
経理や財務の担当者と、経営者との違いは何か。
経営者は、数字から逃げられない
起業家であったり、経営者という役職に就いている人にとって、耳の痛い話をしようと思います。
でもこれは、起業家・経営者のこれからのためであり、そこに働く仲間のためであり、また社会から期待されている人として、知っておくべき事実でもあります。
それは、
数字に弱いと表明している経営者、数字から逃げている起業家が、事業を成長させることはできない。
ということです。
数々の人を見ていて、これだけは、断言できます。
苦手でも頑張っている人、数字に向かおうとしている人、得意な人を脇に置きながら丸投げせず自分も関わろうとしている人は、いつか事業で想いを叶えることはできるかもしれません。
数字のことは経理に任せているとか、税理士に聞いてくれという言葉を、成功している経営者から聞いたことはありません。
一方で、経営者の役割を、最終黒字にすることだけが目標みたいな人は、むしろ困った経営者です。
その数字合わせは、経理担当か、財務担当か、はたまた部門責任者の役割です。
どんぶり勘定という言葉がありますが、小さな個人会社や、NPOなども含めて、数字合わせだけをしても、事業は伸びないのです。
経営者は、絶対に数字から逃げられません。
意味のある赤字、意味のない黒字
事業とは、投資をして回収をするもの。
目の前の赤字とか黒字とかなんて、どうでも良いのです。
経営とは、資源を投じて、事業から収益を生み出すための仕組みを整えることです。
3年目で黒字と決めれば、2年は赤字でも良いのです。
むしろ1年目で黒字になったら、何かが間違っているかもしれません。
4年目が赤字になっては意味がありません。
意味のある赤字、意味のない黒字があります。
黒字だって倒産するし、赤字にならないことで投資家から怒られることもあります。
目先のことに惑わされず、先の事業に対してどうお金を使っていくかがとても重要になります。
現状維持は、マイナス評価
たとえば、法人をひとりの人間だと例えてみましょう。
「最終的に生きてさえいればいい」みたいなものが、最終黒字だけを目指す生き方です。
去年と同じように生きている。それだけです。
自分という人間を生きるだけならいいですが、法人はそれじゃだめですよね。
昨年とほぼ同じ状態、だけれども年齢を重ねると、いろいろと身体のトラブルも起こります。
身体のあちこちがどんな風になっているか把握しておらず、ちょっとしたトラブルで寝込んでしまってはダメですよね。法人は特に。
予防もできなければ、リスクも回避できない。
社会も大きく変わっているし、競合だってたくさん出てきます。
ですから、ただただトータルでプラスにする、それだけを目指しているだけのやり方は、結果的に大きなマイナスなのです。
現状維持は、大きなマイナス。
多少の成長も、マイナスです。
ではどうしたらいいか?
事業はしくみ
すべては、しくみの組み合わせです。
人の身体をパーツに分けて、それぞれの役割がちゃんと機能しているかをチェックして、必要なリソースを投入し、他の部分でカバーし、それぞれの機能が相互にうまく役割を発揮しあうための「方針と仕組み」を考える脳が経営です。
各部署には、筋肉があり、骨があり、神経があります。
血液を循環させながら、中枢となる脳が、神経や血液からそれらの情報を把握しているわけです。
どんぶり勘定の場合、指令はは送りっぱなし、血液も送りっぱなし、返ってきたものだけをみて判断する、という感じでしょうか。
仕組みのことなど、とくに考えていない。
ただバラバラに動いているか、機能しているものだけを見ているだけか。
またあるいは、全ての現場に顔を出し、疲れ切っている場合も多くあります。
きっと不安だったり、やらないと気が済まない人は、数字よりも不安を取り除きたかったり、現場のやりがいが欲しいパターンです。
仕組みでないものは、事業が全く成長しない。
やはり数字からどんどん遠ざかり、もはや趣味みたいな事業になっていきます。
数字には表情がある
こんなふうに書くと、とってもドライな感じを受けるかもしれません。
共感起業と言ってる僕から、なんだか数字が重要だなんて、聞きたくなかったかもしれません。
でも、社会性と事業性を両立するには、どうしても数字が必要なのです。
その数字にも、表情や感情があります。
嘘だと思うかもしれませんが、事業の表情さえも、数字でわかるのです。
お金やユーザー数、そうした数字の変化もまた、表情を映し出すのです。
お金にも色がありますし、感情すら伺えます。
起業家・経営者のみなさんは、苦手意識を持たず、もっと楽しく数字と付き合っていってはどうでしょうか。
あなたが苦手にしていると、相手も離れていきます。
あなたが楽しそうにしていると、相手も楽しそうな表情を見せます。
経理や財務は、なかなかこの考えを取り入れることはできないでしょう。
これは、経営者だからできる、数字との付き合い方だと思います。