紙一重

私は食べることが大好きだ。

食は人生を豊かなものにする。
食べることで様々な感情を生み出してくれるからだ。
お腹が満たされれば幸せになり、味を感じることで嬉しさを感じる。


そんな私が食中毒になった。


夜から体調が悪く何度も起きてはうなされ寝ることがままならなかった。早朝、吐き気を催しトイレに向かうとものの数秒で昨晩食べたものが出た。
あまりにも簡単に吐くことが出来少し達成感を感じながらベッドへと戻る。しかし爽快感はなく、いつまでも続く不快感と腹痛に苛立ちを覚える。
私はそこで気づく。これからが地獄であると。
そこからはあまり覚えていない。夜が更けるまで食事をとることが億劫だと感じていた。夜何とかお粥を口にした。日中はOS-1を飲んでいたためしっかりと味のある食べ物を食べることが出来たのだ。
しかし体は食べ物を受け付けない。気持ちが悪くなる。胃は空っぽで今にも背中にまで貫通するのではないかと思うほどにお腹は空いている、だが味のある食べ物を食べたくは無いのだ。

絶望を感じた。
 
あまりにもひどい仕打ちである。
私は悲しみに浸りながら就寝した。


次の日病院に行き、その後マクドナルドへ向かう。幸い時間が早く朝マックという朝の勝者にしか食べることの出来ない貴重な食にありつく。
だが匂いが受け付けない。最高の食事を前にして嫌悪感を感じるのだ。

私はここで感じた。食にここまで私は振り回されるのかと。
幸せだと感じていた時間はつかの間、気づけば悪夢へと変わっていた。

世は紙一重なのだ。
どのような場面でも簡単に苦しみを生み出すことが出来る。


今は早く、なるべく早く幸せを感じる食事ができる体に戻りたい。日常へのありがたみをかみ締めたいと感じている。

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