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経営者と共に挑むデザイン-SHINCRUロゴ-

はじめに

今回ロゴデザインについて、ぼくなりの考え方や作り方を書いてみようと思います。僕はロゴデザインの専門ではないですが、CI設計が得意というのもあってか、ロゴについては簡単には譲れないこだわりを持っています。

このnoteでは、意匠面の話というよりコンセプト設計を中心とした本質的な「作り方」の話になります。ただし基本的に僕は独学派なので、正しい作り方とは思わず、一つのやり方として見てもらえるとありがたいです。


コワーキングスペースオーナーとの出会い~依頼まで

今回の依頼者は岡田大誠( @WEBDA0917 )さん。ご自身が運営されているコワーキングスペース“ひらば”のリブランディングの一環で名称を変更する事になり、その新名称のロゴをお願いしたいというのが今回の依頼内容です。

多くの人は知らないと思うので一応お伝えしておくと、僕は依頼があれば極力仕事を引き受けるというスタンスはとっていません。たとえ暇であってもです。(理由を説明すると話が別の方向に向かうのでまた別の機会に。)
本来は依頼があった時点で引き受けるかどうかを決めるための打ち合わせを要求するのですが、岡田さんとは既に知り合いでどのような方かはある程度は分かっていたので、即答で依頼を承諾しました。

簡単に岡田さんとの出会いを説明すると、初めてお会いしたのは今から1年半ほど前(2017年の秋頃)のとあるイベントで、この時は名刺の交換すらしないホントに一言挨拶した程度でした。ちなみにこの時点では岡田さんはコワーキングスペースの運営はまだやっていません。(岡田さんは今でも現役のフリーランスWebデザイナーです。)

はじめてまともに話したのはそこから数ヶ月後のクリエイター交流会“ひさきメシ”。そこから何度かお会いする機会があり、その度に短い時間であっても話をしたり、お互いの夫婦4人でで飯食いに行ったり(僕も岡田さんも共に夫婦両方がフリーランス)と、同じクリエイター同士ゆるく交流してる感じでした。

その中で、岡田さんがコワーキングスペースの運営をする事になった事、その件に並々ならぬ決意を持ってチャレンジしている事(ここは僕が依頼を引き受ける上での絶対条件)も知りました。まだ依頼のある前の話ですが、今思えば僕は既にこの時点で何か力になりたいと思っていたような気がします。
だから、正直なところ依頼条件は僕の基準を下回っていましたが、先述の通り即決で依頼を承諾しました。

ちなみに本案件について、岡田さんは「発注者目線」でnoteにまとめてくれています。そちらも合わせて読んでもらえれば嬉しいです。


初の現役クリエイターとの打ち合わせはあまりにスムーズ過ぎた

僕はもともと会社員時代からフリーランス4年目ぐらいまで広告業界に身を置いており、主に大手広告代理店の下で仕事をしてました。そこから紆余曲折あり今ではデザインに強くはないけど自身の事業に情熱を持っている経営者を専門に仕事しているんですが、デザイナーとなって10数年で初の、現役のクリエイター(Webデザイナー)がクライアントとなりました。

この数年はデザインに強くない人を相手にしている事もあり、まずは雑談メインの打ち合わせからはじまり、回数を重ねて少しずつその人に必要なデザインの輪郭を見定めていくスタイルをとっています。
しかしさすが現役のデザイナー、情報として何が必要かは伝えるまでもなく初回から用意してくれてました。おかげで通常何十時間も必要なところを数時間の打ち合わせ1回で辿り着きました。しかしこれが僕にとっては難産のキッカケになってしまうのですが 笑。

と言うのも、特に初めてのクライアントはそうなんですが、必要な情報以外の雑談で出てきた話題や考え方などは、デザイン制作や企画提案をする上で有力なヒントになる事が多々あるからです。もちろんその分時間が掛かるので決して効率的ではないのですが。

もっとも、今回のように事前にまとめてくださった事は決して悪いことではなく、むしろ有難いことです。ただ僕が不慣れというだけです。ですので、ここはチャレンジの場と気持ちを切り替えて進めていくことにしました。
(このような経験をさせてくれた岡田さんには感謝しています。)

話を戻します。
今回の打ち合わせでは、事前に岡田さんがまとめてくれていた資料をもとに打ち合わせし、そのままこの内容の通りで進めていくことになります。

打ち合わせ時に用意して頂いた資料↓
(公開できない部分はボカシを入れています)

うん、どれも理解出来る事ばかり!
さらに僕に依頼した理由や期待することも記載されており、やる気をもらえる...!これは今後の活動において参考にもなる...。
(依頼する側はこういう内容も記載しておくとより良いですね。)


コーポレートロゴは「理念を語れるか」がカギ

さて、いよいよロゴ作りのフェーズに入ります。
コーポレートロゴを作るにあたって僕が最も大事にしている考え方があります。それは「ロゴで自分たちの理念を語れるか」です。

だから基本的には「どんなデザインが好みか」という事は聞きませんし、Pinterestをはじめとする参考画像も見ない、流行のデザインなんてもってのほかです。重要なのはコンセプトであり、そのコンセプトを如何にビジュアルとして落とし込めるか、に重きを置きます。

通常はヒアリングによって理念を確認しこちらでまとめるのですが、今回はクライアントである岡田さんが事前にまとめてくれていたので先ほどの資料から抜粋すると、

コワーキングスペース「SHINCRU」の理念は

● 修める場所・学ぶ場所 (SHI)
● 生み出す場所・創り出す場所 (N)
● 広がる場所 (C)
● 流動的な場所 (RU)

となります。これらの理念はSHINCRUというネーミングにもリンクしています。よってこれらの理念をロゴとして視覚的にビジュアルとして表現する事が今回のミッションと言えます。


違和感があれば指定された事でも自分で考え直す

コーポレートロゴをつくる上で必須な要素である、

● 会社名(今回はコワーキングスペースの名称)
● 理念(今回はネーミングにもリンクしている)

がそろいました。

が、ぼくはここで違和感というかどうしても引っ掛かる部分がありました。
それは理念とネーミングのリンクの仕方です。

どういう事かと言うと、事前に聞いていた話はこうです。

● 修得・習得→しゅうとく→し→「shi」
● 生み出す→うみだす→う→u→逆さまにする→「n」
● 広がる→広大→こうだい→こ→ko→co→「c」
● 流動的→流→る→「ru」

これらを繋ぎ合わせて「shi・n・c・ru」→「SHINCRU」。

少し...若干...やや...ほんのちょっとだけ......無理があるかな~と。

※岡田さんの名誉の為にも念のためお伝えしておきますが、クリエイターは「相手」がいれば客観的に冷静に物事を捉え、論理的に情報を整理する事ができます。ですが、いざ「自分」となるとこれが難しくなる事は往々にしてあり、クリエイターあるある的な悩みのひとつです。岡田さん自身は非常は優秀なWebデザイナーさんで実際僕もお仕事をお願いしています。

この違和感を放っておいては、ロゴ作成時はもちろん今後の事業運営にも影響が出る事が考えられるので無視出来ません。よって、まずは理念内容を尊重しながらネーミングと上手くリンクできるように再構築・再定義する事からはじめます。

方法としては「理念の頭文字をとって組み合わせることで名称となる」はベタではありますが非常に分かりやすい良いアイデアですので、このロジックは崩さずに理念内容の表現を変えることで解決出来ると考えました。

というわけで、このように再構築しました。

SHINCRUを、S・HI・N・C・RUに分けて、それぞれに元々あった理念内容やそれに通じる英単語を選定し、理念を再定義しました。当然ですが、元々の理念とほぼ同一にしなければいけないのがポイントです。あくまで事業理念ですので第三者の想いはここには一切必要ないので。もちろん場合によっては理念自体を提案する事もありますが、考えに考え抜いた岡田さんの理念を尊重する事が今回はベターだと考えました。

さぁ、これでロゴを作る上で必須な理念も決まり、残すはビジュアル作りになります。


「想い」と「ビジュアル」とを結ぶ《コンセプト》

ロゴに限らず、デザインは「想い」の可視化だと僕は考えています。想いとは今回の場合は「事業理念」にあたります。本件の場合、事業理念のそれぞれのキーワードの頭文字をとって名称となっているのでロゴタイプ(文字ベース)のロゴにしようとも考えましたが、より象徴的になるようにシンボルマークを提案しようと考えました。

では、改めてロゴとして可視化させる理念を見てみます。シンプルに考えられるように、言葉もよりシンプルにしてみます。

● 学ぶ
● 高める
● 新しく広げる
● 生み出す
● 流動的

つまり今回はこの5つのキーワードを1つのビジュアルに落とし込むわけです。

このように、

● 5つ(複数の要素)を1つにまとめる
● 見えない想いを可視化させる
● 言語表現をビジュアル表現に変換する

というような、カタチを変えて表現する場合は「なぜ」そうしたのか根拠が必要です。僕はそれが「コンセプト」だと思ってます。つまり、「想い」と「ビジュアル」を結ぶ大切な架け橋役が「コンセプト」だと考えてます。
そして、「想い」→「コンセプト」→「ビジュアル」の一連の流れを客観的且つ論理的に整理していく行為を「デザインすること」だと思ってます。


ひたすらに、ただひたすらに、さらにひたすらにラフを書く。

ビジュアル作りはひたすらにラフを書くことからはじめます。先に述べた「コンセプト」を何となく頭に浮かべながら、少しでもコンセプトアイデアが浮かんだら手を動かしてひたすらに頭の中からアウトプットする感じです。一言で言えば「質より量」のフェーズです。

一つのアイデアでも書き出すことによって派生アイデアが生まれたりします。なのであまり深く考えずにピンとくるものが出てくるまでひたすら書きまくります。

ある程度手書きでも書き出したと思えたら、今度はパソコン上で考えます。

手書きラフでは「コンセプトアイデア」と「なんとなくの造形」を意識して、パソコン上のラフは「カラーイメージ」と「完成を意識した造形」、と一応棲み分けしてます。(この画像だと分かりづらいですね...)

そしてここまでの中から提案用のラフ案を選定してブラッシュアップをかけます。
選定ポイントは以下の通り。

a. コンセプト案に説得力がある
b. ビジュアルの第一印象

aのコンセプトは、先にも述べたように「想い」と「ビジュアル」を結ぶとても重要なモノです。ここに説得力がなければ「なぜ」この造形なのかを説明できません。はやい話、好みの問題になってしまいます。ロゴは「理念を語れるか」が重要なので、好みで決めてしまうとそれ自体がブレてしまいます。

bについては、ここまでコンセプトの話をしてきましたが、それでもビジュアルの第一印象はとても大事です。どれだけコンセプトが素晴らしくても見た目が悪ければ意味はないです。そしてその逆も然りで、見た目が良くてもコンセプトが弱いと結局決め手は好みとなってしまいます。

というわけで、第一印象とコンセプト、両方兼ね備えているのがベストです。実際に提案するのはこの要件をクリアした案のみというのが僕の提案ルールです。


ロゴ完成。コンセプトは「ローディング」

今回のSHINCRUロゴの提案するにあたり、ラフ案を考えながら出てきた多くのコンセプト案の中から提案用にチョイスしたコンセプトは「ローディング」です。このコンセプトは正直、偶然の産物でした。

今回のロゴ制作は自分の中でもだいぶ難産の部類に入る案件で、なかなかバシっとはまるコンセプト案が出てきませんでした。(通常はヒアリングを重ねる中で何となく頭にうかんでくるんですが、今回打ち合わせは一度で済んでしまったので。)

なので気分転換にネットで調べ物でもしようとインターネットに繋いでたんですが、WiFiの調子が悪くなかなかページを読み込まなかったんです。そう、その時ぼくの画面には例のクルクル回るアレがあったわけです 笑。この時、頭の中でいろいろなものが合致していきました。

ローディングの時間は...

● ページを読み込む → (人の場合)知識を吸収する→学ぶ
● 次のページを読みたい → 期待値が高まってる→高める
● 次のページを画面に表示する → 新しいページを生み出す → 新しい・生み出す
● クルクルと回っている → 絶えず動いている → 流動的

さらに、ローディング画面の表示は、サイトを構成する上で絶対必要という訳ではないものの、表示がある事で、本来ただの真っ白な画面で待つだけの時間に一種の価値を持たせてると言えるんではないかと。

この解釈はコワーキングスペースも価値のある場・時間を提供したいという想いに通じるんじゃないかと、そう思いました。そこでこのコンセプトを元に、SHINCRUの頭文字である「S」と組み合わせてロゴとしました。

またカラーは、このコワーキングスペース内観の雰囲気にあった温かみのある色をとも思いましたが、もともとのブランドカラーであるオレンジからガラリと変える必要があったので選択肢から外しました。
そこで着目したのは、このコワーキングスペースのウリのひとつである、窓から見える美しい景観です。建物のすぐ側には淀川という大きな川が流れておりキレイな河川敷も相まって美しい自然美が見られます。

よってブランドカラーは川をイメージしたブルーとしました。川の流れは理念の一つである流動的にも通じます。さらに川には、遥か昔から流れ続け、そしてこれからもそれは続いていくという継続性や未来のイメージ、また太古の昔から人類の文明は川と共にあり(世界史の授業で習いましたよね)、人(利用者)と川(SHINCRU)のように共存し繁栄し合える関係性を、という意味合いも含んでいます。

こちらが実際の提案資料です。

ここから若干の修正を行い、無事ロゴ完成・納品となりました。

本案件を、発注者目線で書いた岡田さんのnoteはこちら↓
https://note.mu/webda0917/n/n63babc5191a1
発注者という別の視点から描かれているので是非ご覧ください。


デザインの真価は納品後が全て。

よくWebサイトだと「作って終わりじゃない、完成してからがスタート」と言いますが、これはロゴも含め全てのデザインに言える事だと思ってます。結論から言うと、デザインの本当の価値は、納品後に実際使用して「クライアントと消費者(エンドユーザー)の役に立つかどうか」が全てだと思ってます。

自分のデザインを他のプロのデザイナーから賞賛されればもちろん嬉しいですが、ぼくはそもそもそこを目指していないし、それに価値があるとは思いません。デザインは戦略上の武器であり、伝えたいことは作り手のデザインレベルの高さなんかじゃなく、クライアントの提供する商品やサービスの本来の価値です。

今回の案件だとSHINCRUです。ぼくは実際にこのコワーキングスペースに足を運び、利用し、その良さを体感しました。そして運営者の岡田さんがどのような想いで運営しているのかも知っています。もし岡田さんが、極端な話、コワーキング運営は金儲けにうってつけてだからやるだけで別に利用者なんかどうでも良い、とかの理由で運営しているなら絶対依頼を断っています。それは、そんなコワーキングスペースなんて誰にも利用してほしくないし、一刻も早くつぶれてしまった方が世の中のためだと思うからです。もちろん、実際は全然違います。

だから、どんな想いで運営しているのかを理念としてまとめ、その理念を語れるロゴを作ることで、少しでもこのコワーキングの良さを伝える手助けになれればと思ってます。そうして「こんな場所を探してた」「新しい繋がりが出来た」のように人の役に立てればと思ってます。

どんなビジネスであれ、純粋にエンドユーザーのためを想ってはじめた事業には、それを必要としている人たちが必ずいます。
だから、経営者は純粋な想いを元に商品やサービスや事業を作る事に集中し、僕はそれらを必要としている人たちにどうすれば届けられるかを考えカタチにする事でサポートし、経営者とタッグを組んで事業を成長させる。それが経営者と共に挑むデザインです。


おまけ① 同時に提案したB案

B案のコンセプトは「風」です。
このコンセプトは、「学ぶ・高める・新しく広げる・創る」の4つが回り続ける(流動的)という理念イメージ(概念)を視覚化するという考えから生まれました。造形的には「S」を直角に二つ重ね風車のような形にしてます。この4つの羽が4つの理念であり、回る事で流動性を表現。

回す「風」は、コワーキングスペースのスタッフだけでなくそこを利用する人も一緒に手を取り合って回していく=「協調・共に歩んでいく」というイメージと、この場所(SHINCRU)から新しい風(新しい事業・コミュニティ・ムーブメント)をおこしていこうという未来像をイメージしました。

カラーは、このコワーキングスペース自体が木の温もりを感じる温かみのある場所なので、そんな場所の雰囲気と最も相性が良いと感じるグリーンをチョイスし、同系色で4つそれぞれで色分けしました。
これは同じ想いを持った(理念に共感した)人たちの集まる場所=同系色、学生〜プロまで様々なレベル差の人が集まる場所=色分け、を表現しています。(カラー案はもう一つあります。下記の添付を参照)


おまけ② 提案しなかったC案

こちら提案しなかったのでデザイン(造形)も最終調整の前段階で終わっています。ちなみにコンセプトは結果的に「ない」です。
造形が生まれた経緯としては、岡田さんの話の中で「生まれ変わりが必要」という言葉が頭に残っていて、だったら現在のロゴイメージ(コンセプト)の「女子感・手作り感・文化祭」に対して「真逆にしてみよう!」、という想いからです。
デザインが途中で終わってるので一応補足すると、この後「H・I・N・R・U」にそれぞれ星型のマークを入れて5つの理念を象徴しようと考えていました。(いわゆるコンセプトの後付け)

実はこの案が一番最初に出てきました。(上記にPC上のラフがあります。)
このままブラッシュアップを重ねれば見え掛り上のデザインはそれなりになった可能性もありますが、途中段階でボツにしました。

その理由は、

・やはりコンセプトが弱い(というかない)ので、どれだけ見た目の良いデザインになったとしても、そこに説得力が皆無だろうと思った事。

・理念を語れないので、良いグラフィックデザインになってもロゴにはなり得ないという事。(あくまで僕の私見です)

・実際の場所とイメージがかけ離れ過ぎている事。

の3点です。

提案すらしてない(岡田さんはこのnoteではじめて見ると思います笑)のは、自分が良いと自信を持てない案を見せるのは失礼だと僕は思うからです。
飲食店でシェフ自身は美味しいとは思ってないけど、美味しいと感じる人もいるだろう、みたいな感じで料理を出している店には僕は行きたくないです。


おまけ③:複数提案にある罠と意識しておくべき重要な事

今回二つの案を持って行きましたが、提案時に複数案持っていくことはよくあることだと思います。僕は基本的に一案が望ましいと考えているんですが、それでも今回のように複数案持っていくこともあります。

一案が望ましいと思う理由は、単純に「相手が迷わないように」です。
相手に選択肢がある事は一見親切なことのように思いますが、選ぶという行為は想像以上に大変です。
それに責任の所在が相手に渡るのもあまり良いとは思えず「選んだのはあなたですよね?」と自分の逃げ道を作っているように感じてしまいます。(まぁこのあたりはかなり個人的な見解ですが。)

ただ、複数提案が悪いとは全く思っていません。現に僕も今回2案持って行っているので。その場合、提案する側は意識しておかなければいけないポイントがあると思っています。それは、各提案に優先順位をつけること、またはデザイン要素以外のハッキリとした差別化をプレゼンすることです。

複数提案はほぼ確実に相手を悩ませるので、どれが良いですか?で終わらず、選択のサポートをする事が大切だと思います。誰だって迷った時は背中を押してもらいたいモノです。それに自分が提案した案には自信と責任を示すことはとても大事な事だと思います。

また、専門家として意見を言えるかどうかは、その後の関係性にも大きく影響します。依頼者は「自分でデザイン出来ない」という事以外にも、「どんなデザインにすべきか迷う」という点においても困っている場合が多いと思います。その点もしっかり解決することもまたデザイナーの役割なんじゃないかと僕は思います。


おわりに

今回はじめて、どういった経緯で・どういった流れで・どういった想いで、といったいわゆるデザインプロセスなるものを書いてみました。文章での想いの表現はとてつもなく難しいですね。文章での表現の特訓もかねてまた別案件についても書いてみようと思います。最後まで読んでくれたこと、感謝します。

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