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【相続税】財産の所在について②

こんにちは。SSKC会計グループの岩田です。

前回の続き、登録地主義について書いていきます。

登録地主義

登録地主義については、

登録地主義の類型は、国家管轄権に基づいて国家行為によって認められる財産・権利、すなわち属地主義の下で効力等が創設され権利として認められる財産については、その財産・権利を登録している地(機関の所在地)又はその財産・権利を保護している地を財産の所在とするものである。

「相続税法における財産の所在について」 p.363

と説明されています。
国が認めたことにより生じる権利は、その登録地(機関の所在地)又は保護地を財産の所在とする、ということですね。

ここに類型されるのは、
(1)特許権、実用新案権、意匠権、商標権等
(2)著作権、出版権、著作隣接権
(3)登録のある船舶、航空機
です。

(1)について

特許権、実用新案権、意匠権、商標権等は、登録した機関の所在地が判定場所となります。

登録することによって権利が認められ国に保護されます。ゆえに、その登録地(機関の所在地)が財産の所在地とするのは妥当だと思います。違和感も特にありません。

(2)について

著作権、出版権、著作隣接権の所在地は「これらの権利の目的物を発行する営業所または事業所の所在による」とされています。登録地ではなく発行地を判定場所としているのは何故でしょうか。

著作権は著作者が著作物を創作したときに自動的に発生する無法式主義を採用しているため、登録地というのは存在しません。著作権法では発行主義が規定されており、日本で最初に発行されていれば保護の対象となります。また、外国の著作物であっても国際的条約により保護対象となるのであれば、保護する義務が発生します。

著作権の発行主義を前提に所在地について考えてみますと、著作物が発行された場所を所在地とするのは妥当なのだろうと思います。

ちなみに著作権については「はじめての著作権講座」を参考にしました。

(3)について

登録のある船舶、航空機は(1)と同様に登録した機関の所在地が判定場所となります。理由も(1)と同じと考えれば分かり易いですね。


以上、登録地主義のお話でした。物理的所在地主義よりもイメージしやすい内容でした。

次回は債権者主義、債務者主義についてです!

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