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690森元総理の蜃気楼発言 “リップサービス“では済まされない

 森喜朗元首相が11月18日、東京都内の会合で「このままいけば、核を使うかもしれない。プーチン(ロシア大統領)もメンツがある」との見解を示したとのことです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022111801157&g=pol
 
 悪党のメンツを立てるより、善人の命を優先すべきではありませんか。
舞台は鈴木宗男参院議員のパーティーだったとのことですが、リップサービスとしても度が過ぎます。
 森氏はほかにも驚くような発言をしています。
「自分はロシアのプーチン大統領にNATO(北大西洋条約機構)への加盟を促したことがある」
 
 ロシアがNATOに加盟すると日本の立場やメンツはどういうことになるのでしょう。
NATOの主体の一つはアメリカであり、日本とアメリカは日米安保という軍事同盟国。ということは日本とロシアが同盟関係になる?? その場合、北方領土はどうなるのか。
 森さんは当然、そうしたことを肚に入れ、成算があって持ち掛けたのでしょう。
それほど重大なことを政治資金集めのパーティーでしゃべるということは、森・プーチン二人の会談はもはや外交機密事項ではなくなったということでしょうか。
 ならばその時点での日本外交はどういう方針であったのか。主権者である国民に対して、外務省から説明が先にあるべきではないでしょうか。
 いまだ機密事項であるというのであれば、口軽の森氏を国家公務員法違反かなにかで逮捕告発する責務が外務省とその大臣にはあると思われます。
 
 さらに重大なのは、ロシアが軍事同盟NATOに加盟する場合も仮想敵国はどこなのでしょう。日本は日米安保条約があるから、日本でないことは自明。そうすると仮想敵国は中国であり、その包囲殲滅戦略ということになるのでしょうか。それ以外に考えられないと外交の素人でも想像します。しかし日本国民全体にそういう共通意識があるのかどうか。「中国市場や工業生産力への依存なくして日本経済は存続できない」などと吹聴する者が少なくないのですから。
 森さんはやせても枯れても元総理。死ぬまで国家を守る責務があります。どういう思惑でしゃべったのか。国民世論をどう誘導しようとしたのか。広言するからには重大な意図があるはずです。
 
 国民にとっても議会にとっても重大議論マターのはずですが、まったく騒ぎにいなっていません。森喜朗発言は蜃気楼(しんきろう)のようなものだった申し合わせているかのよう。
 森氏は「この事態を解決できるのは(プーチン氏と仲良しの)鈴木宗男議員しかいない」とも述べたとされます。鈴木氏は専制主義者であるプーチン氏の手法を評価しており、日本国憲法の精神である民主主義を軽んじています。そういう人に国運がかかっている外交を任せよという主張ですが、議会人として、また元総理大臣として本気なのでしょうか。

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