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バトロワの残酷さ

Iwate810さんの「Apex ランクやってて思ったこと。」という記事を読んでいました。この記事では「FPSがつまらないのはAIMに比重が置かれているからではないか」と書かれており、そこは同意できないのですが、このゲームに関して思うところがありまして。

結論を先にいうと、「バトロワのゲームはカジュアルに見えるものの、調整によっては初心者に対して残酷になりうるケースがあるのでは」という話になります。

◆『Apex Legends』の最初のしんどさ

画像1▲『エーペックスレジェンズ』画像はSteamより

バトロワのいいところはいろいろありますが、ひとつは気軽に参加できて負けても気にせずすぐ次に行けるところだと言われています。しかし、『Apex Legends』はサクサクやれるかというとそうでもない。マッチングに少し時間がかかりますし、場合によっては試合中あまり交戦しないケースもありえます。ついでにチーム戦なので自分にリスポンの権利がなくなるまで見ていたほうがベター。で、慣れていないと遭遇してすぐ負けるので、実質的に遊べる時間がより短くなる。

僕は『Apex Legends』をシーズン8から入って100時間くらいしか遊んでいないのですが、このゲームはひとりで遊んでいると慣れるまでがとにかくキツかった。相手を撃ったり戦ったりするのに慣れたいのに、プレイ時間のうちの多くが探索や待ち時間になる。銃を拾ってはあまり撃てずに殺されて、また次へ行くも撃てるかどうかすらわからない。「シューターなのになんで銃をあんまり撃てないんだろう?」と疑問に思うこともよくありました。撃たなきゃうまくなりようがないのに。

そもそも『Apex Legends』のランクマッチはある程度の日数が経つとランク階層が低下してしまうので、低層でもふつうに強い人がいます。僕もプラチナだったのがシルバーくらいに変化したあと遊んだのですが、明らかに相手を倒しやすくてびっくりしました。

確かに大人数で戦うバトロワなので気軽に参加できるゲームではあるのですが、ハードルが低いゲームでもないように感じました。

◆ストレスの方向性

そもそも「大人数なら負けて当然でストレスが少ない」というのは、見方を変えれば「たくさんの人数を集めて、より多くの人に敗北を与える」ことにもなりえます。

もちろんそれにストレスを感じるかどうかはゲームの調整次第ですが、そもそもバトロワが「多くの人の頂点に立つ喜び」を持っているのは間違いありません。

画像2▲『スーパーマリオブラザーズ 35』画像は任天堂公式サイトより

僕は『スーパーマリオブラザーズ 35』が好きでした。もともと『スーパーマリオブラザーズ』が好きでしたし、このゲームでは勝率が7割近くもあったのでより楽しい。けれども、遊び続けていると疑問が湧いてきました。

そもそもこのゲームは最終的に残る2~3人で戦うのがポイントで、その人数になるまではウォーミングアップに過ぎません。序盤・中盤も完全に無意味ではないですし、なぎ倒すべき相手がいるのも楽しみのうちなのですが、そもそも35人も集めず最低限の人数で戦っていればより多くの人に勝ちの機会が与えられるのではないか。35人がまったく同じ実力ならば1/35回ほど勝てるわけですが、3人でやれば1/3回は勝てるわけで、大人数でプレイするとたいていのプレイヤーには勝利の喜びが遠くなるわけです。

バトロワではないチーム対戦シューターの『スプラトゥーン2』なんかは「マッチングで勝率が50%くらいになるよう調整されている」と怒る人もいますが、自分の実力帯で半分勝ててるのだから悪くない話でしょう。もっとも、この手のゲームではさらに勝たなければ満足できない(負けのほうが強く感じられるし、そもそもマッチングとレーティングが機能していると50%くらいになるのが当然なので、明らかに勝っている意識を持つにはもっと勝率を上げなければ意味がなく思える)のも仕方のないことなのですが。

少人数チーム戦はより多くの相手に勝ったという喜びはないですし、良くも悪くも自分の実力がダイレクトに出るのでそこに嬉しさとストレスを感じやすい。『スプラトゥーン2』のガチマッチは基本5分、負けたら即次の試合に移れますが、負けたときの負担はでかい。次に行ってもストレスがなくなるわけでなく、むしろ蓄積していく。

『Apex Legends』は勝てるチームが1組しかないので負けて当然だと思えるけれど、試合時間が長くなりがちで銃撃戦の配分も短めで練習になりづらい。負けの直接的なストレスは少ないと思われますし、チャンピオンになったときの喜びも大きいはず。そのぶん勝てるまで、あるいはゲームを理解するまでが非常に遠くなりうるというストレスがありうるわけですね。

結局のところ、「勝敗を賭けて相手と勝負する」というのは多大なストレスがかかる行為であり、それをごまかしたり方向性を変えたりはできるけど、それがゼロになることはありえないのでしょう。

◆友達とやろう

ところで身も蓋もない話になるのですが、対戦ゲームは仲のよい友人たちと遊べば大幅にストレスが軽減されます。『Apex Legends』もチームを組めばたのしい。『スプラトゥーン2』も友達を集めてプライベートマッチでやればワイワイやれる。

たぶんこれが対戦ゲームにおける対ストレスの一番いいやり方ですね。まあ、それでも勝敗を決めるストレスはゼロにはならないのですが。

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