美麗なグラフィック」だけでは、ユーザーに訴求するパワーが足りない時代とも言えますね。

今後、ヒットするタイトルを生産するには、高い技術力の他にも”ユーザーのニーズをリサーチする力”や、初見の人を惹きつけられる”コンセプト設計力”も重要になっていくのではないかと思います。

最後は宣伝と交流会タイム

スライドを終え、話し終わると今度は質問タイムに。

「同じ開発環境なのにどの部分から見え方に差が出ているのか」
「海外企業の方がCGが優れているのは何故か」
「予算があれば海外にも負けないタイトルを作ることができるのか」

など、技術の話から業界全体に関連してくる質問に堀部さんが答えながらも、参加者同士でも意見を交換する時間となりました。

締めくくりでは、堀部さんが参画するタイトルと、オススメしたいタイトルの紹介を行い、講演パートは無事終了。
最後はみんなで食事をとりながら交流しました!

講演のテーマを決めるにあたって

堀部さんは発表を行った「歴史から紐解く3DCGモデル」。
今回は、どんな背景からこのようなテーマで登壇を決めたのか、ご本人から直接コメントをいただきました!

皆様お疲れ様です。堀部です。
今回の講義を決めた理由と致しましては、

僕自身3DCGデザイナーとしてお仕事をするようになって約10年、これまでとは違い3DCGを教える立場に立つこともあり、今一度ゲームの歴史とこれからクリエイターに求められるクオリティを再認識しようと議題のテーマを設定しました。

今後も、業界を志すユーザーに対して知見を伝えていく活動を増やしていけたらと思っているので、酒場で改めてプロの皆様にお話しすることができ本当に光栄でした…!

改めて、登壇お疲れ様でした!

次回すたんど酒場#7も現在企画中です!
また社内Slackにて告知しますので、お知らせをお楽しみに!