樹々の息吹

波照間が白なら、西表は黒。いや、黒ってことはないけど、こっちはこっちで、やたらに生物の気配の色濃い島だ。 植物が、なんだか動物的。桟橋に足を下ろした瞬間、目の前の森から肉食獣のような気配が立ち上っているのを感じる。森に入ると、樹々の息づかいが首筋に当たるようで、ちょっとでも気を抜いたらあっという間に森の養分にされてしまうんじゃないかとドキドキする。

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この枝。この動き。無秩序の秩序。 うねり、絡みつき、そして密やかに花を咲かせる。 西表の樹々は、知っている植物とは全然違う。今にも動き出しそうな躍動感に満ち満ちていて、気を抜いたら襲いかかられそう。

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絡みつくツルアダン。付着根を使って宿木によじ登る。

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サガリバナ。夜明け前にひっそり咲き、日が高くなる前にはらはらと散ってゆく。見てる間に、ひとつ、またひとつ。
散った花は川面を埋め尽くし、音もなく流れてゆく。壮観。

そしてさらに山に分けいり、上流を目指すと、、あった!夢にまで見たサキシマスオウの群生!うわあ、どこもかしこも、一面のスオウ、一面の板根。
痩せた土地に、懸命に板根を伸ばし、体を支えてる。最大のものでは、板根の高さが3mにもなるのだそう。

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巨大な板根にへばりついたツルアダンの残骸。 到底かないっこない巨大な敵にそれでも果敢に立ち向かい息絶えた者の壮絶な死様。熱帯では、植物だって弱肉強食。


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