手で淹れるコーヒー、スーパーマーケットの最高級
朝ちゃんと目がさめたので、トーストを焼き、大晦日に友人が野方でやっているコーヒーショップ・DAILLY COFFEE STANDでもとめた豆でコーヒーを淹れた。ひといきついて、ここでリビングでゆっくりしてしまうといけない。たちまちSWITCHかPS4の電源をいれてしまい、ゲームかNetflixを熱心にはじめてしまうからだ。どんなに向上心のある日であっても、そうなってしまう。ぼくの向上心なんていうのは、そんなものだ。だから甘美な誘惑を断ち切るようにして、仕事部屋に行って書きものなどしていた。
2018年のキックオフ的なワークシートを妻がつくったので、それにそっていろいろと書いてみる。今年は、自分のペースをしっかりと守る働き方をしよう。いつだって何かはじまりの予感に満ちている仕事に対して、ぼくは軸足を全部そこに置いてしまう。肝心なところの、自分自身の持ち味、というものを見失ってしまう。それでは、クライアントも困ってしまうよね。
気分よく書き出して、ついでにまた資料を読んだり書きものをリスタートしようとしたところ、久々に急転直下というような形で、ゼツボー的なムードに襲われる。「あああ、これはだめだ〜」といってリビングに置いてある「人をダメにするソファ」に顔をうずめた。
夕方になり調子を戻してきたので、スーパーマーケットに出かける。
すき焼きをしよう、と思いたち普段よりよい肉を買う。サシなんともきれいにはいったもので、いわて牛とのこと。焼くにはサシのあまり入っていない赤身の方が好みになってきたが、すき焼きには牛の甘いあぶらがよく似合うものだ。
関西風でちゃんとやる。野菜や具材をひと通り切りそろえて、木皿の上にまあるくならべる。そしてまず牛脂を鍋にひき、ああこれが牛のかおりだなあという感じに浸りはじめたら、さっと肉を焼いてしまう。ここでは臆せず、ぜんぶいっぺんに焼いてしまうくらいの気持ちが必要だ。焼き色がさしてきたら、しょうゆと砂糖をがっと入れる。砂糖は三温糖とかオーガニックな、精製されていないものがいい。ここは多めにいれてしまって平気で、なぜならその直後にいれる白菜やネギから野菜の甘味をともなった水分がたくさん発生するからだ。すべては目分量で、味が濃すぎたら日本酒を足せばいい。好みの味がつくれるのが関西風すき焼きのよいところで、割りしたなんて均質な調味料はあまりぼくは好きではないのだ。
スーパーマーケットでできる贅沢、というのは精神衛生上とてもよい。最高級の牛肉、最高級の納豆、最高級のたまご、ただしスーパーマーケットにあるものの中に限るというスタンス。これが伊勢丹なんかでやってしまうと、たいへんだ。ローストビーフだけで8000円とかしてしまう。それは違う。
伊勢丹ではなくて、オオゼキとかサミットとか(どちらも世田谷発祥のスーパーマーケットだ)ライフとか、イオンとか、そういう日常の場の中で選べる、最も高価なもの。それはハレとケの二極化を、あいまいなグラデーションに仕立て直してくれるすてきな行為だ。
最後までありがとうございます。また読んでね。