ドキドキ!プリキュアについて【10】

第8話から参加となった成田さんですが、初顔合わせ(※1)の時は緊張しました。何せ相手はプリキュアの事を隅から隅まで知り尽くした匠。「こんなのプリキュアじゃ~ない!」なんて言われたらどうしようかと一方的に怯えていたのです(笑)。そんな心配も杞憂に終わり、アイちゃん登場のお話をのびのびと書いて貰いました。お世話ラビーズなど、初めて使うアイテムも多い話数なのですが、そこは匠も手慣れたもので、全く違和感を感じさせません。稲上さんの作画と門さんの演出で、眠気と戦うキュアハートたちが最高に可愛く描かれています。ジコチュー役の岩崎さんによると「ヤギジコチューとヒツジジコチューのビブラートのかけ方の違いも見所のひとつ」とのこと(笑)。
第9話は「ちょっと目を離したスキに赤ちゃんが大変なことに!」というベタな筋書きで、田中さんに遊んで貰いました。シナリオの仮サブタイトルは「アイちゃんパニック!」竹本泉か? 野球とサッカーの二大ジコチューがグラウンドの取り合いで暴れまわるというネタは、何処かで使いたいと思っていたもの。敵が二体って燃えるよね。アボラスとバニラとか、グドンとツインテールとか(そこかよ!)
第10話は、シリーズ構成の段階ではもっとギャグ寄りのつもりでした。マナと真琴があまりに仲良くするものだから、六花の怒りが爆発! 応援団長も巻き込んでのドタバタ劇みたいなものを想定して。ですが、ナツコさんが「親友が他の子と仲良くなった時のやる瀬なさは共感できる」と、女性の筆ならではのしっとりしたお話に仕上げてくれました。
第11話は、反省点が多い話です。ラブハートアロー登場話の割りにはソフトボールのエピソードが重く、視聴後の清涼感に欠ける話となってしまいました。特に、マナをかばって負傷したジョーに対するアフターケアが描けなかったのは自分の力不足。残念です。
それと、この話からビーストモードが登場しますが、これは前述の通り、少年マンガ的なロジックを好むスタッフが多かったからです。敵がパワーアップしたから、プリキュア側もその試練を乗り越えるべく新しい力を手に入れるという構図は、最後まで意識して貫きました。以後もレジーナのジコチュー<ラブリーフォースアロー<紫レジーナ<キュアエース<グラリヴァ合体ジコチュー<マジカルラブリーパッド<ブラッドリング<ハートたちのパワーアップ<復活レジーナ槍付き<ロイヤルラブリーストレートフラッシュと続きます。
第12話は、シナリオ発注の段階では純くんは名前だけは決まっていましたが、実は男か女かは決めていませんでした。成田さんならどっちを選ぶかなーというこちらの悪戯なのです。女の子の純くんが生まれていたかも知れない可能性を考えると、ちょっと面白いでしょ? それにしても、成田さんが書くとこうまでプリキュアっぽくなるのかと目を見張った話でもあります。いや、もはや成田さんがプリキュアなのかも知れない。10話の時もそうでしたが、ありすがいい味出してます。
第13話は、米村さん初登板。ありすが通う七ツ橋学園を舞台に、生徒たちからロイヤルクイーンと徒名される謎の女性の正体を探っていたら、実はそれはありすのことでした、みたいな腰砕けの話を想定していたのですが、米村さんがありすの設定を気に入ってくれたようで、ありすをキレさせようとする五星麗奈というキャラが爆誕! 後に第41話で大活躍までするようになるわけですから、一年モノのシリーズは本当に面白いです。
第14話は、六花の多面性を掘り下げるお話。日本の教育制度だと、だいたい中学生のこの時期から、文系と理系という形で将来進む道が振り分けられていくわけですが、そんな中で六花が自分の夢を見つめ直す話として構成しました。百人一首の競技については、脚本の田中仁さんがいろいろと調べてお話に組み込んでくれました。六花と母親の関係性は、非常にうまく出ていると思います。
第15話は、真琴のお話。アイドル設定忘れてないぞっていう(笑)。プロット発注段階では、おおとり環はイケメンでした。真琴にも「俺と付き合えよ」って迫るようなナンパでジコチューな男、でもそれは役作りのためでしたっていうお話だったんだけど、刺激的過ぎるのでいまの厳しいベテラン女優になったんですね……よく覚えていないけど、きっとそう。鏡ジコチューは、7話でホーリーソードがはじき返されたんだからラブハートアローも効かないんだろうなって発想から、ジコチューが鏡なら映画の題材も白雪姫っていう三段逆スライド方式。

はあ、やっと再放送に追いついて来たかな……第16話以降は、ちょっと複雑なお話なのでまた後日更新したいと思います。それではまた。

1.ズッコケ三人組でもご一緒していますが、打ち合わせはすれ違いだったのです。

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