デザインとUXから考えると法務の在り方 社会のデザインはどのように変化するか。

1.法律とは一言でいうと多数派の砦

法は、少なくても以下の機能があります。

①社会をスムーズに回していく機能

②少数派をそれほど苦しめない機能

③余白を作り出す機能

④政府の力を強めない機能

⑤障壁を作り既得権益を守る機能

人によって法律のイメージが異なるのは、機能を切り取っているからですね。⑤を批判する。②に期待しすぎて絶望する。④を誤解して、広げる方向に向かう。①と③について期待する人が意外と少なかったりする。その理由は、法律が当たり前すぎるということでしょう。

法律は、社会のデザインであり、議員が社会のデザインをするのが本義ですが、大体は官僚がそのデザインをしています。すべての法律に精通することは不可能であり、社会をデザインするには相当の組織力が必要です。国会が行政の示唆をベースに決定し、具体的な措置を行政が決めて末端が実行する形ですね。

法律は、多数派によって変更できるものですが、国家を通じるので、変化が遅いのはやむをえません。国会、行政に動きが遅いと批判しても、そういう批判をするご自身が遅すぎるということでしょう。

どんなことであれば社会常識として多数派をとれるのかを推測して動きを出すしかありません。

2.デザイナーとは

丁度デザイナーがやっている事項を見ていると、下流領域がEditorial Designerと言われるもので、裁判所で準備書面を書いているイメージです。

UXデザイナーは、利用規約の一部をデザインしているという意味で、コミュニティをデザインしているイメージです。

戦略的な法務はService Designerのように、上流で、SNS、マスメディア、インフルエンサー、官僚・政治家との交流などで、多数派の目に対して映像を作り上げる仕事であり、社会をデザインしているイメージです。

Editorialデザイナーは、マネタイズがしやすいのに対して、戦略的な法務はあまりにアバウトなものでかつ総合的な知力が必要とされるので、評価されにくいです。

戦略法務に必要なのは、「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティブ」スキルと思われます。

「経営者とかはUXをかなり高解像度で理解」するが如く、未来の法律について高解像で理解してエバンジェリストとして提唱する必要性があります。

3.デザイナーを参考にした成長戦略


ゴールについていくら抽象度が高いイメージを持っていても無意味です。必要なのは、高解像度の高いゴールをもち、有効度を上げる必要性があります。

人、資金、期限の三点を枠組みとして用意し、粒度をあげることで皆が理解できる状況まで置き換えていく必要があります。

その粒度をあげるには、手を何度も動かすしかなく、Editorialデザイナーとして訴訟をするだけではなく、UXデザイナーとして訓練をしていかなければなりません。何度もフィードバックをしてもらい、具体的なイメージを改善していくべきです。

そのために、自主規制というものがあります。我々はどのように自主規制を作っていくべきか少しデザイナーの生き方を見ながら検討します。

まずは、自分のポジションを理解することから始めるべきです。何ができて、何ができないのか。特に何ができないか←やらないかを明らかにする作業が必要です。どこにアウトソーシングするかという見地でも構いません。


マネタイズについては悩みの種です。弁護士は皆タイムチャージが悪いことを知っているが、その抜け出し方をしりません。

顧客レイヤーをみつつ、ペインがどの程度なのかを考えて見積もりを考えるべきです。 ペインがあれば、マネタイズは容易になります。

顧客は、自分にペインがある限り、「これらの大まかな相場感のレンジがあることを踏まえた上で、契約条件や依頼したいこと、スケジュール、大まかな予算感などを情報として揃えた後に見積もりや相談の依頼を出す」形になります。


期待値コントロールは大事です。デザインを変えていくことで紛争を減らすことについてあまりに定量的な計量がおろそかにされています。小手先で変えていくのではなく、マーケティング、PR、営業という上流のあたりからデザインを変えていけば、その分ペインが減り、CS(カスタマーサクセス)のエリアでは顧客満足度をあげることに集中することができます。現状では、カスタマーサポートとして、顧客の要望を如何に削減するかに視野が行っている状況と思われます。

デザインについて、どのように人を訴求し、どのように行動を起こさせるかを県としていく必要があります。依頼者に対する期待値デザインも必要です。社内の説得工作についても具体的なイメージをもって援助をしなければ進まない場合もあります。

デザイナーは、以上のように工夫をして、PRを作り上げていきます。どうしたら、紛争まで行かずに、コミュニティを作り上げるかは、デザインとルール次第であり、余白次第です。

様々な修羅場を乗り越えることで、コミュニケーションが法的な問題にとどまらず、様々なUI、政治的な問題など飛び火しても落ち着いて解決できるレベルまで行くでしょう。予知能力をどんどん高めることができ、高解像度のゴールを設定できるようになるでしょう。

4.前述の法の機能から検討

以下の通り再掲します。

①社会をスムーズに回していく機能

②少数派をそれほど苦しめない機能

③余白を作り出す機能

④政府の力を強めない機能

⑤障壁を作り既得権益を守る機能

⑤を変えていくには、②とセットに考える必要があります。②を守るためなら、⑤は変化をしていくのです。既得権益は、もともと社会を守るために成立するものなので、その土台が崩されるからです。

変化は余白を作ります。しかし、忖度は余白を埋めます。我々は忖度をし過ぎで息苦しくなっているのが現状です。①を回すには、③及び④の活用が大事であり、政府がやるよりも民間の方が効力があるとわからせる必要があります。

①を考慮すると、修羅場の抜け方を理解し、ガイドラインその他を作成し、ソフトランディングを図る必要があります。期待値コントロールをすることで、大きな紛争を減らすことが、社会問題を減らすことにつながります。

こうした作業をするには、自分のポジショニングとやるべきではないことをはっきりさせる必要があります。

形式的に法律を守ろうとしている人間には、このような作業は不可能です。履行するためのキャッシュポイント(税金)なども検討する必要があります。どのようなレイヤーに対話をするのかも推測して手を動かしつつやり続ける必要があります。

如何でしょうか?


スキ、その他の行為は、元気玉として有効利用させていただきます。皆様のお力を少しでも世の中の改善に使わせていただきます。