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売れない小説家にすらなれない

10月1日に小説現代の新人賞の一次選考の発表があり、僕の送った小説は落選しておりました。

小説とソフトウェアの2つを軸にするように、自分の人生をデザインしてきて、今年が2年目になります。ソフトウェアの方は大きなカンファレンスで登壇できたり、個人開発がそれなりにダウンロード数伸びたりして成果を感じているのですが、小説の方はさっぱり結果が出ないです。

結果が出ない、けど頑張る、という話をするのが今回のテーマですが、それでも読みたい方は続きをお読みください。

というか上手くいってないことを書くのはなんか難しいですね。。。

活動報告

2020年の正月に、3本小説を書こうと目標設定しました。「樹海の結婚」という作品をまず書いて、三月末の文藝賞に出しました。けどこれはなんとなく自分でも弱いなと感じていました。

「Ghost Story」「瞑想」「樹海の結婚」と三作書いて、自分の中ではこういうものが書きたかった、という気持ちで書きおろしたものの、今になって思うと、なんというか、自分の頭の中でしか生きられないウィルスみたいなもので、外に出たらすぐに死んでしまうような弱い存在に思えます。

その次に「ラストエリクサー」というものを書くときになって、今度は内向的なものにするのではなくて、外に向けて書くような文にしました。極力軽く、極力伝わることを重視して。外向きに書けたのは良かったのですが、当初の想定より長くなって、170枚分の非常に微妙な長さになってしまって、応募できる賞が限られてしまいました。なので書き終わったのは5月かそこらでしたが、新人賞に応募したのは9月でした。

「ラストエリクサー」はなんとも中途半端な感じでしたが、その後に長編を書こうと思っていました。2020年の大仕事といっても過言ではありませんでした。

「ハイネケンとチョコレート」は、人生ではじめてプロットをつくって、キャラクターや組織の設定をきちんと決めてから書きました。そのおかげで書きながら何日も詰まる、ということはありませんでした。途中でプロットを細かく変えたことはありましたが、概ね順調な執筆でした。

書き終わってみれば、15万字/380枚の長編となりました。ストーリーもハリウッド映画みたいな、躍動感のあるものにしています。自己評価はかなり高いです。なので、一次で落ちたことはかなりショックでした。

応募先の小説現代は、これまで応募してた純文学系の選考とは違って、一次の倍率はかなり緩めです。応募800件で、通過が100ぐらい。その中に残れなかったということが、自己評価と他己評価の違いを突きつけられた感じがしてウッとなりました。

2020年はもう一作ぐらい書こうと思っています。これ書いたら、4作品書けたことになります。

どう軌道修正するか

「アンナ・カレーニナ」の冒頭みたいに、「上手くいっている人は皆似通っているが、上手くいっていない人は皆それぞれ違っている」ものだと思っています。誰かが「お前のここがダメなんだよ」と言ってくれればいいんですが、それもなかなか難しくて。

自分では納得いくものが書けた感覚があったので、自分の中の価値観と世の中の求めるものがズレてる気はします。

落選になって、一番まずいのは「人に読ませていない」ことだなと思いました。

賞レースでの戦いというのは、結局何が良くて何が悪かったのかわからないまま終わります。そこに成長はない。

アプリ開発で、つくったアプリのDL数が伸びているのを見て思ったのですが、賞レースだと「落選と受賞」の二択になりがちです。しかし実際は受賞した後に待ってるのはどのぐらい売れるかという数字との勝負です。賞の選考も売れそうなやつを選ぶので、受賞するのはそれなりに売れる見込みがあるというところなんでしょうが、ただ本当の勝負は数字との戦いだと思います。

3月ぐらいに「Ghost Story」と「瞑想」という2作品を公開したんですが、その後ePub形式で読んでもらいたい気持ちがあって、手段を模索しているところで「Ghost Story」は公開をやめていました。

とにかく批判でもなんでもいいので、人に読んでもらって、客観的な評価をもらわないとどうしようもないなと思って、書いたものは全部公開しました。「ハイネケンとチョコレート」はなろうでも公開しました。

https://ncode.syosetu.com/n6401gn/

僕の小説あげる場としてはカクヨムメインのつもりですが、なろうが日本でユーザー数最大ということで、そちらの方が注目度高いのではないかという期待があります。

3月にWeb公開して起こったこと

一言で言うと、何も起こりませんでした。

Web公開というのを2020年入るまでずっとしていなくて、それは僕のプライドの高さとかWeb小説への偏見とかによるものだと思うんですが、勇気を出して公開してみると、案の定読まれないということに気づきました。

批判コメントが殺到するとか、どこかで晒されるとかそういうのもなく、ひたすら無風。

「面白くない小説」っていうのは、そういうもんなんだなあと感じました。

誹謗中傷を受けるんじゃないか? という不安は完全な杞憂でした。。。むしろどうしたら読んでもらえるかをひたすら考えないとダメなんですね。

ただコメントがほとんどつかなかったとしても、公開する作業の中で、自分の小説を客観的に見れるようにはなってきました。特に「Ghost Story」「瞑想」「樹海の結婚」あたりの純文学志向は、人に読んでもらうには厳しいなと思うようになりました。

時々自分でパラパラ見ると、いい文章書いてるなーと自分で思ったりはするんですが、それは自分の感性に合ってる文章を自分で書いているだけであって、それが多くの人を動かせるかとは到底思えないんですよね。

それで「ラストエリクサー」(未公開)「ハイネケンとチョコレート」はエンタメに寄せたんですが、それはそれでまた違う課題があるということなんだろうなと思います。エンタメとしてはストーリーやキャラクターが弱いというのもあります。文章力にはちょっと自信があるんですが、それもイマドキの小説としてはかえって読みづらさになっていて、評価されるポイントではないのかなと思います。

諦める?

本業のソフトウェアエンジニアの思考法だと、結果が出ないことにリソースを割くべきじゃないです。誰からも求められていないことをなんでやってるんだろう、という気持ちにもなります。

しかし客観的な結果は出ていないけれど、自分自身では自分が書くものが確実によくなっている感覚があります。一作一作確実によくなっています。だからこそ新人賞一次落ちなのに、Web公開もできる。

今の小説を取り巻く環境は、おそらく最悪で、プロの作家でも食えてない状況なのもわかります。売れる見込みのない作家をデビューさせる余裕もないでしょう。

賞に落選するたびに、業界や出版社に対して嫌気がさします。思うのは、インディーズバンドというのはメジャーバンドが売れているからこそ成立したジャンルだったんだなと思います。メジャーが終わってしまえば、インディーズは存在すらしなくなる。Nirvanaは80年代のポップカルチャーへの反逆から登場したわけですが、2020年現代はちょっと状況は違うように思います。

ただ自分が変えられない環境に向かって延々文句を言っていてもしょうがないので、僕は自分ができる限り、自分をインディーズバンドみたいにしたいと思っています。

ワナビにも色んなタイプがいると思いますが、僕はなんか多分「最後まで書き続けてしまう」側の人間だろうなと思っています。

ワナビが終わるときってどんな感じかなーとググったら、下記のエモいブログが出たので引用します。

ワナビだった自分も手痛い現実に殴り倒されたのは数年前。最後に書いていたのはほぼ改行なしで1000枚を超えてなお続く作品で、もちろん完結しなかった。正式に息の根を止められたのは経済的な行き詰まりで、「俺はいつか小説家になる」というお題目を担保に周囲の信用を借り倒しつつ、前のめりの生活をしていたのだから当然だった。
ネット上で「漫画家になりたい親族がいるが、いつまでたってもデビューできず、さりとてまともに働いてくれない。どうしたらよいか?」みたいな釣りっぽい相談を見かけるけれど、「現実の厳しさ」みたいなことを誰が説教したところであきらめてもらうのは(その妥当性はともかくとして)難しいとは思う。「本当にやめさせたい」と思うのなら(くり返すが、それが妥当であるかどうかは別問題として)、金銭的な援助の遮断しかないようには感じる。

幸か不幸か、僕は小説とは別に仕事を持っていて、自活できているので、その意味では書き続けることができます。それがホントにいいことなのか……いやいいことでしょう。たぶん。仮に一生デビューできなく、60、70になってから絶望しても、それはそれで自分の人生という感じがします。残ったのは一次選考すら通らなかった小説たち。今30歳で4作品なので、1年で4作品として、60歳で120作品が残る。それで誰にも迷惑をかけなければ問題ない。

2019年から本気で書きはじめて、もうそろそろ2年が経とうとしています。もしこの間にまともなものが一個も書けなかったとか、書いているけど自分のレベルの低さを実感することしかなかったとかなら、諦めるべきなんだと思います。けどとりあえず5作品書けて、その中で自分の成長も感じられています。

もうちょっと続けたい。

10,000PVを目標

もうちょっと結果が出ないと「小説書いてます」ということすら憚られるので、あまり普段アピールしていなくて、ブログをちゃんと読んでた人ぐらいしかその事実を知らないと思うんですが、作品自体はコンスタントに残せています。あとは本当に結果が欲しい。

この10〜12月で、なろうとカクヨムで全作品トータル10,000PVを目標にします。つっても、公開できる小説はもう公開し尽くしたので、弾はないんですが……

公開して初動で50PVぐらい。

もうちょっと今の出版業界の要求とか今の小説のトレンドとかを追った方がいいような気持ちもしています。あまりにも知らなすぎる。

とりとめのない文になりましたが、以上です。

(了)

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