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消費者保護、プライバシー保護、競争法の三位一体という嘘 民主主義の死を想定して 儲ける法務その26 DXその61

カーン氏の最近記事

「独占企業が消費者に与える害を測る指標は、価格設定だけではない」という説を唱えている。独占企業が消費者に与える害を測る指標は、価格設定だけではなく、例えばプライバシーの侵害など、他にもある。企業が非常に強力になることで、金銭的な価格では捉えられない、より広範な潜在的な害があるという点を強調される。広告費で運営されているビジネスは、しばしば安価であったり、無料であったりするが、その分明らかで大規模なプライバシーの懸念も生み出す。 

こうした懸念を踏まえて、以下の三位一体理論が検討会で記載されている。

確かに、競争法、プライバシー、消費者保護の3つが大事なのは否定しないが、安易すぎないだろうか、単なる玉虫色の解決に過ぎない。

カレーならその3つを三等分することはできるが、今回大事なのはすべての利益の一極化、生殺与奪権をゆだねる状況になりかねないことだ。

バランスをとってという議論は、Amazon、その他の巨大企業においてはもはや通用しない。コントロールができない状況になる前に、抑えるか、それとも民衆が抑えられるかという状況になる。

appleとgoogleがスマートフォンのOSを支配している以上、それを持つ人はそのデータのみを知覚し、判断をしている状況であることを認識すべきであり、政治的には人間の認知を大企業に委ねるか否かを決める最終局面と言っても良い。

消費者や個人は、長期的な視野で考えることはできず、情報を安易に売る可能性が高い。さらにネットワーク効果は、個人を排除する装置もある。自分のやりたいことをやる自己実現のために、個人情報を渡すことは容易いことだ。

一般的には、無料は注意引かれることではあるが、その競争者を淘汰することは容易である。ネットワーク効果が増えれば増えるほど、その利益は増えて、かつ、参入障壁も高くなる。株価が上がる、ニーズが高まる、すべてのアービトラージ(利ザヤを稼ぐ)ビジネスは可能であり、常に利益相反が可能である。

情報銀行は、そうした利益相反を無くす仕組み、かつ、GAFAに対抗するために生まれたようだが、烏合の衆が固まったところ、ネットワーク効果の効力は高くならないだろう。つまり、GAFAとこの銀行とは比較にならない差があり、牽制にもならない。あくまでも、GAFAによる独占を切り抜けた後の、絵にかいた餅に過ぎない。

実際には、民主主義が先に来て、企業は一定程度コントローラブルでなければならない前提が必要だ。とすれば、民主主義のベースに立つ、独占禁止法が先に来るであろう。対企業においては、個人のプライバシーも消費者保護も同じことであり、なんら対立するものではない。
多数決は、基本空気であり、左右されやすい。

プライバシー云々よりも、表現の自由その他がGAFAに抑えられて、表現の自由その他を根源とする憲法のフレームワークが、企業にハックされるのが現在の恐ろしいところだ。

独禁法に抵触するかの粗い試案

ネットワーク効果に着目したVCと起業家が作り出したハックは、現在国家自体を脅かす存在になりうる。それは、良いか悪いかはわからないが、宗教というネットワーク効果が国家をコントロールしたとき、共産主義というネットワーク効果が国家をコントロールしたとき、ナチズムというネットワーク効果が国家をコントロールしたとき、それ以外の人員はどのような気持ちをしたであろうか想像すると良い。独禁法により、民主主義の弱体化を防ぎ、その制御できる範囲で、消費者法、プライバシー法について、アレンジメントを考えていくべきでその逆はない。

ガイドラインは、「ネットワーク効果とは,ある技術又は仕様を利用する者が増えることにより,その技術又は仕様の利用価値が高まり,更に多くの利用者を獲得することができる効果をいう。」とするが、このガイドラインの定義限定はもはや時代遅れになっている。ネットワーク効果は、有限な人間の時間からすると、ある技術、仕様、ブランド、コンセプト、信念、マーケットプレース又はデータを利用する者が増えることにより,その技術又は仕様の利用価値が高まり,更に多くの利用者を獲得し、その反面他の競争者の参入障壁を上げていくすることができる効果をいうべきで、現代のITが不可欠な時代(OMO online merge offline)においてはその割合を重視して考えるべきである。現代においては、小売店を作る際、ネットで店を作り、それがうまく行くようならリアルに小売店を作る時代なのだ。

行為開始後において行為者が供給する商品のシェアがおおむね2分の1を超える事案であって,市場規模,行為者による事業活動の範囲,商品の特性等を総合的に考慮すると,国民生活に与える影響が大きいと考えられるものについて,優先的に審査を行う。ただし,行為の態様,市場の状況,競争者の地位等によっては,これらの基準に合致しない事案であっても,排除型私的独占として事件の審査を行う場合がある。

2019年における個人のモバイル端末の保有状況を見ると、「スマートフォン」の保有者の割合が67.6%と個人の利用が非常に高くになっている(サービスの市場規模)。

2016年には、パソコンが59%、スマートフォンが58%(インターネット利用者に限ったスマートフォン利用割合を算出すると71%)となっている。

この点、この調査が判断しにくいところは、モバイルの使用時間とするが(これは139分程度である)、所持時間が大事である。なぜなら、これらは所持をしていつでも使える状況こそが、電話及びインターネットサービスの重要な点だからである(商品の特性)。

googleのアンドロイドは、世界的に72%と非常に高く、日本ではiOSが66%以上と非常に高くになっている。

iOSは言うまでもなく50%を超えており、iOSによりその端末のあらゆる他のサービスはコントロールが可能な状況にある。

これに対して、モバイルブラウザではchromeが63%以上使われており、シェアは間違いなく50%を超えている。

以上を踏まえると、googleやappleは、国民生活に与える影響が大きいと考えられるものとして,優先的に審査を行うカテゴリに入る。

排除行為

排除行為とは,他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり,新規参入者の事業開始を困難にさせたりする行為であって,一定の取引分野における競争を実質的に制限することにつながる様々な行為をいう。事業者が自らの効率性の向上等の企業努力により低価格で良質な商品を提供したことによって,競争者の非効率的な事業活動の継続が困難になったとしても,これは独占禁止法が目的とする公正かつ自由な競争の結果であり,このような行為が排除行為に該当することはない。

ネットワーク効果においては、一旦ユーザーがロックインをされると、もはや抜け出せない状況になる。つまり、その他の競合他社はもはや入り込むのは難しくなる。純粋想起が働くと、ユーザーは限られた時間では選択をすることなく、自動的に一定の商品を使用する。例えば、一旦zoomを使用し、zoomするという動詞ができると、google meet、teamsなどのメガジャイアントのビデオコミュニケーションツール以外は見向きもされない経路依存性が高いものになる。

指数関数的に強者になり、自らの意図とは関係なく、産業障壁が出来上がるのが、ネットワーク効果である。

現実には、消費者は、検索においてgoogle以外の純粋想起をするのは困難であり、mapやメールアドレス、youtubeなどを含めて、生活に不可欠なインフラとして見ている。android携帯などを含めると、効率性の向上などの企業努力を超えており、競争者の非効率的な事業活動の継続が困難とまで言い切れるものではない。

消費者は自らのプライバシーを対価として、企業等は消費者にリーチするために必要不可欠な関税のようなものとして広告などを使用している。また、同様に、アプリについて30%程度の高いライセンス料を支払っている。

さらに、厳格な取り決めをし、一方的にユーザー、開発者などを排除している。

データを制する企業に対して、対抗する手法は、極めて限定されており、現在の運営はgoogleの良心に支えられていると言っても過言ではない。

そして、民衆の大半であるユーザーには無料として、それ以外の広告主に対しては値段を価格を任意に決めることができる状況にし、ライバルについては容易に察知ができるようにしている。

存在自体が、そもそも、排除行為に該当する程度の推定がされると考えてもやむを得ない。

コスト割れ供給(例示であり、新たな類型を作る必要があると認識する)。

ネットワーク効果を使うと、あらゆる情報は無料に近くなり、広告は個人と接点を持つがゆえにより価値を持つ。過去の新聞その他のメディアを凌ぐマッチングを行うことで、メディアの力を落としていった。

現在、広告業単体であれば人件費を持つ必要があるところ、ページランクその他のレーティングを使えば、価値づけをすることも可能であり、過去のメディアの域を超える収益を得ることができるようになった。

モバイルの中で圧倒的に消費者にリーチができるのは、googleであり、googleは様々なメディアコンテンツ自体を自らの人件費を使わずに媒介者として見せることで、広告収入を得る仕組みを確立した。

かかるネットワーク効果を新規事業者が発揮するのは夢物語に近い。

一般に,商品を供給しなければ発生しない費用さえ回収できないような対価を設定すれば,その商品の供給が増大するにつれ損失が拡大することとなるため,このような行為は,特段の事情がない限り,経済合理性のないものである。したがって,ある商品について,このような対価を設定することによって競争者の顧客を獲得することは,企業努力又は正常な競争過程を反映せず,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせ,競争に悪影響を及ぼす場合がある。このように,ある商品について,その商品を供給しなければ発生しない費用を下回る対価を設定する行為は,排除行為に該当し得る

「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価を設定する行為により,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせる場合には,当該行為は排除行為となる。自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせるか否かを判断するに当たっては,次のような事項が総合的に考慮される。

ア 商品に係る市場全体の状況
 商品の特性,規模の経済(供給量が増大するにつれ商品一単位当たりの費用が低減することをいう。以下同じ。),商品差別化の程度,流通経路,市場の動向,参入の困難性等が,当該行為が排除行為となるか否かを判断するに当たって考慮される。
 例えば,商品差別化が進んでいる場合は,そうでない場合と比較して,行為者の商品と競争者の商品のいずれを購入するかの選択に際して需要者が価格に依拠する程度が小さい。したがって,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせると認められにくくなる。

googleなどの検索機能は、初期ベースではマルチホーミングされることもあるが、一旦純粋想起のレベルまで到達し、かつ、ネットワーク効果によりデータが蓄積されるとほぼ覆すのは難しい。

現在消費者はスマートフォンを継続して持っており、アクセスはインターネットによることが多い。これらを覆して、あえて検索その他の類似機能を使うことは容易に想定し難い。ユーザーに対しては無償で原則対応しており、スイッチングすることは10倍程度の機能改善が他の企業で認められるものでない限りは、考えられない。

イ 行為者及び競争者の市場における地位
 行為者及び競争者の商品のシェア,その順位,ブランド力,供給余力,事業規模(事業所数,営業地域,多角化の状況等),全事業に占める商品の割合等が,当該行為が排除行為となるか否かを判断するに当たって考慮される。
 例えば,事業規模の大きな事業者が,他の商品の販売による利益その他の資金を投入して損失を補てんしている場合は,そうでない場合と比較して,「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価で長期間にわたって供給することが可能であり,効率的な事業者であったとしても通常の企業努力によってこれに対抗することが困難である。したがって,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせると認められやすくなる。

他の類似企業と比べて、トップレベルであり、特別な事情がない限りは、競争者に競争の余地を与えることは少ない。現時点において、ユーザーは相当程度の個人情報を提供しており、あえて他の企業にそれ以上のデータを供給することは考えにくい。

googleの場合は、圧倒的な支配力により、企業側が消費者にリーチするためのコストをgoogleに支払うことが必要である。かかる状況では恣意的に費用を上げることも可能である。

検索その他のサービスは、本来であれば維持コストなどを想定すると、「事業規模の大きな事業者が,他の商品の販売による利益その他の資金を投入して損失を補てんしている場合は,そうでない場合と比較して,「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価で長期間にわたって供給することが可能であり,効率的な事業者であったとしても通常の企業努力によってこれに対抗することが困難である」とも言える。

ウ 行為の期間及び商品の取引額・数量
 「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価が設定されている期間,当該対価で供給される商品の取引額・数量等が,当該行為が排除行為となるか否かを判断するに当たって考慮される。
 例えば,「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価で長期間にわたって供給している場合は,そうでない場合と比較して,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせると認められやすくなる。

長期にわたって、高い支配力を利用し、無料でユーザーを使用させることで、自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせると認められやすくなると認められる。

エ 行為の態様
 行為者の意図・目的,広告宣伝の状況(廉売に係る行為者の評判を含む。)等が,当該行為が排除行為となるか否かを判断するに当たって考慮される。
 例えば,行為者が他の地域又は他の商品においても「商品を供給しなければ発生しない費用」を下回る対価で長期間にわたって供給しているような場合には,行為者による更なる当該対価での供給を警戒して他の事業者が新規参入を躊躇する可能性が高くなる。このように,行為者による当該対価での供給が評判となっていると認められる場合は,そうでない場合と比較して,自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせると認められやすくなる。

これらは、アマゾンのプライムサービスの方が該当する可能性がある。日本では四千円程度だが、アメリカでは100ドル程度である。

以上は結論ありきの部分もあり、粗い議論であることは否めない。しかし、googleにより、出版社その他のメディアの力は落ち、大きな影響力を有するようになったことは否定できないだろう。

なお、zozoが、運送料を無料にしないのは、googleほど力関係が強くない、バイヤーサイドが強いのがあるだろう。楽天は、バイヤーサイドが弱体化していることもあり、以下の取り扱いが可能になってきたのだろう。

つまりは、googleなどが独禁法などで処断される場合、我々ユーザーはこれから無料で使えなくなる可能性が高いことを付記する。

力を持つが故に、国有化その他の規制は考えられる。

中国の厳格な手続き(サイバーセキュリティ、ナショナルセキュリティの観点)

中国はDiDiに対して違法な手続きをしたと認識している。

英語版では規制の強化としか記載されていないが、以下の情報が漏洩等する可能性があると認識したのだろう。

公共通信、情報サービス、エネルギー、交通、水利、金融、公共サービス、電子政府などの重要な産業や分野が含まれ、これらのデータは国家安全保障に関係しており、これらのデータや情報が漏洩すると、損害を受け、国家安全保障、社会の安定のために、ある程度の脅威

こうしたデータがDiDiに蓄積されるのは当然のことである。野放図に、こうした情報をその他の国に流されることは、中国とて好まないであろう。

これがDiDiのアプリがクローズされている理由と認識している。

6月30日、DiDiがアメリカのニューヨーク証券取引所に上場されたが、その後、「データが上場用にパッケージされていた」ことが明らかになった。
7月2日、国家インターネット情報局は、中国が初めて企業のサイバーセキュリティ審査を開始したDDTのサイバーセキュリティ審査を開始し、新規ユーザーが登録できない状態になった。
7月4日、国家インターネット情報局は、個人情報の収集が違法かつ不規則であることを理由に、「DiDi」を是正のためにオフラインにするという発表を行った。

同様に、万が一世界大戦等が起きた場合、googleのような巨大企業がそのまま存続するとは考えられない。沢山の情報が蓄積されているからだ。国有化の道に進むかもしれない。

力を持ちすぎた企業と国家の関係は、なかなか微妙である。

追記




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