美容整形に700万円投資して気がついたこと
整形前の私は、顔を変えさえすれば「せいな」というブサイクで太っている自信のない、女かどうかも分からない醜い人間はいなくなり、別人になれると思っていました。
期待を胸にときは流れ、美容整形に投資した金額は700万円。
プチ整形や交通費などを含めると700万円もかかっていて、なのに「この仕上がりなのか」と深いため息をつきたくなります。
顔が変わらなかったわけではありません。
「完璧にキレイ」とは口が裂けても言えませんが、コンプレックスは和らぎ、自分を嫌う感情がへったおかげで、随分と生きやすくなったと過去をふり返ると思います。
それだけではなく、トラブルに遭遇したことも。自分の顔を嫌うあまり、衝動的に整形をして取り返しのつかない失敗をしてしまう可能性は、十分に考えられるでしょう。
整形とは"よい面"もあれば、"悪い面"もある「表裏一体の世界」なのです。
そんな世界にいながら「整形で容姿を変え、人生が変わった」と情報発信をしているものとして、今回は美容整形に700万円投資して気がついた、嘘偽りのない本音を書きます。
この記事で読みとれるポイントはこちら。
☑︎美容整形とは何か
☑︎美容整形で理想は叶うのか
☑︎美容整形をしても苦しい原因は何か
☑︎顔を変えた今後の生き方
タイピングをしながら誰に伝えたいかを考えると、
・整形をくり返しても自分を好きになれず、途方もない虚しさを感じている方
・自分の顔が醜く感じ、発狂しそうな方
・今すぐにでも美容整形がしたくてたまらない方
・「整形して別人になってやる!」と、大きな期待を持っている方
です。
長い記事になりますので、お時間のある時にゆっくり目を通していただければと思います。
少なくとも今あなたが感じている苦しさは、私も通ってきた道です。
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整形をしても別人にはなれない
▲未整形〜美容整形に700万円投資するまでの変化はこちら
期待や夢を壊したくはありませんが、整形は人生に大きく関わる行為ですので、心を鬼にして本音をお伝えします。
整形をしても、天地がひっくり返るような劇的な変化は起こりません。
キラキラと魔法がかかり「あらびっくり、超美人のできあがり!」は、夢のまた夢の話。上記の画像をご覧いただければわかるように、整形をすれば確かに顔は変わります。
でも、変化には限界がある。私が思うに、変化できるのは自分の生まれ持った素材をいかした範囲内までです。
「整形すれば、女優やモデルのようになれる」と、強く願っている方は要注意。
私が「変化には限界がある」という事実に気がついたのは、
・両顎手術(上顎を短くし、下顎を後退させて小顔にする整形)
・輪郭形成(頬骨とアゴ周りを小さくする整形)
整形の中でも、もっとも変化が大きいこの2つの手術をしてからでした。
▲両顎手術+輪郭形成のビフォーアフターはこちら
術前(左) 2018年1月/ 術後(右)2019年9月
輪郭形成と両アゴ手術は、骨をいじるだけに大きな期待がありました。
「骨をいじりさいすれば、さすがにキレイになれる」
「自分を醜いと思わなくなくなるはずだ」
と。
実際にやってみると、ホホの横幅が減り、大きなアゴが小さくなった。憧れだったEラインも手に入れ、小顔になりました。
はい、これだけなのです。
莫大な費用、壮絶な痛みとダウンタイム。これを経験したからやっと「私が抱いている期待は幻想でしかない」と、夢から覚めることができました。
整形をしている方なら共感していただけるかもしれませんが、顔にメスをいれて切ったり、縫ったり、骨を削ったりしても「私」を消すことはできません。
鼻を高くしても、少し鼻が高くなった私。目を二重にしても、目が少し大きくなった私。骨切りをして小顔にしても、顔が小さくなった私です。
「私」からは抜け出せない。
整形は「別人になれる凄いこと」ではないのです。
理想は叶わない
私の脳内を丸裸にしているようでお恥ずかしいのですが、赤裸々にお話します。
ブサイクで太っていてた頃の私は、顔のいたるところを変えれば「理想の私」になれると思っていました。
・タイトな服やハイヒールが似合う女性になれる
・街を歩くたびに男性がふり返るような女性になれる
・鏡をみて、不満のない顔になれる
・自信満々になれる
・人前に出るのも平気になる
・明るく、前向きな女性になれる
「整形さえすれば、生まれ変われる」とさえ思っていたのです。
容姿のコンプレックスが強い反動なのか、理想ばかりがひとり歩き。「こうなれるかもしれない」と、自分への期待値ばかり高まります。
では、実際に整形に700万円投資してみたらどうなったのでしょうか。
結論から言うと、理想通りにはなりませんでした。
よく考えてみてください。顔を変えたからといって、人格まで激変するわけがないのです。
コンプレックスが緩和して心の負担が軽くなったり、社会性が増すのはあり得る話ですが、整形には自分の本質的な部分(性格、能力)までを変える力はないと。
顔のほとんどを変えた現在、一体どのような状態なのか。
以下でご説明します。
♦︎顔を変えても不満はなくならない
顔が変わり、18kgの減量もしたので、身体のラインがでる大人っぽい服を着られるまでにはなりました。
ですが、洗練された美人ではない。女優やモデルのようにもなれない。そもそも、街を歩いても誰もふり返りやしない。
誰も他人のことなんて、さほど気にしていないからです。顔面に大金をいくら積もうが、関係ありません。自意識過剰もいいところ。
顔に関しては700万円かけても、鏡の向こうにいる私に対して不満をあげたらキリがありません。
その数は、両手では足りないでしょう。
♦︎整形しても自信満々にはなれない
自信に関しては、整形や減量をしてきた経験からくる自信。
物理的に顔が変わったことへの自信、もあります。
ただ「自信満々ですか?」と言われたら、それは違います。内面的な弱さは、整形をしても完全には取りのぞけませんでした。
カメラを向けられるのが、とても苦手です。きっと心の奥底では、自分に自信がないのでしょう。カメラをむけられると身体が反射的に硬直して、顔が強張ってしまいます。
あるいは、何か新しいことに挑戦するとき。不安や恐怖を乗り越えるのに苦労します。
♦︎苦手な物事や過去のトラウマ 顔を変えてもなくならない
昔の私は「整形をして新しい顔を手に入れれば、自信がつき、苦手なこともできるようになる」と、思っていました。
苦手だった、人前に出ることも。
しかし、いまだに変わっていません。
どのくらい苦手なのかというと、緊張から声や手が震え、動悸で息切れを起こすほど。1対1のコミュニケーションなら気にならないのに、大勢の前になると「どう思われているのか」で、頭がいっぱいに。
頭が真っ白になり、固まってしまう経験が過去に何度もありました。整形をして顔が変わったからといって、本質的な苦手なものを克服するのは難しいのでしょう。
これに関しては、私の性格的な傾向と、昔のトラウマを引きずっているのが関係しているのだと思います。
小学校の卒業式、クラスメイトの前で立つ機会がありました。当時、緊張から下唇を噛むクセがあり、その顔をみられて「くすくす...」とたくさんの同級生に笑われ。
笑いの対象は、私のクセや緊張に対してだったとしても、「私を笑う=顔を馬鹿にされている」と感じたようです。
そんな昔話を、書きながら思い出すのでした。
▲といいつつも、18kg痩せた経験を活かしてダイエットセミナーを開催しました。緊張してどうにかなりそうでした......。
整形をしても苦しい この気持ちには原因がある
整形をする前の私は、
引きこもり
不登校
うつ
過食
体重73kg
彼氏なし
そこから整形で顔を変え、外出できるようになり、食とも心地よく付きあえるようになり、精神的にも安定。結婚もできました。
整形で変わったのは顔だけではなく、心の問題も快方にむかったのです。
人生を変えるには「行動ありき」ですから、その行動力を手にいれるきっかけのためにも、整形が必要だったと思っています。
自分で掴みとった今の私。置かれている環境に不満はなく、幸せです。
ただ胸の奥にシコリとして残っていたのは、整形に700万円かけても、理想通りになれなかった感覚があること。まだ整形したい気持ちが残っていること。自分を「醜い」と感じる気持ちも。
このシコリをどうにかしようと、自問自答し、過去とむきあい、整形や女性の心に関する本も読みました。
その中で「整形しても苦しい気持ち」から卒業する上で、大切なことがあると気がつきました。
①原因に気がつく
②自分を受け入れる
この2つです。
整形をしても苦しい気持ちの原因は、
・強い自己否定・自己嫌悪
・ありのままの自分を認められない
にあります。
(もちろん「今の私をよくしたい」「綺麗になりたい」と、前向きな気持ちで整形をしている方もいらっしゃいます)
自己否定・自己嫌悪とは「自分を嫌う感情」です。
たとえば、
「世界で1番キライなのは私。醜い私は価値がない」
「誰になにを言われても、私は醜いに決まっている」
という風に考えている方は、とても自己否定・自己嫌悪が強いでしょう。この気持ちがあると、毎日辛いですよね。
四六時中「私」は付きまといます。「私」であり続けるかぎり、自分を嫌い続けなければなりません。
その辛さから、逃れたい。
自分を好きになるにはいろいろな方法がありますが、容姿に視線がむきやすい方は、解決策として「整形」を選ぶのは自然な行動でしょう。
切羽詰まった状況なら選択肢が狭まり「整形しか好きになれる方法がない」と考え、実行するはず。
しかし、たとえ整形をしても、高い理想がジャマをします。
手術をうけても納得いかない。それでも自分を好きになれる期待を胸に、理想に届くまで整形をする。
その理想が高ければ高いほどエンドレス状態におちいる、という悪循環が生まれます。
不完全な自分を受け入れるのが美容整形からの脱却
美容整形をくり返しても「自分を嫌う感情」はなくならず、悪循環にハマってしまうのはお気づきですよね。
でも、頭ではわかっているけど整形したくなる。
こんな時、一体どうしたらいいのでしょうか?
整形から卒業するには、以下の4つが必要だと私の経験からは言えます。
①自己否定・自己嫌悪が、苦しみの根源であると気がつく
②整形をしても「理想は叶わない」と理解する
③自分の顔を「醜い」と感じる気持ちは、自ら作り出していると気がつく
④自己否定・自己嫌悪を捨て、自分を受けいれる覚悟を決める
しかしここで、
「私は醜いんだから、自己否定・自己嫌悪しても当たり前!」
「受け入れるなんてできない!」
と、反発したくなる方もいるでしょう。
そう思うなら、本当に強い自己否定・自己嫌悪が強いのですね。これまでよく耐えてきました。
そんな方にはこれだけは知ってほしいのです。
どんな人でも、自分を受けいれることはできます。なぜかというと認知(とらえ方、考え方)は、自由に変えられる性質があるからです。
▼認知に関するツイート
とはいっても、自分を受けいれるのは難しい。
それなら、よく考えてみてください。
自分を嫌う感情の数々は、あなたに何かメリットを与えたでしょうか?
前向きな気持ちにさせてくれたでしょうか?
きっと、何もないはず。であれば、今すぐ捨てましょう。
残り少ない自己肯定感や自信をはぎとるだけではなく、自分を傷つけるだけ。さらに自己否定・嫌悪は思えば思うほど大きくなるのが特徴で、思考のクセになります。
また「自分を受けいれる」とは、完璧な自分になってからはじめて受け入れるわけではありません。現状を受けいれることこそが、本物の「自分を受け入れること」ことなのです。
醜いと感じる自分
不完全さを許せない自分
美しさを欲する自分
完璧なスタイルではない自分
整形をしたくなる自分......
「醜いと思ってしまうんだな」
「これも私だな」
と、思うだけでいいんです。どうでしょう、楽になりませんか?
はじめは違和感があるかもしれませんが、次第に自分の思考になっていきます。
大丈夫、それでいい。
目標は叶わなかった じゃあ、これからどうする?
「美しい女性になりたい」
この目標を支えに生きてきました。
日頃考えていたことは、整形して顔を変えること、痩せることだけ。
「細い=美しい」の価値観から、口に入れる物ひとつひとつを「太らないか」基準で考える。過食をした罪悪感や後悔から、泣き崩れる日も。
この地球上でもっとも嫌いなのは、私でした。
だから、整形さえすれば自分を好きになれて、もしかしたら好いてくれる異性があらわれて、虚しい人生から脱出できるかもしれない。そんな寂しい女が整形に700万円かけたのが、この記事のはじまり。
容姿に囚われた女が、顔面に700万円かけました。結果はどうでしょうか。私が美しい女性になれたかどうかは、人によって感じ方が変わると思います。
「700万円かけてこの顔?」
「変われたなら、いいんじゃないの?」
どう思われようと、別にいいんです。
今の私が自分を評価をするなら『整形をしても100点満点にはなれなかったけど、よくやったかな』です。十分にもがき切りました。
悪く表現すれば「敗退」。
「美しい女性になる」の目標に挑戦し、見事にやぶれたのです。ここまでやって目標に届かないなら、諦めるべき時がきています。
失敗や諦めは「悪」ではありません。
目標を達成できなかったなら、次の目標をつくり、再スタートすればいいだけ。その前に諦めなければ、次のステージに移ることさえもできません。
さらに柔軟に解釈するなら「整形の経験をお金で買うことができた」とも受けとれますし、「容姿に悩んでいる人の気持ちをより理解できた」とも捉えられます。
経験をこの記事を通して還元できているなら、それで十分。昔よりもマシな顔になれただけでも、それでいいんです。
ブサイクで太っていた自分を嫌悪した10代。顔を変えることに闘志を燃やした20代。容姿に悩むことにトータル10年以上の歳月をかけ、次第に価値観や思考も変わってきました。
「これ以上、頑張らなくてもいい。もういいよね」と、自分の肩を叩いてあげるつもりでいます。
いい意味で目標をすて、諦める。
次のステージにむかって生きていきます。前を向いて。
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